--- title: "CASE 48: 年度ごとの研究計画の詳細しか書かれていない" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 48 pages: 209-212 images: page_0209.png ~ page_0212.png advice: "年次計画の詳細の前に、年度の要約や「目的」を書こう" tags: ["はっきりと", "簡潔に"] --- # CASE 48: 年度ごとの研究計画の詳細しか書かれていない ## アドバイス 年次計画の詳細の前に、年度の要約や「目的」を書こう ## どこがよくないか > 【平成29年度】 > ①TFCPによる自己複製に必須な遺伝子の転写制御機構 >  TFCPのコンディショナルノックアウト(cKO)ES細胞において、外来性TFCPのドキシサイクリン(Dox)依存性の人為的発現誘導系を構築する。この細胞を用いて、内在性TFCP遺伝子の除去の前後およびDox添加による外来性TFCPの発現誘導の組み合わせ条件において、Oct4などの発現をqPCRで定量する。ChIP-qPCR法においては、自己複製に必須な遺伝子としてOct4、Sox2、Nanog、Esrrb、Klf4、TFCPを、また、STAT3結合のコントロールとしてSocs3遺伝子の合計7個について制御領域を調べる。これにより、TFCPによる自己複製に必須な遺伝子の発現がTFCP依存性かどうか明らかにする。 > > 以下に②③と続く ## 添削例 > 【平成29年度】 > ①TFCPによる自己複製に必須な遺伝子の転写制御機構 >  TFCPのコンディショナルノックアウト(cKO)ES細胞において、外来性TFCPのドキシサイクリン(Dox)依存性の人為的発現誘導系を構築する。この細胞を用いて、内在性TFCP遺伝子の除去の前後およびDox添加による外来性TFCPの発現誘導の組み合わせ条件において、Oct4などの発現をqPCRで定量する。ChIP-qPCR法においては、自己複製に必須な遺伝子としてOct4、Sox2、Nanog、Esrrb、Klf4、TFCPを、また、STAT3結合のコントロールとしてSocs3遺伝子の合計7個について制御領域を調べる。これにより、TFCPによる自己複製に必須な遺伝子の発現がTFCP依存性かどうか明らかにする。 > > 以下に②③と続く **指摘された問題点:** 1. いきなり実験項目(研究項目)の詳細を書いている。まずは計画の要約を書く ## なぜよくないのか? 例文では【(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか】の冒頭で、「平成29年度」と書いて、すぐに実験項目(研究項目)ごとに研究の詳細を書いている。この後も、ただ実験項目だけを順番に書いているだけで、その年度には何を行うのかという全体像がつかみにくい。 これは科研費申請書によくある書き方のパターンであり、ほとんどの審査委員はそのまま読み流してしまい、印象に残りにくい。 ## どのように改良すればよいか? 1~2行でいいので、その年度の実験計画(研究計画)の要約を冒頭に書いておくのがよい。いわゆるパラグラフライティングのように、まず要約や「目的」を書いておいて、その内容を詳しく説明していく、そうするとその年度に行う実験(研究)の全体像が把握できて、個々の実験項目(研究項目)を理解しやすい。 ## 改善例 > 【平成29年度】 >  平成29年度にはマウスES細胞が自己複製を行うために必須な遺伝子群について、転写因子TFCPによってこれらの遺伝子群の発現制御がどのように行われるのかを明らかにする。 > ①TFCPによる自己複製に必須な遺伝子の転写制御機構 >  TFCPのコンディショナルノックアウト(cKO)ES細胞において、外来性TFCPのドキシサイクリン(Dox)依存性の人為的発現誘導系を構築する。この細胞を用いて、内在性TFCP遺伝子の除去の前後およびDox添加による外来性TFCPの発現誘導の組み合わせ条件において、Oct4などの発現をqPCRで定量する。ChIP-qPCR法においては、自己複製に必須な遺伝子としてOct4、Sox2、Nanog、Esrrb、Klf4、TFCPを、また、STAT3結合のコントロールとしてSocs3遺伝子の合計7個について制御領域を調べる。これにより、TFCPによる自己複製に必須な遺伝子の発現がTFCP依存性かどうか明らかにする。 > > 以下に②③と続く