--- title: "CASE 36: この研究ならではの独自性や創造性がわかりにくい" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第6章 研究目的、研究方法など:独自性、創造性 case_number: 36 pages: 161-164 images: page_0161.png ~ page_0164.png advice: "申請する研究のユニークな点やオリジナルな点をしっかり認識して書こう" tags: ["はっきりと", "推敲のヒント"] --- # CASE 36: この研究ならではの独自性や創造性がわかりにくい ## アドバイス 申請する研究のユニークな点やオリジナルな点をしっかり認識して書こう ## どこがよくないか (本研究の学術的独自性と創造性) ①従来の歯科治療では難渋する患者の治療法を確立することで、痛みに悩まされる歯科心身症患者の苦痛を軽減できる。 ②口腔内の異常感に対する治療法を確立することで、症状に対する患者の不安や苦悩、歯科医師に対する不信感を払拭し、QOLの向上に貢献できる。 ③歯科心身症の治療成績に関わる因子の解析によって、薬物療法の確立に貢献できる。 ④歯科心身症の発症・増悪に関わる因子を見つけることで、歯科治療時に生じるトラブルを軽減することが期待できる。 ## 添削例 > (本研究の学術的独自性と創造性) > > ①従来の歯科治療では難渋する患者の治療法を確立することで、痛みに悩まされる歯科心身症患者の苦痛を軽減できる。 > > ②口腔内の異常感に対する治療法を確立することで、症状に対する患者の不安や苦悩、歯科医師に対する不信感を払拭し、QOLの向上に貢献できる。 > > ③歯科心身症の治療成績に関わる因子の解析によって、薬物療法の確立に貢献できる。 > > ④歯科心身症の発症・増悪に関わる因子を見つけることで、歯科治療時に生じるトラブルを軽減することが期待できる。 **指摘された問題点:** 1. 一般的で普通すぎる!この研究のオリジナルの点がどこにも書かれていない ## なぜよくないのか? 本研究の【学術的独自性と創造性】について、4点が箇条書きで書かれているが、4点の特色とも一般的で普通すぎる。誰もが書くような内容で、申請者の個性、オリジナルな点がどこにも出ていない。 普通すぎるかどうかの判定は、試しに「歯科」を「内科」に変えてみればよい。違和感がないようなら普通すぎると考えよう。審査委員の立場からするとオリジナリティがみえにくい研究には高い評価をつけにくい。当然、採択の可能性も低くなる。 ## どのように改良すればよいか? まずは研究の独自性や創造性をしっかり認識しよう。「どこがユニークな点なのか?」「どこが申請者の考えたオリジナルな点なのか?」そこをまずしっかりと書き、その結果として「①~④の展開が期待される」とするだけで印象はだいぶ変わる。もしユニークな点やオリジナルな点がすぐに出てこない場合にはどうするか?対象、研究技術、解析方法、目的、進め方といったものに自分の強みや独自の発想がないか、それらの組合わせ方に先例との違いはないか、立ち返って考えるとヒントがあるかもしれない。 例文は「歯科心身症患者への着目」「痛みや異常感の分類」「カテゴリーに応じて有効な薬物療法の検討」などに特色がある。これを4点の箇条書きの前に明示する。 ## 改善例 **改善例1** まず、この研究のオリジナルな点を冒頭に書く > (本研究の学術的独自性と創造性) > > これまで歯科心身症の診断や治療法に関する研究は積極的に行われていなかった。本研究では、歯科心身症患者を痛みや異常感の症状ごとに分類し、それぞれのカテゴリーの症状に対してどのような薬物療法がより有効であるかを検討する。これによって、 > > ①従来の歯科治療では難渋する患者の治療法を確立することで、痛みに悩まされる歯科心身症患者の苦痛を軽減できる。 > > ②口腔内の異常感に対する治療法を確立することで、症状に対する患者の不安や苦悩、歯科医師に対する不信感を払拭し、QOLの向上に貢献できる。 > > ③歯科心身症の治療成績に関わる因子の解析によって、薬物療法の確立に貢献できる。 > > ④歯科心身症の発症・増悪に関わる因子を見つけることで、歯科治療時に生じるトラブルを軽減することが期待できる。 **改善例2** 独自性と創造性で段落を分け、独自性にはしっかりと研究のオリジナルな点を書く また、独自性と創造性に分けて書くのもよい。「独自性=研究の特色・重要性」「創造性=研究の応用や展開」とすると、以下のようにも書き換えられる。 > (本研究の学術的独自性) > > これまで歯科心身症の診断や治療法に関する研究は積極的に行われていなかった。本研究では、歯科心身症患者を痛みや異常感の症状ごとに分類し、それぞれのカテゴリーの症状に対してどのような薬物療法がより有効であるかを検討する。 > > (本研究の創造性) > > この研究によって、次のような応用や展開が考えられる。 > > ①従来の歯科治療では難渋する患者の治療法を確立することで、痛みに悩まされる歯科心身症患者の苦痛を軽減できる。 > > ②口腔内の異常感に対する治療法を確立することで、症状に対する患者の不安や苦悩、歯科医師に対する不信感を払拭し、QOLの向上に貢献できる。 > > ③歯科心身症の治療成績に係わる因子の解析によって、薬物療法の確立に貢献できる。 > > ④歯科心身症の発症・増悪に関わる因子を見つけることで、歯科治療時に生じるトラブルを軽減することが期待できる。