120 case 26 改善例 一般的な背景を加え、その後で申請者の研究成果を説明する (1)本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」 マウス胚性幹(ES)細胞は、マウスの3.5日(胚盤胞)の内部細胞塊に由来し、サイトカイン LIF (Leukemia inhibitory factor)存在:下で自己複製する多 て、これまで様々なマウス系統に由来する細胞株の街立が試みられ、ES細胞の立と維持は、培養条 件および遺伝的背景(マウス系統)に強く依存することがわかった。例えば、血清条件下で自己 が可能なマウス系統(129系統が代表)と、そうでないマウス系統(NOD系統など)がある。しか し、なぜES細胞において、血清条件下での自己複製にマウス系統差があるのか、その原因はわかって いない。 そこで、この原因を明らかにするために、GSK3およびMAPKに対する2個の阻害剤を含んだ無血 清2p増養法を用いて、申請者は様々なマウス系統からES細胞を独自に立した。そして、129Sv、 C57BL/6、 Balb/c、 CBA/ca、FVBIN、MsmおよびNOD系統に由来するE い、以下の2点を明らかにした (OtSU, Development 2015)。 ・異なったマウス系統に由来するES細胞は、LIFに対して異なった応答をする。すなわ 糸統ES細胞(129-ES)においては、LIFへの応答性が高く、一方でNOD系統由来ES ES) 細胞ではLIF応答性が低い。 :ES細胞の血清条件下での自己複製には、129-ES型のLIF応答性を示すことが必須 これらのことから、ES細胞で129-ES型のLF応答性と血清条件下での自己複製能の相関を見出し この129-ES細胞でのLIF応答性と血清条件下での自己複製能の相関の分子メカニズムを明らかにす るために、申請者は、血清条件で短期間培養した129-ES細胞とNOD-ES細胞においてマイクロ による遺伝子発現比較を行い、43遺伝子の候補を見出した。これらの各々をNOD-ES細胞へ導入し 血清条件下での自己複製が可能かどうか検討したところ、本研究の中心となるTFCPを同定した。確 かに、このTFCPを通剰発現したNOD-ES細胞では、129-ES型のLF応答性を示し、かつ血 おいて安定に自己複製しキメラ寄与能を維持できた。 このような結果から、TFCPを発現させることで、ヒトを含む動物種に由来する多能性幹細胞 定な立と維持が可能になり、再生医療に大きく貢献できると考えられる。しかしTFCPが、NO 細胞において、どのようにして129-ES型のLIF応答性を支持し、そして血清条件下での自 能とするかについては不明である。 箇条書きの数を絞る 一般的ではないキーワードを印象づけるため太字にする