明らかに不備のある研究は論外ですが、一定水準以上のレベルで計画されている 研究計画であれば、たとえばがん研究と糖尿病研究のどちらの申請書が優れている かを評価することはかなり困難で、自をもってこちらの方が優れていると言い切 れる人はいないでしょう。 このような状況では、より成功する可能性が高い方を採択しようとなり、「この 研究計画では、うまくいかないのではないか?」という審査員の疑問にあらかじめ 答えが用意されているかがとても重要になります。そのためには大きく2つの戦略 があります。 予備データを示す 申請書を評価する難しさは、まだ結果がなくどうなるかわからないものを評価し なければいけないことにあります。そのため、予備的なデータを示し、すでに研究 の一部はうまくいっている、うまくいきそうである、ことを示すことができれば、 審査員も評価しやすくなります。 背景で予備データを示すことはもったいないと書いた理由はここにあります。そ れをしてしまうと、その予備的な結果を事実のものとしてそれを元に研究計画を立 てることになってしまうので、この研究計画がうまくいくか?という疑問に対す る証拠としては使えません。「研究計画」で予備データを示せば、立てた研究計 の正しさを支持するデータとして使うことが可能になります。 OK 申請者はすでに〇〇〇を〇〇〇した解析から、〇〇〇を見出している。 ただし、予備データを示しすぎて研究計画のほとんどがすでに完成していると書 いてしまっては、研究する必要がなくなってしまいますので、あくまでも ■ ある部分についてはうまくいっているので、同様にもする ある部分についてはうまくいっているので、これをもとに次の展開を目指す 部分的にはうまくいっているので、この方向性で研究を継続しても大きくは 外さない という程度にしておくことが重要です。場合によっては、あえて予備データを出し 渋り、うまくいきそうである(実際にはうまくいくことを確認済)とする戦略もあ りえます。今後のことを評価する申請書において、「あと少しで結果が出そう。あ とひと押しの支援ですべてが解決できる」という期待感はかなりプラスに働きます。 108