--- title: "CASE 42: 「関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ」が具体的でない" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第7章 研究目的、研究方法など:着想に至った経緯など case_number: 42 pages: 185-188 images: page_0185.png ~ page_0188.png advice: "「国内外の研究動向」には、具体的な文献などをあげて研究テーマに関する現状を示すこと" tags: ["具体的に"] --- # CASE 42: 「関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ」が具体的でない ## アドバイス 「国内外の研究動向」には、具体的な文献などをあげて研究テーマに関する現状を示すこと ## どこがよくないか > 解剖学研究者や現場教員による系統解剖の新しい教材開発や工夫した授業・実習等に関わる研究の報告は多い。しかし、具体的に系統解剖において、どのような知識・技能が習得されていないために医学生がつまずいてしまい、系統解剖の科学的な概念がうまく構築できないのかについては申請者の研究の他はあまりみられない。また、現場の教員がどのような知識・技能を補強した授業を実践していけば系統解剖の概念をうまく構築できるのか、その指針を与える研究はあまりない。 ## 添削例 > 解剖学研究者や現場教員による系統解剖の新しい教材開発や工夫した授業・実習等に関わる研究の報告は多い。しかし、具体的に系統解剖において、どのような知識・技能が習得されていないために医学生がつまずいてしまい、系統解剖の科学的な概念がうまく構築できないのかについては申請者の研究の他はあまりみられない。また、現場の教員がどのような知識・技能を補強した授業を実践していけば系統解剖の概念をうまく構築できるのか、その指針を与える研究はあまりない。 **指摘された問題点:** 1. 具体的でない。文献などの例を示す 2. こちらにも例を示す ## なぜよくないのか? 「研究の報告は多い」とあるのに、具体的な「研究の報告」の例をあげていない。【関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ】を記載する部分なのだから、研究の動向のわかる具体例がほしい。 また「申請者の研究の他はあまりみられない」とあるが、申請者の具体的な研究が例示されていない。 ## どのように改良すればよいか? 本研究テーマに関して、他の研究者からどのような研究がなされているのか、具体的な文献や学会報告などを記載して示すこと。また「申請者の研究の他はあまりみられない」の部分には、実際の申請者の研究成果(論文や学会報告など)をあげておくのがよい。 具体的な文献や学会報告をあげることで、【関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ】に書かれた内容が申請者の主観的なものではなく、これまでの研究成果に裏づけられた研究動向であると示すことができる。 【研究目的、研究方法など】には、ここで紹介している【関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ】とcase25、26で紹介している【本研究の学術的背景】があり、両者には内容的に重なる部分ができてしまう。そのため、case43では、【本研究の学術的背景】には過去から現在までの研究の流れを示し、【国内外の研究動向】には現在行われている研究を書くという方法を示している。もう1つの方法として、ここで解説しているように、【本研究の学術的背景】では引用文献を最小限にして、【関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ】の部分に現状に関する具体的な文献を多く示し、2つの部分で互いを補うというやり方もある。 例文では、「他者の研究動向」「申請者の研究」として、学会発表を加える。 ## 改善例 > 解剖学研究者や現場教員による系統解剖の新しい教材開発や工夫した授業・実習等に関わる研究の報告は多い。例えばMoroiによる「ペーパークラフトを使った人体解剖教材の開発」(Moroiら、第〇回日本解剖学会総会)や、Kurodaによる「タブレットを用いた解剖学習サポートシステムの構築」(Kurodaら、第〇回日本医学教育学会)などの例がある。 > しかし、具体的に系統解剖において、どのような知識・技能が習得されていないために医学生がつまずいてしまい、系統解剖の科学的な概念がうまく構築できないのかについては申請者の研究(「医学生における系統解剖の知識・技能の習得に関する研究」第〇回日本医学教育学会にて発表)の他はあまりみられない。また、現場の教員がどのような知識・技能を補強した授業を実践していけば系統解剖の概念をうまく構築できるのか、その指針を与える研究はあまりない。