--- title: "CASE 54: 論文発表・学会発表・本の刊行は研究計画や方法としてふさわしいか" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 54 pages: 237-240 images: page_0237.png ~ page_0240.png advice: "論文発表・学会発表・本の刊行は研究計画の中身ではない。そのためのデータを集めて分析し何かを明らかにすることが研究である。成果の発信は申請書に書かなくてもよい" tags: ["ふさわしく"] --- # CASE 54: 論文発表・学会発表・本の刊行は研究計画や方法としてふさわしいか ## アドバイス 論文発表・学会発表・本の刊行は研究計画の中身ではない。そのためのデータを集めて分析し何かを明らかにすることが研究である。成果の発信は申請書に書かなくてもよい ## どこがよくないか **例文1** > ・論文の執筆段階(9月~3月) > 資料に対する分析の結果を整理し、研究会または学会報告を行う。研究発表で受けた指摘に基づき、論点を再検討し、論文を作成する。さらに改正した論文を学会誌や所属大学の論集において公刊する。 **例文2** > 平成31年度以降 > (中略) > 興味や関心についてアンケート調査を行う。さらに、アンケート調査の結果を解析して、本研究の教材を完成させて教育効果や教材の活用方法を検討する。 > 研究終了後、成果をまとめて学会発表および研究論文を発表し、研究報告書を作成する。 ## 添削例 **例文1** > ・論文の執筆段階(9月~3月) > 資料に対する分析の結果を整理し、研究会または学会報告を行う。研究発表で受けた指摘に基づき、論点を再検討し、論文を作成する。さらに改正した論文を学会誌や所属大学の論集において公刊する。 **指摘された問題点:** 1. 学会発表、論文発表は成果の発信であり、研究の中身ではない **例文2** > 平成31年度以降 > (中略) > 興味や関心についてアンケート調査を行う。さらに、アンケート調査の結果を解析して、本研究の教材を完成させて教育効果や教材の活用方法を検討する。 > 研究終了後、成果をまとめて学会発表および研究論文を発表し、研究報告書を作成する。 **指摘された問題点:** 1. 研究終了後の成果発表の記述は研究計画としては不要 ## なぜよくないのか? 誤解を恐れずにいうと、論文発表は研究計画の中身ではない。論文発表は研究成果の発表や公表の手段として非常に大切だが、あくまでも研究計画に付随するものだ。調査・研究そのものではなく、調査・研究の結果を受けてはじまるものである。その点を忘れずに。 論文発表と同じく学会発表や本の刊行も、研究を行ったことによる結果であり、研究計画を主とすれば従にあたるものだ。 ## どのように改良すればよいか? 論文発表・学会発表・本の刊行は(科研費申請書の求めている)研究計画に書くべきことではない。もちろん論文発表・学会発表・本の刊行は科研費の「成果」として求められるし、報告書にはこれらの業績をあげることになっている。しかしもう一度いうが、論文発表・学会発表・本の刊行は研究の目的や中身ではなく(主ではなく)、研究を行った結果によるものである(従である)。申請書の研究計画に書くことは、行うべき調査・研究である。 研究計画・方法に「成果をまとめ学会発表やシンポジウム等で成果発信する」「論文発表する」「本を刊行する」などの記述は不要だ。なお、以前の申請書には論文発表・学会発表・本の刊行を書く項目として【成果を外部に向けて発信する方法】というところがあったが、現在の申請書からはなくなっている。 ## 申請者のギモン21:見出しの工夫 記載事項の説明欄には「研究計画の着目ポイント」を記述、とは書かれていない。この例のように「研究計画2年目の着目ポイント」を独自に書くのはよいのだろうか? 問題ない。例については、それ以外に、重要な点を破線で囲んでまとめてあるのはよい工夫だ。また「研究計画」のなかに、「研究上の工夫」「研究協力者」「本研究応募者の異動・退職予定」などが上記で抜粋した部分以外にきちんと書いてあって、細やかな対応が感じられて非常によい印象をもつ。 「研究計画」を緻密にしっかりと書くことが前提だが、わかりやすいように、読みやすいように、各人でいろいろと工夫するのはよい。見出しも募集要項や申請書の説明欄に書いていないものは使っていけないということはなくて、読んでわかりやすい、理解しやすい工夫であれば、審査委員もよい印象をもつ(申請者のギモン18も参照)。見出しを活用している例を示す。