--- title: "CASE 45: 必要な内容が十分に書かれておらずわかりにくい(2)" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第8章 研究目的、研究方法など:何をどのように case_number: 45 pages: 197-200 images: page_0197.png ~ page_0200.png advice: "「何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の冒頭には、もう一度「目的」を簡単に書いておこう。研究項目は取り組む順や流れが見えるように書く" tags: ["ふさわしく", "はっきりと"] --- # CASE 45: 必要な内容が十分に書かれておらずわかりにくい(2) ## アドバイス 「何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の冒頭には、もう一度「目的」を簡単に書いておこう。研究項目は取り組む順や流れが見えるように書く ## どこがよくないか > (4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか >  本研究では(1)基礎調査の資料を作成、(2)類例作品の調査、(3)放射性炭素年代測定法による制作年の測定、(4)類例作品の調査と年代測定の結果を踏まえた考察の手順で研究を進める。 >  膨大な作品調査をスムーズに行なうために、システマティックに構築した調査方法を遂行する。それらのデータを集積して調査作品の制作年代と制作地を明確にすることで、調査を行なったコレクションの歴史的な位置づけが可能となる。 ## 添削例 > (4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか >  本研究では(1)基礎調査の資料を作成、(2)類例作品の調査、(3)放射性炭素年代測定法による制作年の測定、(4)類例作品の調査と年代測定の結果を踏まえた考察の手順で研究を進める。 >  膨大な作品調査をスムーズに行なうために、システマティックに構築した調査方法を遂行する。それらのデータを集積して調査作品の制作年代と制作地を明確にすることで、調査を行なったコレクションの歴史的な位置づけが可能となる。 **指摘された問題点:** 1. いきなり調査項目を書かない!改めて、目的は? 2. 「システマティックに構築した調査方法を遂行する」は抽象的。具体的には? ## なぜよくないのか? 【(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか】の冒頭部分に研究計画全体の要点を書いているのはよい。しかし、例文のよくない点は2つある。 まず1つ目はいきなり調査項目(研究項目)を書いていること。2つ目は「膨大な作品調査をスムーズに行なうために、システマティックに構築した調査方法を遂行する」の部分は進め方の注意点を述べたものであり、具体的な研究方法(手法)を書いているものではないこと。 重要なことは審査委員の記憶をあてにしないことである。審査委員がこの申請書を読むのは今日のこのときがはじめてであるから、ここまで読んで「研究目的」をしっかりと理解しているわけではない。そこでもう一度、「研究目的」を復唱して審査委員に印象づける。 ## どのように改良すればよいか? 【(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか】の冒頭に「研究目的」を簡単に(2~3行以内)書いて、復唱しておいてほしい。研究目的があって、それを実現するために具体的な方法論がある。 例文では、「古代中国の染織品」が研究対象であることを示す。 ## 改善例 > (4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか >  本研究では古代中国の染織品について、科学分析によって制作年代と制作地を明確にすることで、文様の変遷や技法の他地域への伝播について明らかにする。以下の手順で研究を進める。 > (1)基礎調査の資料作成:殷・周の更紗の文様と技法を調査する > (2)類例作品の調査:国内外の美術館・博物館での類例作品を調査する > (3)放射性炭素年代測定による制作年の測定:河南省鄭州市で発掘された殷・周の更紗の年代を測定する > (4)類例作品の調査と年代測定の結果を踏まえた考察 > > 以下に(1)~(4)について詳しく書いていく なお、例文の「(1)」~「(4)」の調査項目は書かれた内容が申請者の研究ならではのオリジナル(独自性)なものでなく、あまりに一般的だ。この部分を他の申請書にそのまま移すこともできるくらいだ。それではいけない。もっと個性を発揮しなければいけない(case36参照)。