--- title: "CASE 67: 「(2)研究環境」の書き方が主観的で、具体性が不十分(1)" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第10章 応募者の研究遂行能力及び研究環境 case_number: 67 pages: 289-292 images: page_0289.png ~ page_0292.png advice: "研究環境はできるだけ具体的に詳しく書こう" tags: ["具体的に", "アピールする"] --- # CASE 67: 「(2)研究環境」の書き方が主観的で、具体性が不十分(1) ## アドバイス 研究環境はできるだけ具体的に詳しく書こう ## どこがよくないか 本研究は、大きく分けて遺伝子改変マウスの作成と解析、慢性心不全モデルのin vitro、in vivoでの解析、DNP測定系の構築と、その患者検体への適応からなっており、最終的にDNPをターゲットにした心臓腫瘍への治療展開を目指している。これまでの研究で遺伝子改変マウスの作成および解析については、すでに研究基盤が整っている。DNP測定系については連携する共同研究先はすでに決定している。また、申請者は大学病院における循環器内科の責任者であり、解析対象の臨床検体の収集についても問題はない。遺伝子解析や細胞解析といった一般的な研究設備については、●●大学医学研究科の共同実験施設に整備されており、研究の遂行に支障はない。 ## 添削例 > 本研究は、大きく分けて遺伝子改変マウスの作成と解析、慢性心不全モデルのin vitro、in vivoでの解析、DNP測定系の構築と、その患者検体への適応からなっており、最終的にDNPをターゲットにした心臓腫瘍への治療展開を目指している。これまでの研究で遺伝子改変マウスの作成および解析については、すでに研究基盤が整っている。DNP測定系については連携する共同研究先はすでに決定している。また、申請者は大学病院における循環器内科の責任者であり、解析対象の臨床検体の収集についても問題はない。遺伝子解析や細胞解析といった一般的な研究設備については、●●大学医学研究科の共同実験施設に整備されており、研究の遂行に支障はない。 > > 主観的で現実味が薄い/具体的に書く **指摘された問題点:** 1. 「すでに研究基盤が整っている」と主観的な書き方が目立つ 2. 「臨床検体の収集についても問題はない」と主観的 3. 「研究の遂行に支障はない」と主観的 4. 「共同研究先」が決まっているのに、それがどこなのか書いていない ## なぜよくないのか? 【(2)研究環境(研究遂行に必要な研究施設・設備・研究資料等を含む)】を記述する理由は、「応募者の研究計画の実行可能性を示すため」である。そのためには研究環境について、できるだけ具体的に、そして審査委員が客観的に判断できるように書かなくてはならない。 例文では、「すでに研究基盤が整っている」「臨床検体の収集についても問題はない」「研究の遂行に支障はない」と主観的な書き方が目立つ。また「共同研究先」が決まっているのに、それがどこなのか書いていない。 ## どのように改良すればよいか? 【(2)研究環境】はできるだけ具体的に詳しく書く。詳しく書きすぎて審査の評価が下がることはない。スペースが許す限り、詳しく書いていこう。書くべき内容は【研究目的、研究方法など】の【(5)本研究の目的を達成するための準備状況】と重複する部分もあるが、それは問題ないだろう。 例文では、本研究で用いる「遺伝子改変マウス」はどのようなものなのか、どうして「臨床検体の収集」ができるのか、簡単に書いておく。「共同研究先」は誰なのか具体的に示す。「遺伝子解析や細胞解析といった一般的な研究設備」についても具体的な機器名をあげておく(case68も参照)。 ## 改善例 > 本研究は、大きく分けて遺伝子改変マウスの作成と解析、慢性心不全モデルのin vitro、in vivoでの解析、DNP測定系の構築と、その患者検体への適応からなっており、最終的にDNPをターゲットにした心臓腫瘍への治療展開を目指している。これまでの研究で遺伝子改変マウスの作成については、実験に使うDNPの血管内皮細胞に特異的な欠損マウスや全身での欠損マウスの作成は完了して、一部はすでに解析を進めている。DNP測定系については、〇〇大学の□□や●●大学の■■など連携する共同研究先はすでに決定している。また、申請者は大学病院における循環器内科の責任者であり、年間300例を超える慢性心不全患者を診察しており、解析対象の臨床検体の収集を行える。遺伝子解析や細胞解析といった一般的な研究設備については、次世代シークエンサーやFACSなどが●●大学医学研究科の共同実験施設に整備されており、研究遂行は十分に可能である。 ## 申請者のギモン 26 強調 その2 大事なので下線でアピールしました。 与格の文法化の解明:古英語DOCの主タイプはRecipientである。英語与格・対格屈折の形式的区別は、遅くとも14世紀には固定化した後も、与格とみなされている限り、その項は受け手のRecipientが受動態主語となるには、事態を構成する「不可欠」である必要がある。対格が与格化することは通言語的にみても非常によく見られる(「一方向的変化」)。受動態DOCにおいてRecipientが主語になったのも、与格が対格的機能を獲得した文法化現象例の一つである。格を付与されていた全てのDOC構文のRecipientが、一律に主語になったわけではない。動詞ごとのREC受動の広がりの差異の解明は、語彙と構文の関係の解明にもつながると考えられる。 下線部分が多い、多すぎる!本当に必要な部分に下線を引いているのか?(case11参照) 大部分の下線を削り、本当に必要な部分だけに下線を使う。 下線部分を目立たせるには、いくつかの方法がある。4つほどあげる。ただし下2つの方法は確かに目立つが、逆に目立ちすぎて煩わしく感じることもあるので注意。重要な部分が審査委員に伝わることが大切なので、やりすぎる必要はない。 - 下線+太字にする - 下線+ゴシック体太字にする - 下線を太くする - 二重下線にする