--- title: "CASE 73: 図や画像が何を示しているのかわからない" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第12章 その他(研究経費や図など) case_number: 73 pages: 309-312 images: page_0309.png ~ page_0312.png advice: "図には必ず説明をつけよう。図中の文字を白の四角に置いたり矢印は白くするなどの工夫をしよう" tags: ["はっきりと", "図表"] --- # CASE 73: 図や画像が何を示しているのかわからない ## アドバイス 図には必ず説明をつけよう。図中の文字を白の四角に置いたり矢印は白くするなどの工夫をしよう ## どこがよくないか **例文1** > で7,800件以上の研究論文が発表され、申請者らのグレリン発見のオリジナル論文は被引用回数が5,000回を超えている。 > > グレリンは典型的なGタンパク質共役型受容体(GPCR)であるグレリン受容体に結合して、その生理作用を現す。グレリンはペプチド・ホルモンであるが、N末端から3番目のセリン残基が中鎖脂肪酸のオクタン酸によって修飾されており、しかもこのオクタン酸が受容体の活性化に必須であるという極めて珍しい構造をしている(Kojima et al. Nature 1999 & Physiol Rev 2005)。なぜグレリンがペプチド部分だけでは受容体を活性化できず、オクタン酸の修飾があって始めて受容体を活性化できるのか?それを明らかにするためには、グレリン受容体の結晶構造の解明が必要であり、不活性型の構造だけでなく、リガンドが結合して活性型になった構造の両方を明らかにして、受容体の動きを見る必要がある。 (※グレリンの構造と受容体活性化の図が挿入されているが、図の説明がない) **例文2** > 同移植片を生検し、光学顕微鏡レベルで骨が形成されるところまでを確認している。現在のところ感染等もなく、骨形成においてその経過は良好である。しかしながら、その形成骨の機能性や形態について、脱灰象牙質との相互関係における組織構築の空間的な検討は進んでいない。 > > 申請者はこれまで移植細胞が生体内でどのような運命をたどるのかということを解明するために間葉系幹細胞移植による異所性骨モデルを作製し、形成骨に対して共焦点顕微鏡や電子顕微鏡を用いて組織学的なアプローチを行い、骨および骨周囲を構成する細胞間の関係を検証してきた。その結果、形成骨を構成する細胞の起源は約8:2の割合で移植したドナー細胞とレシピエント細胞に由来していることを証明した。これらの細胞は6ヶ月目以降にターンオーバーが進み、割合は変化してくる。脱灰象牙質においては移植後に少しずつ吸収され、新生骨に置換されると考えられているが、象牙質と新生骨とのダイレクトコンタクトがいつからどのように変化するのかは未だ解析されていない。 (※モノクロの組織画像に黒文字と黒い矢印で説明が付けられており読みにくい。また画像の説明がない) ## 添削例 **例文1** (※図の説明がない。加える) **例文2** (※モノクロの画像に黒文字と黒い矢印ではわからない。わかるように工夫する。また画像の説明がない。何を示しているのか?) **指摘された問題点:** 1. 例文1:図の説明がない。加える必要がある 2. 例文2:モノクロの画像に黒文字と黒い矢印では読みにくい。わかるように工夫する。また画像の説明がない ## なぜよくないのか? 例文1は図の説明がない。たとえ研究計画の概念図でも説明がほしい。 例文2は画像のなかの矢印や語句が読みにくい。また、こちらも画像の説明がない。 申請書において画像や図はただの飾りでもないし、スペースを埋めるためのものでもない。申請者には一目瞭然の図であっても、審査委員には全く未知の図、知らない図である。画像や図は、「研究目的」をわかりやすくするためのものなので、入れるときは必ずその説明が必要。本文中に図の説明を書いている申請書もあるが、審査委員としては、できれば図のすぐ下に説明を書いてほしい。その方が図と説明文を同時に見て(読んで)理解しやすい(本文と多少重複してもかまわない)。 ## どのように改良すればよいか? たとえ簡単な図であっても、図には必ず説明をつける。説明文は短くてよい。何を示している図なのかを書く。なお、画像のなかに矢印や文字を置いて説明するときには、文字を白の四角の上に置く、矢印を白にするなどして、識別しやすくする。また、その文字の大きさに注意すること。実際の申請書に図を入れてみて、きちんと説明文が読める大きさに調整する。 なお、令和5(2023)年度より「研究活動スタート支援」「海外連携研究」「国際共同研究強化」「帰国発展研究」が、令和6(2024)年度より「特別推進研究」と「基盤研究(S)」の申請書が電子化・カラー化される。大多数が応募する基盤研究(A, B, C)、若手研究、挑戦的研究については、電子化・カラー化される時期はまだ未定であるが、いずれそうなると思われる。 カラーの図を使うときには、あまり派手な色使いをしないことや、モノクロのときと同様に「背景の色に対して見やすい矢印を使うこと」「白やベージュなど色の薄い四角の上に黒文字をおくこと」などの注意が必要だ。 ## 改善例 **例文1** > で7,800件以上の研究論文が発表され、申請者らのグレリン発見のオリジナル論文は被引用回数が5,000回を超えている。 > > グレリンは典型的なGタンパク質共役型受容体(GPCR)であるグレリン受容体に結合して、その生理作用を現す。グレリンはペプチド・ホルモンであるが、N末端から3番目のセリン残基が中鎖脂肪酸のオクタン酸によって修飾されており、しかもこのオクタン酸が受容体の活性化に必須であるという極めて珍しい構造をしている(Kojima et al. Nature 1999 & Physiol Rev 2005)。なぜグレリンがペプチド部分だけでは受容体を活性化できず、オクタン酸の修飾があって始めて受容体を活性化できるのか?それを明らかにするためには、グレリン受容体の結晶構造の解明が必要であり、不活性型の構造だけでなく、リガンドが結合して活性型になった構造の両方を明らかにして、受容体の動きを見る必要がある。 (※図に説明を追加:「オクタン酸の修飾基が、どのようにしてグレリン受容体を活性化するのかを明らかにするには、受容体の結晶構造の解明が必要である。」) **例文2** > 同移植片を生検し、光学顕微鏡レベルで骨が形成されるところまでを確認している。現在のところ感染等もなく、骨形成においてその経過は良好である。しかしながら、その形成骨の機能性や形態について、脱灰象牙質との相互関係における組織構築の空間的な検討は進んでいない。 > > 申請者はこれまで移植細胞が生体内でどのような運命をたどるのかということを解明するために間葉系幹細胞移植による異所性骨モデルを作製し、形成骨に対して共焦点顕微鏡や電子顕微鏡を用いて組織学的なアプローチを行い、骨および骨周囲を構成する細胞間の関係を検証してきた。その結果、形成骨を構成する細胞の起源は約8:2の割合で移植したドナー細胞とレシピエント細胞に由来していることを証明した。これらの細胞は6ヶ月目以降にターンオーバーが進み、割合は変化してくる。脱灰象牙質においては移植後に少しずつ吸収され、新生骨に置換されると考えられているが、象牙質と新生骨とのダイレクトコンタクトがいつからどのように変化するのかは未だ解析されていない。 (※図説明を追加:「脱灰象牙質を移植後8ヶ月目のヒトのHE染色試料。脱灰象牙質から骨が形成されている。」図中の文字を白の四角の上に置き、矢印を白くする)