--- title: "CASE 47: 研究計画の内容が少なすぎる" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 47 pages: 205-208 images: page_0205.png ~ page_0208.png advice: "研究項目ごとに「目的」「具体的なメソッド・手法」「予想される結果と意義」を書こう" tags: ["はっきりと", "具体的に", "推敲のヒント"] --- # CASE 47: 研究計画の内容が少なすぎる ## アドバイス 研究項目ごとに「目的」「具体的なメソッド・手法」「予想される結果と意義」を書こう ## どこがよくないか > 【年次計画】 > ■1年目(平成25年度) > 文献収集・事例整理 > 国内調査および研究協力者との打ち合わせ:東京 > 海外調査:英国・ロンドン、ノルウェー・オスロ > 出張報告書の作成 > ■2年目(平成26年度) > 統計データ分析 > 海外調査:クウェート、アラブ首長国 > 出張報告書の作成 > 学会報告 > ノルウェー、中東、中国等の企業ファンドの比較研究についての学術論文の作成 > ■3年目(平成27年度) > 出張報告書の作成 > 学会報告、研究会報告 > 日本と英国等企業ファンド受入国の制度に関する比較研究についての学術論文の作成 ## 添削例 > 【年次計画】 > ■1年目(平成25年度) > 文献収集・事例整理 > 国内調査および研究協力者との打ち合わせ:東京 > 海外調査:英国・ロンドン、ノルウェー・オスロ > 出張報告書の作成 > ■2年目(平成26年度) > 統計データ分析 > 海外調査:クウェート、アラブ首長国 > 出張報告書の作成 > 学会報告 > ノルウェー、中東、中国等の企業ファンドの比較研究についての学術論文の作成 > ■3年目(平成27年度) > 出張報告書の作成 > 学会報告、研究会報告 > 日本と英国等企業ファンド受入国の制度に関する比較研究についての学術論文の作成 **指摘された問題点:** 1. 内容があまりに少ない!具体的に ## なぜよくないのか? 研究計画(年次計画)の内容があまりに少なく、それぞれに具体性も何もない。本当はそんなことはないのに、申請書からこの研究は数日から数週間あればできてしまうのではという印象すら抱く、これでは研究計画とはいえない。 ## どのように改良すればよいか? 研究の年次計画(研究計画)は【(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか】の項目で最も大切。しっかりと書かないといけない。書き慣れないうちは次の構成を意識しよう。まずその年度に「何を目的に研究を行うのか」を1~2行でまとめて書く、次にその目的を明らかにするために行う「研究手段・手法」について、3つくらいを目安に解説する。そして最後に、「どのような結果が得られると予想されるか、またその意義」を書けばよい。つまり、以下のような流れで書く。 ・「年次計画の目的」→「具体的な手段・手法」→「予想される結果と意義」 例文のような一見少ない内容をどのように膨らませればよいか、ステップを踏んでみていこう。「文献収集」は、どのような文献なのか?またどこで文献を収集するのか?という視点から、まずその文献を調べる目的を書いて、文献の例(があれば)を2~3例あげる。そしてもちろん文献を収集するだけではだめ。収集した文献の調査をどのように進めるかも膨らませる。どのようにまとめるのか?どのように分類して、解析するのか?どのくらいの量の文献を調査するのか?という視点からできるだけ詳しく書く。さらに文献をどのように調べるのかも膨らませる。文献をどの程度まで読みこむのか?どのようにメモするのか?その際に、どのような記述に注目するのか?抜き出した資料はどのように整理するのか?どのように分析するのか? このような問いかけの視点をもって、実際のことを思い浮かべながら書くとよい。 ## 改善例 > 【年次計画】 > ■1年目(平成25年度) >  1年目は政府系企業ファンドの資金源、投資先、運用実績について英国の事例を調べ、現地調査を行う。英国は国際投資の拠点であり、政府系企業ファンドの研究が活発なこと、政府系企業ファンドについての情報開示度が高いことなどが理由である。 >  **データ収集:** 英国の政府系企業ファンドに関して資金源、投資先、運用実績などのデータを収集する。そのための資料としては、政府系企業ファンドに関する書籍、論文、新聞・雑誌、データベース等を使用する。 >  **書籍:** ○○らや、BeAuxらによる「政府系企業ファンド」に関する書籍などに英国の政府系企業ファンドのデータが多数収集されている。資金源や投資先などの記載を中心に資料収集を行う。 >  **論文:** Pressler, Cohen, Greenhouseらによる論文など多数あり、投資の資金源の拠出方法や運用実績についての詳細な分析などを中心に調べる。 >  **新聞・雑誌:** Financial TimesやEconomicsなどの新聞には有益な情報やデータがあり、またかなり古い時代のデータから最新のものまで、電子化されており、検索機能によって膨大な情報を調べることができる。とくに運用実績などのデータを中心に調べる。さらに英国のEconomicsやBritish Economic Journalなどの雑誌にも運用実績のデータや資料が多い。これらも電子版によって容易に検索を行うことができる。 >  **データベース:** 上場企業の大株主のデータを収録した国内外のデータベースにより、英国の政府系企業ファンドの運用実績のデータを得る。投資先企業については、開示された企業データベースから情報を得る。とくに資金の拠出先、資金の流れ、運用方法、情報開示制度などについて調べる。 >  **海外調査:** 国内で得ることのできる情報以外の詳細な資料や開示されていない情報に関して、現地の研究者の協力を得て調査を進める。特に政府系企業への融資やその企業の実績、投資先が公にならない企業等の情報収集を行う。英国ロンドンは国際投資の拠点であり、政府系企業ファンドについての研究実績が多いシティ経済研究センターやロンドン経済大学の研究者へのヒアリングを予定し、内諾を得ている。 > 【ヒアリングの内容】 >  ヒアリング対象者:シティ経済研究センターやロンドン経済大学の研究者を約12名(○○教授、○○専任研究員など打ち合わせ済み) >  ヒアリングの項目:英国政府の政府系企業ファンドの資金源、融資先企業の情報(とくに政府系企業や私企業への非公表の融資の実態)、運用実績の詳細、その他の開示されない情報について。 >  ヒアリング結果の分析:国内において事前に調査した以外の情報を中心に分析を行う。 >  以上の1年目の調査・研究から、次年度以降の日本、中国、中東諸国の政府系企業ファンドとの比較分析のためのデータを得ることができる。