--- title: "CASE 53: データ分析の種類だけで内容がないのでイメージできない" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 53 pages: 233-236 images: page_0233.png ~ page_0236.png advice: "分析手法の中身を詳しく書こう。「目的」とデータ分析の関係性も意識して" tags: ["はっきりと", "具体的に"] --- # CASE 53: データ分析の種類だけで内容がないのでイメージできない ## アドバイス 分析手法の中身を詳しく書こう。「目的」とデータ分析の関係性も意識して ## どこがよくないか **例文1** > 本研究は、潜在教員にかかわる広い発達期の、様々な立場の研究対象からの半構造化面接を基本とする面接調査を行う。具体的には、①青年期である教員養成課程の在学生、②青年期から中年期に至る現職の教員、③青年期から中年期に至る潜在教員を対象とし、個別の面接データを収集する。分析は質的データ分析(質的コーディング法等)を検討している。 **例文2** > アンケート調査 > (7)調査票の集計とデータの分析:パーソナル・コンピューターで実施する。 ## 添削例 **例文1** > 本研究は、潜在教員にかかわる広い発達期の、様々な立場の研究対象からの半構造化面接を基本とする面接調査を行う。具体的には、①青年期である教員養成課程の在学生、②青年期から中年期に至る現職の教員、③青年期から中年期に至る潜在教員を対象とし、個別の面接データを収集する。分析は質的データ分析(質的コーディング法等)を検討している。 **指摘された問題点:** 1. 具体的にここではどのような分析になるのか? **例文2** > アンケート調査 > (7)調査票の集計とデータの分析:パーソナル・コンピューターで実施する。 **指摘された問題点:** 1. 分析というにはあまりに拙い。どのようなソフト、どのような分析手法を使うかを書く ## なぜよくないのか? 例文1に書かれている「質的データ分析」によって、どのような特徴のある分析を行うのか?なぜ、この研究でこの手法を用いるのか?簡単でよいので、その意図を書いておかないといけない。 例文2は確かにアンケートの集計とデータ分析は「パーソナル・コンピューターで実施する」のだが、単に「パソコンで分析する」では研究方法としては意味がない。 審査委員が詳しく知りたいことはデータ分析方法の種類ではなく、研究の目的とデータ分析の関係性(どのような意図でデータを分析するか)の方である。逆説的だが、データ分析の中身(内容)を具体的にすることで、この関係性が伝わりやすくなる。 ## どのように改良すればよいか? データ分析は研究の重要な手法なので、その内容を具体的に書いておかなければ研究の核心が伝わらない(case51参照)。特に文系の申請書におけるデータ分析については、「なぜその分析方法を使うのか」「その特徴は」「この研究でその方法を使う意義は何なのか」などを書いておくこと。 例文1は、「教員のライフデザインに関連した項目を選択するために」などと簡単に書いておく、また「質的データ分析」のなかから「どの分析法を使うのか」「その手法は具体的にどのようなものか」について説明しておく。 例文2は、「どのようなソフトを使って」「どのような分析手法によって」解析するかを書いておく。 ## 改善例 **例文1** > 本研究は、潜在教員にかかわる広い発達期の、様々な立場の研究対象からの半構造化面接を基本とする面接調査を行う。具体的には、①青年期である教員養成課程の在学生、②青年期から中年期に至る現職の教員、③青年期から中年期に至る潜在教員を対象とし、個別の面接データを収集する。得られたデータから「教員のライフデザインに関連した項目を選択する」ために、分析は質的データ分析のSCAT分析法(Steps for Coding And Theorization)を検討している。 > SCAT分析法は、面接調査のデータ記録などの言語データをセグメント化し、(1)データの中の着目すべき語句、(2)それを言いかえるためのデータ外の語句、(3)それを説明するための語句、(4)そこから浮き上がるテーマ・構成概念の順にコードを考案して付していく4ステップのコーディングと、テーマや構成概念を統合してストーリー・ラインと理論を記述する手続きとからなる分析方法である。 **例文2** > アンケート調査 > (7)調査票の集計とデータの分析:回答を得た調査票はコンピューターへの入力作業を行ったあと、入力データの文字情報を数値化して分析可能なデータに変換し、分析のための予備的な作業を行う。そののち統計分析ソフトRおよびデータマイニングソフトを使って分析を進める。 ## 申請者のギモン20(続):フォントの大きさ つまり、フォントは11ポイントにすればよいのですね? 以下に、同じポイント数にしたさまざまなフォントを示す。 図にあるように同じポイント数でも、フォントによって微妙に大きさが違って見えることがわかるだろう。MSフォントは明朝体もゴシック体も大きさは同じだが、他のフォントとは微妙に違う。MSフォント以外の他のフォントは、多くはやや大きめに見える。 したがって申請書のフォントは11ポイントと決めてしまわずに、フォントの特徴をみて大きさを決めた方がよい。 例えばよく使われるMS明朝やMSゴシックはやや小さめのフォントなので、科研費応募要項に指定されている「11ポイント以上」の11ポイントが適した大きさである。しかし、他のフォントはMSフォントよりもやや大きめに見えることが多く、調整が必要。例えばヒラギノ明朝やヒラギノ角ゴシックProでは、10.5ポイントがMSフォントの11ポイントと同じくらいの大きさに見える。メイリオや游明朝体も10.5ポイントくらいがちょうどいい大きさになる。留意事項として「『MS明朝』『MSゴシック』の11ポイントに相当する大きさの文字等を使用」としてくれればいいのにと思う。