初版のはじめに 先に出版した「科研費獲得の方法とコツ」が長編小説だとすると、今回の「科 研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」は短編小説集だ。 この本は、ひととおり書かれた科研費の申請書をよりよいものにしていくため に、どのように直していけばよいか、その方法論を豊富な例文を使って解説した ハンドブックだ。申請書をゼロから作成するために参考にするための本ではない。 私が姉妹書「科研費獲得の方法とコツ」の初版を出版したのは2010年のことで ある。幸い,この本は研究者、特に科研費応募の初心者の方々や、応募経験が浅 い方々に好評で、多くの方々から役に立ったとの言葉をもらった.また本の出版 を契機として、全国のいろんな大学や研究機関で、科研費申請書の書き方につい てのセミナーを行ったり、申請書のチェックを頼まれたり、申請者とワークショッ プでともに勉強したりした。それは非常に得がたい経験であり、私自身おおいに 勉強になることが多かった.また私は理糸の研究者で、先の本は理系の例文が中 心だったにもかかわらず、予想外のことに文系の方にもよく参考にしてもらい, また文系学部しかもたない大学でのセミナーの機会もいただいた。 このような経験から、研究者の方々が申請書の作成において悩む箇所やどうし たらいいのかわからなくなる部分などに、ある共通のパターンがあることがわかっ てきた.つまり理系文系にかかわらず、申請書の重要なポイントは同じだという ことだ、それは私の頭で考えたことではなく、実際の研究者の方々との話し合い や申請書のチェックによってわかってきたことである.また、いったん出来上がっ た申請書について、どこがよくない部分なのか、それをどのようにして改良して いったらいいのかなどを参考にできるような本があれば便利だろうということも みえてきた、つまり、自分が書いた申請書にもあてはまる共通のパターンが含ま れた例文とその改良法(アドバイス)がまとまっていれば、申請書の自己チェッ クにおおいに役立つだろう.この本はそのような考えのもとで作成した(ただし、 内容は私の独断と偏見も含まれることに注意してほしい。審査が合議である以上、 私の考えがすべて止しいとは限らないのだ).