022 case 02 改善例 (概要) 本研究の目的は、129系統ES細胞が血清条件下で安定に自己複製できる理由を明らかにすることで ある。これまでに申請者は、GSK3/MAPK 阻害剤を含む無血清 21培地を用いて、血清条件下 複製できる系統(129系統)とできない系統(NOD 系統)からES細胞を相立し、次の2点を明ら にした。①129-ES細胞では血清条件下でサイトカイン LIF の標的である転写因子TFCP ている、②TFCP の過剰発現により、NOD-ES細胞は血清条件下で STAT3 依存性に自己 る。そこで、本研究では TFCPの機能を解析し、ES 細胞の血清条件下での自己複製の獲得と維持 構を明らかにする。これにより、ヒトを含む動物種に由来する多能性幹細胞の安定な樹立と維持が可 能になり、専生医療に大きく貢献できると考えている。 (本文) 着想に至った経緯を中心に 図をシンプルに (1) 本研究の学術的背景 申請者は、2培養法を用いてマウス系統 (129Sv、C57BI/6、CBA/ca、FVBIN、Msnお よびNOD)からES細胞を独自に立し、検討し 129型-ES細胞 LIF た結果、以下のことが明らかとなっている(右 +TFCP 図参照)。 STAT3 1) 異なったマウス系統由来ES細胞は、サイト カインLIFに対して異なった応答性を示す:すな NOD型-ES細胞 (そのままでは血清培地で 自己複製できない) わち、血清条件下での自己複製が可能な系統の ES細胞(129、B6系統)では、LIF-STAT3標的 遺伝子が強く誘導されるが、できない系統のES 細胞(CBA/ca、FVB/N、NOD系統)では弱いこ 自己複製可能 NOD型-ES細胞は転写因子TFCPを発現させると 129型-ES細胞に転換し、 血清条件下で自己複製が可能になる。 とを報告した(Kojima Development 2015)。 2) 転写因子TFCPの過剰発現でNOD-ES細胞は血清条件下で自己複製が可能となる:マイクロアレ イを用いた遺伝子発現解析により、短期間の血清条件下で129-ES細胞に高発現しているが、NOD 細胞では消失する遺伝子を探索し、LIFの標的遺伝子である転写因子TFCPを同定した。このTFCP 過剰発現により、NOD-ES細胞は血清条件下で自己複製でき、かつLIF標的道伝子の誘導( 性)の特徴も129-ES型に転換していた。 3) TFCPはES細胞の自己複製に必須である:129-ES細胞のTFCPノックアウト(KO 血清条件下で細胞死に陥る(未発表)。