--- title: "CASE 49: 研究項目ごとに計画の詳細しか書かれていない" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 49 pages: 213-216 images: page_0213.png ~ page_0216.png advice: "研究項目の詳細を書く前に、研究項目(実験)の「目的」を書こう" tags: ["はっきりと", "簡潔に"] --- # CASE 49: 研究項目ごとに計画の詳細しか書かれていない ## アドバイス 研究項目の詳細を書く前に、研究項目(実験)の「目的」を書こう ## どこがよくないか > (平成25年度) > 1.マルチメディアの語学習得における役割と効果、実践的授業への効果的利用への提言 >  リアルタイムの発表後、学習者が修正を行わなかった場合、誤りに気づかなかったのか、あるいは気づいていたのに修正しなかった(できなかった)のはなぜかを、録画された会話を見ながら学習者にインタビューして解明していく。 ## 添削例 > (平成25年度) > 1.マルチメディアの語学習得における役割と効果、実践的授業への効果的利用への提言 >  リアルタイムの発表後、学習者が修正を行わなかった場合、誤りに気づかなかったのか、あるいは気づいていたのに修正しなかった(できなかった)のはなぜかを、録画された会話を見ながら学習者にインタビューして解明していく。 **指摘された問題点:** 1. この研究項目の目的が書かれていない。目的を簡単に書く ## なぜよくないのか? 例文は調査項目(研究項目)の内容を具体的に述べているが、その目的が書かれておらず審査委員には読みとりにくい。「目的」あってこその実験や調査である(case48も参照)。それぞれの研究項目の「目的」は何か、なぜ行う必要があるか、その研究項目によって何が明らかになるのかを書いておかなければならない。 ## どのように改良すればよいか? 論文を書くときには、次のように書く訓練を受けているはずだ。 「何を明らかにするためにこの実験・調査を行うのか?」→「どのような手法で実験・調査を行うのか?」→「得られた結果は?」→「それによって、何が明らかになったのか?」 申請書もこれと同じ流れで書くとよい。つまり「何を明らかにするためにこの実験・調査を行うのか?」→「どのような手法で実験・調査を行うのか?」→「得られる結果とその意義の予想は?」。ただし申請書の内容は未来のことなので、結果とその意義は予想を書く。 例文では、個々の調査項目の「目的」を加える。詳しく書く必要はなく、簡単でよい。「目的」あってこその実験や調査であることをしっかりと意識しよう。また「これによって実践授業の問題点を修正していくためのヒントが得られる」と、この研究によって得られることを書き加える。 ## 改善例 > (平成25年度) > 1.マルチメディアの語学習得における役割と効果、実践的授業への効果的利用への提言 >  実践授業の実施段階になったときに、生じた問題点を修正し改良していく必要がある。そのために、リアルタイムの発表後、学習者が修正を行わなかった場合、なぜ誤りに気づかなかったのか、あるいは気づいていたのに修正しなかった(できなかった)のはなぜか、録画された会話を見ながら学習者にインタビューして解明していく。これによって実践授業の問題点を修正していくためのヒントが得られる。 ## 参考 実験の目的や具体的な手法、その展開まで書かれたよい例をあげる。 > 2.平成25年度以降 > 2)対象種のDNA検出法(平成25年度) >  PCR増幅により、抽出した環境DNAからブラックバスやブルーギルなどの外来魚のDNAを検出する方法を開発する。ここでの主な内容は、(1)種固有のプライマー配列の設計と(2)増幅温度条件の設定となる。なおプライマー(約20塩基の人工DNA)は、PCR増幅によって特定のDNA配列を大量にコピーし、いわば検出器の働きをする。これにより、もとのDNAがわずかでも電気泳動で対象種のDNAを検出できる。また、このコピーは後述のDNA定量にも用いる。 > (1)種固有のプライマー配列の設計 >  これまで種判別に利用されているミトコンドリアDNAのシトクロームb遺伝子の配列を対象とする。DNAデータベースを利用して、外来魚のそれぞれについて、他生物種に共通しない種固有の配列を設計する。 > (2)増幅温度条件の設定 >  PCR増幅の成否はプライマーがDNAに結合する温度に依存する。ここでは予め両種のDNAを用い、設計したプライマーによってDNAが増幅するか、電気泳動によって確認しながら、最適な温度条件を決定する。 >  以上の実験によって環境DNAから外来魚のDNAを検出する方法が開発でき、次の生息調査の現場からのサンプルに応用する。 > 3)現地水路における有効性の確認(平成25年度後半~26年度前半) >  実際の生息調査における環境DNAの有効性を確認するため、(1)現地水路において採水と個体の捕獲を実施する。(2)環境DNA中における対象種のDNAを定量し、捕獲量との相関関係を明らかにする。