--- title: "CASE 56: この研究ならではの特色がわかりにくい" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 56 pages: 245-248 images: page_0245.png ~ page_0248.png advice: "計画や方法でも特色は出そう。アイデアを整理し、これまでの研究にはない点をしっかり見出しておく" tags: ["はっきりと", "推敲のヒント"] --- # CASE 56: この研究ならではの特色がわかりにくい ## アドバイス 計画や方法でも特色は出そう。アイデアを整理し、これまでの研究にはない点をしっかり見出しておく ## どこがよくないか > 歯科心身症患者を対象として、薬物療法を行い、痛みや異常感の変化を評価する。また、治療前後の患者のQOL、心理・社会的負担の変化を測定する。同時に副作用等による脱落例も記録する。痛みや異常感、それぞれの症状に対する薬剤の至適用量、用量反応性について解析し、今後の臨床応用に備える。 ## 添削例 > 歯科心身症患者を対象として、薬物療法を行い、痛みや異常感の変化を評価する。また、治療前後の患者のQOL、心理・社会的負担の変化を測定する。同時に副作用等による脱落例も記録する。痛みや異常感、それぞれの症状に対する薬剤の至適用量、用量反応性について解析し、今後の臨床応用に備える。 **指摘された問題点:** 1. あまりに内容が平凡。特色を出す ## なぜよくないのか? 研究計画・方法の内容があまりに平凡すぎる。試しに対象疾患を別のものに変えても、文章がそのまま通じる(case36も参照)。一般的な方法で進める場合でも、申請者の独自性、オリジナリティが出ていないのはよくない。 ## どのように改良すればよいか? どうしても今までにないような方法が浮かばない場合には、研究内容は同じままでも、見せ方・示し方を工夫することで、申請者独自の、オリジナルなものにみせることもできる。全分野には応用できないが、平凡なものでも、書き方や見せ方の工夫をせめて検討するということだ。 例文ならば今までにないような「痛みや異常感の変化を評価する」方法を書く。「評価方法をスコア化する」「2次元マトリックス化する」など、申請書に記入する前に手書きでアイデアを視覚化して整理するのは有効だ(参考)。 ## 改善例 > 歯科心身症患者を対象として薬物療法を行い、痛みや異常感の変化を評価する。 > 痛みの程度を定量的に評価するために、視覚的アナログスケール(Visual analog scale)による簡易的な方法と、最新型の圧力痛覚計による数値データを組み合わせて定量化を行う。 > 異常感の変化については、治療前後の患者のQOLおよび心理・社会的負担の変化を測定する。この測定では、申請者はこれまでに舌痛症において数値化して評価してきた実績がある(参考文献9)。 > 定量化した痛みと異常感の変化を図のような2次元マトリックスにまとめ、治療のための客観的な指標を確立する。 > 同時に副作用等による脱落例も記録することで、痛みや異常感、それぞれの症状に対する薬剤の至適用量、用量反応性について解析し、今後の臨床応用に備える。 ## 参考 申請書に記入する前に手書きでアイデアを視覚化して整理した例。痛み・異常感・心理/性格をスコア化し、マトリックス化、2次元マトリックス化による歯科心身症の診断と治療薬選択のアイデアを整理している。