動力を持つ学生です。持ち前の行動力を生かして、現在、非常に挑戦的な課題である「神経可塑性 と神経発達疾患の関連性」の研究に取り組んでいます。神経可塑性は脳のネットワーク全体の変化 に関わるため、ネットワークレベルでの解析が重要であり、脳活動の記録や脳画像法などを活用し、 ネットワークレベルでの神経可塑性の変化を捉える手法を開発する必要があるという、鈴木さんの 独自の着想により本研究は開始しました。実際、研究をはじめてみるとこれまで私たちが想像して いた以上にネットワークレベルでの大きな変化が捉えられ、これまでこの分野に携わってきた研究 者が当然と考えていたことを疑問に思う、鈴木さんの着想の素晴らしさを物語っています。また、 この着想を実現するために、鈴木さんは持ち前の粘り強さを生かして、まったく新しいネットワー ク解析手法を独自に開発することで、より高い精度での解析を実現しました。こうした高い着想力 とそれを素早く実行する行動力は高く評価できます。また、寒黙で淡々と研究をこなすタイプであ りながら、強いリーダーシップを発揮し、後輩にも積極的に指導しています。これは、鈴木さんが 研究者として成功するために必要なリーダーシップやマネジメント能力など、研究以外の側面にお いても十分な溶在能力を持っていることを示しています。 放射性同位体を用いて植物の栄養吸収メカニズムを明らかにする、という現在の研究分野とはあ まり関係のない分野の出身であることから、当初は結果を出せるようになるまで時間がかかるので はないかと危供していましたが、そうした懸念は杞要に終わろうとしています。普段から論文や専 門雑誌を積極的に読むだけでなく、周囲の同僚や研究者との議論を通じてさまざまな分野の知識を 食欲に吸収することで、私が見てきたなかでもかなり早いスピードで実験をこなしており、将来が 非常に楽しみな学生として、大きな期待を寄せています。 このように、鈴木さんの今後の活躍は疑うところが無く、成人期における神経可塑性の分野で重 要な研究成果を残すだけでなく、その制御方法や臨床応用まで広く神経科学の進展に貢献してくれ るものと確信しています。 (2)今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素 今後、鈴木さんが研究者としてさらに発展するためには、今以上のレベルで洞察力や先見性が必 要となると考えています。鈴木さんは非常に真面目であるがゆえに、教科書的な知識や与えられた 前提に固執する傾向にあるため、上手く行っているときには問題ありませんが、予想外なことが起 こるとそれにこだわってしまい前に進めなくなる時があります。幸いにも、本研究テーマでは予想 外な結果もうまく乗り越えていますが、今後も予想外な結果や上手く行かないことは頻繁に起こる と考えられますので、そうした時にも振り回されず深い洞察力や先見性を磨くことで、困難の中に も本質を見失わないようにできるようになることを期待しています。こうした洞察力や先見性は豊 富な知識に裏付けられると考えているようで、鈴木さんは、関連分野の知識を積極的に取り込んで いるだけでなく、困った時の対処事例などを先輩に聞くなど他人の経験を自分の経験にしようとし ており、私はそうした積極的な姿勢を高く評価しています。 また、英語の基礎学力は高く、他の学生以上に論文の読み書きなどはできますので、通常の研究 においては困りませんが、鈴木さんが研究者としてさらに発展するためには今以上の高い語学力と それを基盤にした高いプレゼンテーション能力が必要になると思います。特に、神経科学は多様な 研究分野を内包しているため、より高いレベルでのコミュニケーション能力が求められます。 〇〇〇大学は留学生も多く、バックグラウンドの多様な学生が多いことが特徴です。鈴木さんは他 研究室も含め積極的に英語で議論しておりますので、語学力・コミュニケーション能力は今後ます ます伸びることと期待しています。 156