--- title: "CASE 77: 回りくどい表現、なくてもよい表現がある" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第12章 その他(研究経費や図など) case_number: 77 pages: 323-326 images: page_0323.png ~ page_0326.png advice: "具体性のない言葉や記述はカットして説得力を高めよう。「~的」という表現は割愛を検討する" tags: ["簡潔に", "推敲のヒント"] --- # CASE 77: 回りくどい表現、なくてもよい表現がある ## アドバイス 具体性のない言葉や記述はカットして説得力を高めよう。「~的」という表現は割愛を検討する ## どこがよくないか **例文1** > その解決法としてAL型授業に取り組み、質的に、および表出する事象をデータ化し量的に分析し、教育心理学等の多角的な視点を取り入れながら考察を重ねる。 **例文2** > 数人からの意見のサンプリングなどを通し、数値的、質的の両側面から検証する。 ## 添削例 **例文1** > その解決法としてAL型授業に取り組み、**質的に**、および表出する事象をデータ化し**量的に**分析し、教育心理学等の**多角的な**視点を取り入れながら考察を重ねる。 **例文2** > 数人からの意見のサンプリングなどを通し、**数値的**、**質的**の両側面から検証する。 **指摘された問題点:** 1. 「~的」はカットや言い換えを一度は検討する ## なぜよくないのか? 「~的」という単語は申請書ではよくみかける。特に例文のように「質的」と「量的」、あるいは「主観的」と「客観的」など対になって使われることが多い。しかし、実は書き手側の意図に反して「~的」という言葉は抽象的で、具体的な中身が審査委員に伝わらないことがほとんどだ。これらの語句は本当に必要なのか? ## どのように改良すればよいか? 「~的」をみたら、省略か言い換えを一度は考えてみよう。「~的」が必要なのか不必要なのかは、その単語をカットして意味が十分に通じるかどうかで判断する。多くの場合、このような「~的」はカットしても文章の意味は変わらない。このように、「カットしても意味が通る」というものは形容詞に多く、いうなれば形容詞自体にも不要なものが多い。カットして意味が通じるのなら、そのような語句はカットする方がよい。 ## 改善例 **例文1** > その解決法としてAL型授業に取り組み、表出する事象をデータ化して分析し、教育心理学等の視点を取り入れながら考察を重ねる。 **例文2** > 数人からの意見のサンプリングなどを通し検証する。 ## 参考 「~的」は、申請書の欄によらず、さらに分野を問わず、使われることが非常に多い。以下にさまざまな分野の実例とその改善例をあげておく。 - 考察を多角的に、またアクティビティ等を柔軟に考案する。 → ~を考察し、アクティビティ等を考案する。 - 誤りの種類による自己修正の頻度とその成功率について量的に分析し、さらに自己修正に至った過程を質的に分析していく。 → 誤りの種類による自己修正の頻度とその成功率について分析し、さらに自己修正に至った過程を分析していく。 - 公営住宅の役割を明らかにするために、量的調査と質的調査を併用する。 → 公営住宅の役割を明らかにするために、調査する。 - 1949年から2006年度までの会計制度を理論的、歴史的に分析した。 → 1949年から2006年度までの会計制度を分析した。 - 限られた社会資源を効率的に活用した、効果的なプログラムの実践が可能となる。 → 限られた社会資源を活用したプログラムの実践が可能となる。 - 解析結果をもとに持続的な改良を試みる。 → 解析結果をもとに改良を試みる。 - 包括的で精度が高く簡便なスクリーニングから、支援計画の作成までのアセスメントを一体化した包括的システムの構築を目指す。 → 精度が高く簡便なスクリーニングから、支援計画の作成までのアセスメントを一体化したシステムの構築を目指す。 - これらの発達障害者の医学的治療は可及的早期に開始する方がその効果が大きい。 → これらの発達障害者の治療はできるだけ早期に開始する方がその効果が大きい。 - 特定の教育方法の試みについて効果検証する法則確立的な検討方法が用いられてきた。 → 特定の教育方法の試みについて効果検証する検討方法が用いられてきた。 - 経験したことが学習観の変化につながったのかという個性記述的な検討はほとんどなされていない。 → 経験したことが学習観の変化につながったのかという検討はほとんどなされていない。 - 破骨細胞におけるIRF経路の役割を分子細胞生物学的に解明する。 → 破骨細胞におけるIRF経路の役割を解明する。