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title: "CASE 27: 研究遂行能力が十分にアピールされていない"
book: 科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック 第3版
chapter: 第3章 研究目的、研究方法など:背景
case_number: 27
pages: 121-124
images: page_0121.png ~ page_0124.png
advice: "過去の業績(発表論文,学会発表,科研費獲得など)を目立つ形で記載しよう"
tags: ["推敲のヒント", "レイアウト", "アピールする"]
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# CASE 27: 研究遂行能力が十分にアピールされていない
## アドバイス
過去の業績(発表論文,学会発表,科研費獲得など)を目立つ形で記載しよう
## どこがよくないか
**例文1**
> 学校における食育は栄養教諭を中心に、家庭科教員や養護教員の協力により進められているが1,3、全教職員で取り組むべきとされている。
この下の部分に番号付きで文献リストが載せてあった
**例文2**
> 本邦では、心理社会的治療を行ったうえで、効果が不十分な場合に薬物治療を行うアルゴリズムを推奨している(佐藤ら、2000)。また介入後に子供の問題行動の改善が認められることが指摘されている(佐藤ら、2000)。
## 添削例
**例文1**
> 学校における食育は栄養教諭を中心に、家庭科教員や養護教員の協力により進められているが1,3、全教職員で取り組むべきとされている。
**指摘:** 上付き文字は小さくてわかりにくい。もっとアピールを
**例文2**
> 本邦では、心理社会的治療を行ったうえで、効果が不十分な場合に薬物治療を行うアルゴリズムを推奨している(佐藤ら、2000)。また介入後に子供の問題行動の改善が認められることが指摘されている(佐藤ら、2000)。
**指摘:** 本文と同じフォントなので目立たない。もっとアピールを
**指摘された問題点:**
1. 例文1:上付きの小さな数字での文献引用はアピールが弱い
2. 例文2:本文と文献部分のフォントが同じで申請者の文献が目立たない
## なぜよくないのか?
申請する研究計画について、その実現可能性をアピールすることは大切である。そのためには申請者のこれまでの研究成果をあげて、研究遂行能力を示す必要がある。
例文1は、自身の業績を論文を引用することで示しているのはよいのだが、上付きの小さな数字で書かれているのでアピールが弱い。また数字だけなので誰の論文なのか、わからない。科研費申請書は論文とは異なる。科研費の場合、本文中の文献番号と本文末の文献リストを対比させるような論文引用スタイル(文献番号方式)はふさわしくない(【応募者の研究遂行能力及び研究環境】の【(1)これまでの研究活動】にあげた文献と対応させるのはよい;参考3)。
例文2の場合、本文と文献部分のフォントがともに同じなので、これも申請者の文献が目立たない。
【応募者の研究遂行能力及び研究環境】の欄だけでなく、【(1)本研究の学術的背景】においても申請者自身のこれまでの研究成果や業績があげられていると、"申請された研究計画が実現可能なものである"という印象を審査委員も強くもつ。つまり、これまでにどのような研究を行ってきたのかを客観的に示すことのできる発表論文や学会発表の記録は、申請者が研究計画を実行できるかどうか(研究遂行能力)の有力な判断材料の1つになるので、しっかりと記載する必要がある。そして、せっかくなので目立たせよう。なかには他の研究者の文献は引用しているのだが、自分の文献は全く引用していない例も多い。なぜ業績の引用を含めるのか、その意義をもう一度考えよう。
## どのように改良すればよいか?
研究計画について、申請者にこれまで行ってきた研究成果がある場合には、必ず本文中に引用すること。具体的に記載することで自分の研究業績をアピールするべきだ。申請者自身の論文引用ならば、筆者名として自分の名前を入れて自分の業績をアピールする(第2筆者以下ならば、筆頭著者と申請者の名前を書いて、申請者の筆者順位を入れる。例えば「Sato, Kojima(5人中5番目)et al. Endocrinology 2005」のように)。自分の業績をアピールするためにはいくつかのテクニックがある。1つ目は、文献番号方式ではなく、本文中に論文の記録を直接書く。そのとき名前を太字にするとより目立つ。2つ目はフォントを変える。本文を明朝体で書いているならば、文献部分をゴシック太字にするとより目立つ(申請者のギモン25も参照)。
例文1は1つ目のテクニックを用いて論文の記録を直接書く。
例文2は2つ目のテクニックを用いて目立たせる。
## 改善例
**例文1**(本文中に自分の業績情報を入れる)
> 学校における食育は栄養教諭を中心に、家庭科教員や養護教員の協力により進められているが(**見島**、小学校における~実態と課題、日本教科教育学会誌第20巻第1号(2001))、全教職員で取り組むべきとされている。
**例文2**(自分の名前を太字にする+執筆順位を示す)
> 本邦では、心理社会的治療を行ったうえで、効果が不十分な場合に薬物治療を行うアルゴリズムを推奨している(佐藤ら、2000)。また介入後に子供の問題行動の改善が認められることが指摘されている(鈴木、**佐藤**(5/5)ら、2000)。
## 参考
「研究業績」は発表された論文ばかりではない。投稿中の論文や学会発表などの申請者の業績を記載することもできる。学会発表では招待講演などの大きなものだけでなく、シンポジウムでの発表や年会での一般発表、地方の支部会での発表などについても書くことができる(case64, 65参照)。【応募者の研究遂行能力及び研究環境】の【(1)これまでの研究活動】に記載した発表論文の番号と対応させられるのならば、論文番号を入れて示すのももちろんよい。
他にもこれまでに獲得した科研費によってあげてきた成果を示すのもよい。
**参考1:** 業績として「学会発表」を加える
> さらに、高いSTAT3活性では、MAPキナーゼの活性が抑制されることを見いだした(**第16回実験動物学会にて発表**)。
**参考2:** 業績として過去に獲得した「科研費」を加える
> これまでに申請者は、現職教員の食育に関する指導力を高めることに努めてきた。食育の重要性を説き、指導モデルを提案した(**平成17年度~19年度科研費、若手研究**)。ついで新しい食育教育のプログラムを提案した(**平成20年度~23年度科研費、基盤研究(C)**)。
**参考3:** 別の欄に記載した業績番号(もちろん自分の)を示す
> 2)遺伝子多様性の解明
> 外来魚の生息場の解明を進める中、申請者らは生物多様性の概念を取り入れて、生息場(環境)や種類だけでなく、遺伝子多様性の解明にも着手した。その結果、日本国内のブラックバスは3つの遺伝的グループに分かれ(「これまでの研究活動」に記載した業績番号(以下同じ)10, 14, 16)、それらの分析に利用するDNAマーカーを短期間で開発できる手法を考案した(2, 3, 6-9)。