--- title: "CASE 46: 方法論は具体的なのにわかりにくい" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 46 pages: 201-204 images: page_0201.png ~ page_0204.png advice: "研究項目に番号をふろう。スペースがあれば箇条書きにする" tags: ["はっきりと", "レイアウト"] --- # CASE 46: 方法論は具体的なのにわかりにくい ## アドバイス 研究項目に番号をふろう。スペースがあれば箇条書きにする ## どこがよくないか > (4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか >  申請者らの予備実験では、既にヒト末梢血単核球からTNF, IL-6刺激により象牙質上で石灰化組織を形成することが確認されている。この石灰化組織を誘導した細胞は、末梢血中の骨芽細胞系細胞であると予想されることから、骨芽細胞系細胞の分離・同定、機能、分化・活性化のメカニズム、生体内での役割の解明を進める。具体的には、フローサイトメトリーを用いて末梢血単核球から骨芽細胞系細胞の集団を分離・同定する。この骨芽細胞様細胞を象牙質上で培養し、TNF, IL-6刺激し、無刺激と比較して石灰化組織の形成が顕著であるか、電子顕微鏡で確認する。そして、骨芽細胞分化に必須な転写因子(Runx2, SP7)のmRNA、タンパクの発現レベルを比較検討する。また、生体内でも誘導できるか確認するために、マウス腹腔内にTNF, IL-6刺激された骨芽細胞系細胞を移入し、8週間後に石灰化組織が形成されるか、レントゲン撮影により解析する。 ## 添削例 > (4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか >  申請者らの予備実験では、既にヒト末梢血単核球からTNF, IL-6刺激により象牙質上で石灰化組織を形成することが確認されている。この石灰化組織を誘導した細胞は、末梢血中の骨芽細胞系細胞であると予想されることから、骨芽細胞系細胞の分離・同定、機能、分化・活性化のメカニズム、生体内での役割の解明を進める。具体的には、フローサイトメトリーを用いて末梢血単核球から骨芽細胞系細胞の集団を分離・同定する。この骨芽細胞様細胞を象牙質上で培養し、TNF, IL-6刺激し、無刺激と比較して石灰化組織の形成が顕著であるか、電子顕微鏡で確認する。そして、骨芽細胞分化に必須な転写因子(Runx2, SP7)のmRNA、タンパクの発現レベルを比較検討する。また、生体内でも誘導できるか確認するために、マウス腹腔内にTNF, IL-6刺激された骨芽細胞系細胞を移入し、8週間後に石灰化組織が形成されるか、レントゲン撮影により解析する。 **指摘された問題点:** 1. 実験項目がわかりにくい。番号をふる 2. 申請者のこれまでの研究だが少々長い 3. 研究だが少々長い ## なぜよくないのか? 【(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか】の冒頭に研究計画全体の概要を書いている点はよい。ただし、具体的な実験項目(研究項目)をひと続きの文章で書いているので、審査委員はいくつの項目を計画しているのか把握しにくい。また冒頭の4行は、申請者らがこれまでに行ってきた研究の概要や予備的な実験結果だが、少々長すぎる。 ## どのように改良すればよいか? 具体的な実験項目はひと続きの文章で書くよりも、「1)、2)、3)」と番号をふると、審査委員も把握しやすい。また予備的な実験結果は、この後に書いていく研究計画の詳細の前の方に移すのがよい。例文では「目的のおさらい」→「実験項目」という流れにする。こうすると冒頭部分が研究計画のよい導入となって、以下の実験項目を行う理由や必然性がイメージしやすい。 ## 改善例 > (4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか >  本研究の目的は、末梢血中に存在する骨芽細胞様細胞が、炎症性サイトカインにより活性型細胞に誘導され、血管壁などの石灰化組織の形成に関与していることを明らかにすることである。具体的には、次のように研究を進める。 > 1)フローサイトメトリーを用いて末梢血単核球から骨芽細胞系細胞の集団を分離・同定する。2)この骨芽細胞様細胞を象牙質上で培養し、TNF, IL-6刺激し、無刺激と比較して石灰化組織の形成が顕著であるか、電子顕微鏡で確認する。3)骨芽細胞分化に必須な転写因子(Runx2, SP7)のmRNA、タンパクの発現レベルを比較検討する。4)生体内でも骨芽細胞系細胞による石灰化を確認するために、マウス腹腔内にTNF, IL-6刺激された骨芽細胞系細胞を移入し、8週間後に石灰化組織が形成されるかレントゲン撮影により解析する。