--- title: "CASE 61: 誰に相談するかがあいまい" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 61 pages: 265-268 images: page_0265.png ~ page_0268.png advice: "計画段階でも協力体制として具体的な研究室/研究者名を書こう。できれば事前に許可をとって" tags: ["具体的に", "簡潔に"] --- # CASE 61: 誰に相談するかがあいまい ## アドバイス 計画段階でも協力体制として具体的な研究室/研究者名を書こう。できれば事前に許可をとって ## どこがよくないか **例文1** > 分子的解析においてリアルタイムRT-PCR等がうまくいかない場合には、しかるべき専門家に相談する。 **例文2** > 本研究計画を遂行するにあたり、これまで共同で外来魚研究を実施してきた県立水産研究所の〇〇〇〇主任研究員、台湾CFGの□□□博士に協力を依頼し、了解を得ている。具体的には、国内における外来魚の捕獲、外来魚の種同定、解剖による寄生虫の観察に関しては〇〇主任研究員、台湾における外来魚の捕獲と分析については□□博士の協力を得る。このように本研究計画を遂行するための協力体制は整っている。 ## 添削例 **例文1** > 分子的解析においてリアルタイムRT-PCR等がうまくいかない場合には、しかるべき専門家に相談する。 **指摘された問題点:** 1. 「しかるべき専門家」とは誰のことか? 2. リアルタイムRT-PCRは日常的な実験 **例文2** > 本研究計画を遂行するにあたり、これまで共同で外来魚研究を実施してきた県立水産研究所の〇〇〇〇主任研究員、台湾CFGの□□□博士に協力を依頼し、了解を得ている。具体的には、国内における外来魚の捕獲、外来魚の種同定、解剖による寄生虫の観察に関しては〇〇主任研究員、台湾における外来魚の捕獲と分析については□□博士の協力を得る。このように本研究計画を遂行するための協力体制は整っている。 **指摘された問題点:** 1. 研究体制がわかりにくい。図表を活用 ## なぜよくないのか? 例文1の「しかるべき専門家」とは?漠然としすぎている。分子的解析を行うことになっているのだから、計画段階である程度の相談相手を決めておき、その名前を明示するべきだ。なお、この例文は抜粋した実際の申請書のなかでは初年度の計画として書かれていた。初年度に行う計画なら、なおさら名前を明示するべきだ。科研費に採択された後、すぐに行う研究で、具体的に誰に相談するか決まっていないようにみえてしまうのはよくない。 例文2は研究体制を文章で書くのもよいが、体制は研究本体というよりも研究の実現性をサポートする情報であるから、審査委員には枠組みを認識してもらえれば十分だ。それには表や図にする方がわかりやすい。 ## どのように改良すればよいか? 研究に相談相手が必要なときには、ある程度相手方を決めておくこと。できればその人物から事前に許可をとって、申請書に研究体制として書く。研究体制は表や図にするとわかりやすい。文章で読むよりも、一目見ただけでわかる。 例文1では「しかるべき専門家」ではなく、特定の研究者の名前をあげる。 例文2では研究体制を図示する。 ## 改善例 **例文1** > 技術的に困難な分子レベルの解析がうまくいかない場合には、専門家である本学の分子生物学講座の〇〇の協力を得る体制ができている。 なお「リアルタイムRT-PCR等がうまくいかない場合」と具体的に書くと、審査委員に申請者は「生命科学系では日常的な実験の1つ(リアルタイムRT-PCR)すらうまくいかないのか?」と思われる危険性が生じる。ここは、「分子レベルの解析がうまくいかない場合には」にしておけばよい。 **例文2-a(表形式)** | 研究者名と所属 | 研究者の種別 | 役割 | |---|---|---| | 児島将康(久留米大学・分子生命科学研究所・教授) | 研究代表者 | 研究全般 | | 〇〇〇〇(県立水産研究所・主任研究員) | 研究分担者 | 国内における外来魚の捕獲、外来魚の種同定、解剖による寄生虫の観察 | | □□□(台湾CFG・主任研究員) | 研究協力者 | 台湾における外来魚の捕獲と分析 | **例文2-b(リスト形式)** > 久留米大学 児島将康(研究代表者:分子生命科学研究所・教授) >  研究全般 > > 県立水産研究所 〇〇〇〇(研究分担者:主任研究員) >  国内における外来魚の捕獲、外来魚の種同定、解剖による寄生虫の観察 > > 台湾CFG □□□(研究協力者:主任研究員) >  台湾における外来魚の捕獲と分析 ## 参考 下の例では研究体制と、各年度の研究計画を表にまとめている。 | 年度 | 研究代表者(〇〇):研究統括、進捗状況 | 分担研究者(〇〇) | 研究協力者(〇〇、〇〇) | 研究協力者(各地区の訪問介護ステーション) | |---|---|---|---|---| | 令和2年度 | 研究計画全般にわたり現場での調査に協力する。各地区の訪問介護ステーションや全国訪問看護事業協会からの研究協力の承諾はすでに得ている | ヒアリング調査への同行、プログラム項目の選択 | 研究協力者への調査の依頼 | ヒアリング調査およびプログラム項目の選択 | | 令和3年度 | 教育プログラムの作成(試案) | 教育プログラム作成についての検討と助言 | 研究協力者への調査依頼(プレテストの実施) | - | | 令和4年度 | 教育プログラムの本実施のための研究協力者への調査依頼 | - | - | - | | 令和5年度 | 教育プログラムの再修正と追加 | 教育プログラムの再修正 | - | - |