--- title: "CASE 69: 「人権の保護及び法令等の遵守への対応」が中身に乏しく具体的でない" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第11章 人権の保護及び法令等の遵守への対応 case_number: 69 pages: 297-300 images: page_0297.png ~ page_0300.png advice: "必要な承認の種類、個人情報などへの配慮、その方法などを具体的に示そう" tags: ["ふさわしく", "具体的に"] --- # CASE 69: 「人権の保護及び法令等の遵守への対応」が中身に乏しく具体的でない ## アドバイス 必要な承認の種類、個人情報などへの配慮、その方法などを具体的に示そう ## どこがよくないか **例文1** 本研究は大学の倫理委員会の承認を受けて実施する。また研究の協力者に対しては、個人情報の保護には十分に注意する。 **例文2** 本申請の研究では、組換えDNA実験・動物実験は学内審査により許可を受けてから実施するので、安全対策・生命倫理に問題はない。 ## 添削例 > **例文1** > > 本研究は大学の倫理委員会の承認を受けて実施する。また研究の協力者に対しては、個人情報の保護には十分に注意する。 > > **例文2** > > 本申請の研究では、組換えDNA実験・動物実験は学内審査により許可を受けてから実施するので、安全対策・生命倫理に問題はない。 > > どちらの例文もあまりに簡単で、内容に具体性がない **指摘された問題点:** 1. 例文1:「倫理委員会の承認」とあるが、どこの倫理委員会か具体的でない 2. 例文1:「個人情報の保護には十分に注意する」が具体的でない 3. 例文2:「学内審査により許可を受けてから実施する」が具体的でない 4. 両例文とも、あまりに簡単で内容に具体性がない ## なぜよくないのか? 例文1および例文2では、「倫理委員会の承認」「個人情報の保護」「組換えDNA実験・動物実験は学内審査により許可を受けてから実施する」と書いてあるが、あまりに簡単で、その内容に具体性がない。 【人権の保護及び法令等の遵守への対応】も、【研究経費とその必要性】と同じく書いても申請書の総合点アップにはつながらないが、ここの対応がよくないと減点の対象になる。申請書云々とは別に、日ごろから、個人情報の取り扱いや生命倫理・組換えDNA実験・動物実験・安全対策などの承認手続きはきちんと行い、必要なものは届け出をしておくこと。 ## どのように改良すればよいか? 【人権の保護及び法令等の遵守への対応】として必要となる承認手続きを具体的に書いておけば問題はない。書きすぎて減点になることはないので、できるだけ詳しく書きたい。 例文1では「久留米大学 ヒトを対象とした研究に関する倫理委員会」と具体的にあげ、また「個人情報の保護」についても十分に詳しく具体的に書く。 例文2でも具体的な法令をあげたり、承認番号を記載するなど十分に詳しく説明する。 ## 改善例 > **例文1** > > 本研究は、研究初年度から全国の調査予定校に対して教員へのアンケート実施、研究の最終年度である平成30年度には中学校・高等学校での研究授業を予定している。そのため「久留米大学 ヒトを対象とした研究に関する倫理委員会」にて、承認を得た上で実施する。 > > 中学校・高等学校で授業、アンケート調査などを実施する関係上、教師と生徒の個人情報を扱うこととなる。アンケート用紙は生徒にID番号を付与し、個人名は別に管理する。授業時の様子を撮った映像・写真に関して、教師・生徒の顔や制服等に付けられている名札から学校関係者および生徒のプライバシーが侵害される可能性がある。事前に顔や名札などから、生徒・教師個人が特定されることがないように配慮する。 > > また、ビデオ映像、写真の公表をする場合には、学校関係者、生徒本人および生徒の保護者の承諾を確実に得ることとする。学校関係者、本人および保護者の承諾がない場合は、個人情報保護のため公表しないこととする。USBデータにはパスワードを設定し、調査票とともに鍵のかかる保管金庫に保管するなど、個人情報の保護には万全を尽くす。 > > **例文2** > > 本研究には遺伝子組換え実験が含まれるため、遺伝子組換え生物の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、研究開発等に係わる遺伝子組換え生物等の第二種使用等にあたって執るべき拡散防止措置等を定める省令、またその他の関連法令に基づき、十分な安全性を確保したうえで実施する。実施を予定している研究内容については、すでに久留米大学遺伝子組換え実験安全委員会の承認を得ている(承認番号 23-15)。 > > 動物実験については、動物福祉の観点から適切な配慮をおこなうため、動物の愛護および管理に関する法律(昭和48年法律第105号)、実験動物の飼育および保管ならびに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示88号)、動物の殺処分方法に関する指針(平成19年環境省告示105号)、研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年度文部科学省告示第71号)等に基づいて実施する。実施する研究内容については久留米大学動物実験委員会による承認を得て「動物実験規定」を遵守したうえで実施する。 > > 本研究はヒト試料を対象とする実験は含まれないため、個人情報や人権の保護等を必要とする研究には該当しない。 ## 申請者のギモン 28 強調 その4 研究項目を箇条書きにしてみました。よりアピールするにはどうしたらよいですか? 研究は以下の5段階に分けて行う。平成25年度は①と②を並行して行う。平成26年度以降は①と②を継続しつつ、③、④、⑤を進める。①、②、③は反応速度定数や活性化エネルギーの見積もりに基づく動力学的研究で、重合反応の全体像を大まかに理解するのに役立ち、④、⑤は反応の各段階をさらに詳細に理解するのに役立つ。 ①ハロゲン化アルキルはどのように反応するのか ②SN2反応の機構 ③SN2反応に影響を与える要因 ④SN2反応の可逆性について ⑤SN1反応とSN2反応の立体化学についての考察 研究項目を5段階①~⑤と書いているのはよいが、ここが研究の中心部分なのにアピールが弱い。 この5つの項目は研究の中心なので、より早い段階で列挙したり、もっと視覚的に目立たせるとよい。例文は冒頭に移動してから四角の枠で囲むとよい。