--- title: "CASE 66: 「(1)これまでの研究活動」に申請書の研究テーマとの関連がない" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第10章 応募者の研究遂行能力及び研究環境 case_number: 66 pages: 285-288 images: page_0285.png ~ page_0288.png advice: "業績リストだけでなく、簡単な説明を付けて「実行可能性」を示そう" tags: ["ふさわしく", "アピールする"] --- # CASE 66: 「(1)これまでの研究活動」に申請書の研究テーマとの関連がない ## アドバイス 業績リストだけでなく、簡単な説明を付けて「実行可能性」を示そう ## どこがよくないか (1)これまでの研究活動 申請者の専門分野は社会工学であり、本学の全学教育機構(本学全学部の1年生が学ぶ場所)において10年以上「社会工学入門」を担当している。申請者の研究業績は社会工学、とくに経営に関する社会問題に関するものが中心であり(業績1)、近年は新興国に関する調査研究を行っている(業績2~4)。以上より会社経営に関する多くの知見を有している。 【主な研究業績】 1,吉田秀和:市場の拡大が引き起こす競争ルール変化への対応のあり方、第40回社会工学研究会、口頭発表(2015) 2,吉田秀和、斎藤秀雄:共に発展するための新興国市場の課題、K大学総合人間科学研究、12, 20-35(2017) 3, H. Yoshida: Sustainable urban environment maintenance of emerging countries, Journal of Social engineering, Vol. 76, 233-239(2016) 4, H. Yoshida: Analysis of the interaction pattern of politics and economic development in emerging countries, Journal of Social engineering, Vol. 74, 171-187(2015) ## 添削例 > (1)これまでの研究活動 > > 申請者の専門分野は社会工学であり、本学の全学教育機構(本学全学部の1年生が学ぶ場所)において10年以上「社会工学入門」を担当している。申請者の研究業績は社会工学、とくに経営に関する社会問題に関するものが中心であり(業績1)、近年は新興国に関する調査研究を行っている(業績2~4)。以上より会社経営に関する多くの知見を有している。 > > 【主な研究業績】 > 1,吉田秀和:市場の拡大が引き起こす競争ルール変化への対応のあり方、第40回社会工学研究会、口頭発表(2015) > 2,吉田秀和、斎藤秀雄:共に発展するための新興国市場の課題、K大学総合人間科学研究、12, 20-35(2017) > 3, H. Yoshida: Sustainable urban environment maintenance of emerging countries, Journal of Social engineering, Vol. 76, 233-239(2016) > 4, H. Yoshida: Analysis of the interaction pattern of politics and economic development in emerging countries, Journal of Social engineering, Vol. 74, 171-187(2015) > > これまでの研究活動と業績が申請書の研究テーマと関連があるのか不明。内容を説明して「実行可能性」を示す **指摘された問題点:** 1. これまでの研究活動と業績が申請書の研究テーマと関連があるのか不明 2. 個々の業績がどのような内容で、今回申請する研究テーマと関連があるのかわからない 3. 業績リストだけでは「実行可能性」が示されていない ## なぜよくないのか? これまでの研究業績(論文や学会発表など)をリストにして、本文中に業績番号と対応させる書き方はよいが、個々の業績がどのような内容で、それが今回申請する研究テーマと関連があるのかどうかがわからない。 またCase64と同じく、【(1)これまでの研究活動】の本文を読んでも今回の研究計画との関連がわからない。申請者の専門分野や、そのなかでも何を中心にして研究を行ってきたのか(例文の場合、「経営に関する社会問題」と「新興国に関する調査研究」が中心)は書かれている。しかし、これまで行ってきた研究活動が今回の研究テーマにどのようにかかわっているのか、これまで身につけた研究手法や資料が研究を行ううえでどのように役立つのか(実行可能性)が、このような書き方ではわからない。 ## どのように改良すればよいか? 業績リストの番号を本文中に引用して説明する書き方はよいので、業績の内容をもう少し詳しく、今回の研究計画との関連で説明する。説明は本文に書いてもよいし、業績リストのところに記載してもよい。業績は十分にアピールして、「実行可能性」を示すこと。 例文では、本文中にも、業績リストにも、内容を説明する文章を加えて今回の研究テーマとの関連を示す。 ## 改善例 > (1)これまでの研究活動 > > 申請者の専門分野は社会工学であり、本学の全学教育機構(本学全学部の1年生が学ぶ場所)において10年以上「社会工学入門」を担当している。申請者の研究業績は社会工学、とくに経営に関する社会問題に関するものが中心であり(業績1)、近年は新興国に関する調査研究を行っている(業績2~4)。そのため、新興国における市場の課題や都市環境整備の問題点について調査を始めており、業績2にいくつかの問題点を既にまとめてあるので、今回の研究テーマに関しての調査方法や分析の準備は整っている。 > > 【主な研究業績】 > > ①吉田秀和:市場の拡大が引き起こす競争ルール変化への対応のあり方、第40回社会工学研究会、口頭発表(2015)(概要:急成長している国の市場では他国との様々な差が見られる。これを解消するためにどのようなルールを設けるべきかについて研究を行った。) > > ②吉田秀和、斎藤秀雄:共に発展するための新興国市場の課題、K大学総合人間科学研究、12, 20-35(2017)(概要:今後、各国がともに発展するために新興国市場にはどのような課題があるのか、3つの重要な問題点に整理し対応策を模索した。) > > ③H. Yoshida: Sustainable urban environment maintenance of emerging countries, Journal of Social engineering, Vol. 76, 233-239(2016)(概要:1960年代から1970年代の日本の高度経済成長を比較しながら、現代における新興国の持続可能な都市環境整備計画を提案した。) > > ④H. Yoshida: Analysis of the interaction pattern of politics and economic development in emerging countries, Journal of Social engineering, Vol. 74, 171-187(2015)(概要:マクロ実証や社会ネットワーク論の成果と融合することで、新興国における経済と政治の相互作用を解明した。) ## 申請者のギモン 25 強調 その1 一部を太字にしました。強調したい部分は一目で認識できますか? 本研究の目的は、現在抗がん剤として広く使われている競合型チロシンキナーゼ阻害剤の作用を増強する併用化学療法を開発することである。申請者は今までに、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の薬剤感受性に関する研究を精力的に行ってきて、EGFR遺伝子の薬剤感受性に関する基礎的研究を積み上げてきた。 重要な箇所を強調する手段として、その部分を太字(ボールド)にすることがよく使われる。しかし例文のように、明朝体でもゴシック体でも、その部分を太字にしてもあまり目立たないことが多い。それは通常の書体と太字との差が少ないためである。正確にはMS明朝とMSゴシックでは通常の書体と太字の差が少ない。 本文と強調する部分との差をはっきりと示すよい方法は、明朝体の本文のなかにゴシック体太字を入れることである。こうすると強調する部分がよくわかる。もちろん通常の書体と太字との差が大きいフォント(例えば、メイリオ)なら、同一のフォントでもかまわない。