--- title: "CASE 58: 締めの言葉がなく完結した感じがしない" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 58 pages: 253-256 images: page_0253.png ~ page_0256.png advice: "締めに「目的」をくり返そう。「以上の研究によって,〜が明らかになる」や「この研究は,〜に貢献できると考える」など" tags: ["ふさわしく", "アピールする"] --- # CASE 58: 締めの言葉がなく完結した感じがしない ## アドバイス 締めに「目的」をくり返そう。「以上の研究によって,〜が明らかになる」や「この研究は,〜に貢献できると考える」など ## どこがよくないか 例文1〜3は、【(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか】の一番最後に書かれていた文章である。 **例文1** > さらに、他の国のさまざまな専門家との情報交換を目的として、研究成果及びそれに基づいて開発したテキストやガイドブックを翻訳して、Web上で公開する。 **例文2** > それぞれの細胞の頭蓋骨形成への関与について検討し、最終年度の平成26年度には細胞移植実験を行い、移植材料による骨形成の違いを比較する。 **例文3** > 久留米市を中心として教育プログラムを実施し、全国展開につなげる。研究成果は、訪問介護士における教育プログラムの開発というテーマで、日本介護科学学会に中間発表し、また日本介護科学学会の学術的雑誌に投稿していく。 ## 添削例 **例文1** > さらに、他の国のさまざまな専門家との情報交換を目的として、研究成果及びそれに基づいて開発したテキストやガイドブックを翻訳して、Web上で公開する。 **例文2** > それぞれの細胞の頭蓋骨形成への関与について検討し、最終年度の平成26年度には細胞移植実験を行い、移植材料による骨形成の違いを比較する。 **例文3** > 久留米市を中心として教育プログラムを実施し、全国展開につなげる。研究成果は、訪問介護士における教育プログラムの開発というテーマで、日本介護科学学会に中間発表し、また日本介護科学学会の学術的雑誌に投稿していく。 **指摘された問題点:** 1. 3つの例とも研究計画を示すだけであっさりと終わっている。締めの言葉として「目的」をくり返す ## なぜよくないのか? 具体的に研究をどのような方法で進めていくのかを記載する【(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか】において、開始部分と終了部分は非常に大切である。開始部分では研究期間全体のおおよその計画を書いて、その後に各年度の研究計画の詳細を書いていくだろう。一方、終了部分に関しては、調査項目や実験項目の内容を書くだけであっさりと終わっている例が意外に多い。しかし、この研究によってどのようなことがわかるのかなど、最後に締めの言葉で終わっているほうが印象に残る。 ## どのように改良すればよいか? 全体のまとめを締めの言葉としてほしい。「以上の研究によって、〜が明らかになる」「この研究計画は、〜に貢献できると考える」など、締めの言葉を書く。またこの締めの言葉は「目的」(この研究では何を明らかにしようとするのか)の最後の復習になる。ぜひとも最後の締めをきちんと書いてほしい。 例文1〜3では、それぞれの研究目的をもとにして、何が明らかになるのか、どのような展開が期待できるのかを書いて締めの言葉とする。 ## 改善例 **例文1** > さらに、他の国のさまざまな専門家との情報交換を目的として、研究成果及びそれに基づいて開発したテキストやガイドブックを翻訳して、Web上で公開する。 > 英語学習は中学校での基礎がしっかりと理解できていないと、以後の学習過程で躓きがちになる。この研究によって、英語学習の基礎を教える教員の学習指導能力の向上につながり、作成したテキストやガイドブックはそのための有益な資料となると考える。 **例文2** > それぞれの細胞の頭蓋骨形成への関与について検討し、最終年度の平成26年度には細胞移植実験を行い、移植材料による骨形成の違いを比較する。 > 本研究によって、骨移植材と形成骨の正確な組織構築が明らかになれば、骨組織の形成や再生過程の基盤研究に大きな役割を果たすことになると期待される。 **例文3** > 久留米市を中心として教育プログラムを実施し、全国展開につなげる。研究成果は、訪問介護士における教育プログラムの開発というテーマで、日本介護科学学会に中間発表し、また日本介護科学学会の学術的雑誌に投稿していく。 > 本研究の成果としてまとめられる訪問介護士の技能向上のための教育プログラムは、介護士技能の不安を解消し、介護士不足の問題解決だけでなく、自律した訪問介護士の育成へとつながることが期待される。 ## 参考 参考までに締め方の例をあげておく。 **参考1** > 上記の一連の研究から、PCFTによる自己複製に必須な遺伝子群の制御機構を明らかにし、ES細胞において血清条件での安定な自己複製機構を明らかにする。本研究の成果をもとに、他種動物由来のナイーブ型幹細胞の安定的樹立機構の解明へ発展させることが可能となる。 **参考2** > 活性のあるクローンについては、量を増やした培養液からIgGを精製し、グレリン受容体細胞株に濃度を変えて添加し、活性を確認する。できれば10クローンほどの陽性クローンをピックアップし、アミノ酸を置換したり、部分的にアミノ酸を削ったグレリン受容体を使って、受容体のエピトープ部位を調べる。 > 以上の計画で得られたグレリン受容体を活性化できるモノクローナル抗体を使って、受容体を活性型状態に固定し、活性型GPCRの結晶構造の解明に応用する。