case 41 183 どのように改良すればよいか? 審査委員が読んで「なるほど」と共感するものはどのようなものだろうか? うまくいった研究よりも、うまくいかなかった研究の方が印象に残る、こう やったけど、うまくいかなかった、なので今回は次のような研究計画を着想し たという流れだ。そのほうがオリジナリティも出る(case40参照)・失敗し た研究経過は科研費の評価のマイナス点になると思われるかもしれない。しか し審査委員にも必ず失敗の経験があるはず、「うまくいかなかった、だから今 回の研究計画を着想した」と書いた方が審査委員の共感を呼び、印象に残る 失敗した研究経過は必ずしもマイナス点にはならない。 失敗の経験を恐れないこと、研究のほとんどは失敗の連続なのだから。 例文は、発表論文を加えて研究成果をアピールするとともに、これまでの研 究経過を書いて、うまくいかなかったことも赤裸々に(というほどでもない が)包み隠さずに記載する。失敗の経験から学んだことを書いて、それが【本 研究の着想に至った経緯】となったことを書く。 改善例 発表論文を加える (1) 本研究の着想に至った経緯 申請者は摂食亢進ホルモンのグレリンを発見し、 ペプチド部分がオクタン酸によって修飾されては じめて活性を示すことを明らかにした(Kojima et al. Nature 1999)。 ド部分だけでは受容体を活性化できず、オクタン酸の修飾があってはじめて受容体を活性化で かが疑問であった。この疑問に答えるためには、グレリン受容体の結晶構造の解明が必要であ レリンが結合した構造を明らかにする必要があった。 しかし当時の技術ではグレリン受容体などのGPCRの結晶構造を解明する手段はなく、計画の実 はできなかったが、スタンフォード大学のKobilka たちがB2アドレナリン受容体の結晶構 功して、技術的な基盤が整ってきた。このような状況の中、申請者らはグレリン受容体の結晶構造解 析の計画に着手した。 ところがグレリン受容体の場合は他のGPCRに比べて熱安定性が悪いため、申請者はモノクロー ル抗体を使ってグレリン受容体を活性型に固定させることを計画した(挑戦的萌芽研究H26-27年 度)。しかしマウスのモノクローナル抗体は受容体のグレリン結合部位に対して大きいことや、融 細胞のスクリーニングには限度があるため、グレリン受容体を活性型に固定する抗体は得られず、計 画はうまくいかなかった。そこでモノクローナル抗体に代わるツールとして、分子量が小さく 体のリガンド結合部位の認識も可能なナノボディの応用を考えた。 申請者のうまくいかなかった研究や経験を 着想に至った経緯として加える