--- title: "CASE 35: 「(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性」がわかりにくい" book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版 chapter: 第6章 研究目的、研究方法など:独自性、創造性 case_number: 35 pages: 157-159 images: page_0157.png ~ page_0159.png advice: "見出しを活用して「本研究の目的」「学術的独自性」「創造性」などに分割し、構成を明示しよう" tags: ["はっきりと", "レイアウト"] --- # CASE 35: 「(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性」がわかりにくい ## アドバイス 見出しを活用して「本研究の目的」「学術的独自性」「創造性」などに分割し、構成を明示しよう ## どこがよくないか (2)本研究の目的および学術的独自性と創造性 本研究は申請者らが発見して、これまで研究を行ってきた摂食調節ホルモンのグレリンについて、オクタン酸の修飾基がどのようにしてグレリン受容体を活性型にするのか、それを解明するためのツールとしてナノボディの作製を行う。とくにグレリン受容体に対してリガンドと同じ働きをして受容体を活性化できるナノボディの作製を試みる。 ナノボディのスクリーニング方法として、申請者がグレリン発見に用いたアッセイ方法を応用する。これはグレリン受容体発現細胞にナノボディを作用させて、細胞内カルシウム濃度の上昇からグレリン受容体を活性化するナノボディを選択する方法である。この手法はGPCR受容体の細胞外ドメインを認識し、受容体を活性型に固定するナノボディを選択する効果的な方法であり、今回のグレリン受容体以外の他のGPCRにも応用可能である。 グレリン受容体などのGPCRに対するナノボディの作製はまだ十分には行われておらず、今回の研究でグレリン受容体を活性化するナノボディが作製できれば、他のGPCR研究にも応用でき、重要な研究ツールになる。ナノボディの研究ツールとして、結晶構造解明のための共結晶化タンパクとしての応用、免疫組織染色での受容体の局在解明、GPCRに作用する抗体医薬としての展開などが考えられる。 ## 添削例 > (2)本研究の目的および学術的独自性と創造性 > > 本研究は申請者らが発見して、これまで研究を行ってきた摂食調節ホルモンのグレリンについて、オクタン酸の修飾基がどのようにしてグレリン受容体を活性型にするのか、それを解明するためのツールとしてナノボディの作製を行う。とくにグレリン受容体に対してリガンドと同じ働きをして受容体を活性化できるナノボディの作製を試みる。 > > ナノボディのスクリーニング方法として、申請者がグレリン発見に用いたアッセイ方法を応用する。これはグレリン受容体発現細胞にナノボディを作用させて、細胞内カルシウム濃度の上昇からグレリン受容体を活性化するナノボディを選択する方法である。この手法はGPCR受容体の細胞外ドメインを認識し、受容体を活性型に固定するナノボディを選択する効果的な方法であり、今回のグレリン受容体以外の他のGPCRにも応用可能である。 > > グレリン受容体などのGPCRに対するナノボディの作製はまだ十分には行われておらず、今回の研究でグレリン受容体を活性化するナノボディが作製できれば、他のGPCR研究にも応用でき、重要な研究ツールになる。ナノボディの研究ツールとして、結晶構造解明のための共結晶化タンパクとしての応用、免疫組織染色での受容体の局在解明、GPCRに作用する抗体医薬としての展開などが考えられる。 **指摘された問題点:** 1. ひと続きの文章。見出しを加える ## なぜよくないのか? 【(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性】は書くべき要素が「目的」「独自性」「創造性」と多様である。特に「独自性」と「創造性」にはどのようなことを書いたらいいのか、少々戸惑うところだ。しかし、 - 「学術的独自性=本研究の特色は何か、本研究がなぜ重要なのか」 - 「創造性=本研究で何が明らかになるのか、どのような応用ができるのか」 と考えると、書きやすいと思う。 例文では【(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性】が、まとめてひと続きに書かれている。項目ごとに一つひとつの段落に分けているのだが、どの段落に何が書かれているのか、わかりにくく、読みにくい。 ## どのように改良すればよいか? このようなときには見出しを挿入し、内容を小分けにして書くとよい(case25は書くべき内容が違うだけで本質的な問題点は同一だが、このように内容ごとに区切らずわかりにくくなっている申請書は非常に多いのであえてくり返させてもらった)。 例文では、「本研究の目的」「本研究の学術的独自性」「本研究の創造性」と分けて書くのが一案だ。 ## 改善例 > (2)本研究の目的および学術的独自性と創造性 > > **(本研究の目的)** > > 本研究は申請者らが発見して、これまで研究を行ってきた摂食調節ホルモンのグレリンについて、オクタン酸の修飾基がどのようにしてグレリン受容体を活性型にするのか、それを解明するためのツールとしてナノボディの作製を行う。とくにグレリン受容体に対してリガンドと同じ働きをして受容体を活性化できるナノボディの作製を試みる。 > > **(本研究の学術的独自性)** > > ナノボディのスクリーニング方法として、申請者がグレリン発見に用いたアッセイ方法を応用する。これはグレリン受容体発現細胞にナノボディを作用させて、細胞内カルシウム濃度の上昇からグレリン受容体を活性化するナノボディを選択する方法である。この手法はGPCR受容体の細胞外ドメインを認識し、受容体を活性型に固定するナノボディを選択する効果的な方法であり、今回のグレリン受容体以外の他のGPCRにも応用可能である。 > > **(本研究の創造性)** > > グレリン受容体などのGPCRに対するナノボディの作製はまだ十分には行われておらず、今回の研究でグレリン受容体を活性化するナノボディが作製できれば、他のGPCR研究にも応用でき、重要な研究ツールになる。ナノボディの研究ツールとして、結晶構造解明のための共結晶化タンパクとしての応用、免疫組織染色での受容体の局在解明、GPCRに作用する抗体医薬としての展開などが考えられる。