なく、どのようなアプローチで目的を達成しようとしているのか、そのアプローチ を採用する根拠はどこにあるのか、そして、どうなればこの研究がうまくいったと 判断するつもりなのかを明らかにする必要があります。 また、研究は予想通りにいかないことの方が多いので、すべてが成功する前提で の計画は危険です。審査員も当然、そうした点を気にしながら読むので、うまくい かない場合にはどうするつもりかについての回答をあらかじめ書いておきます。 (9) 未来の状況 いわゆる展望であり、この研究が完成したらどのような良い世界になるのか、を 説明するパートです。科研費では創造性という名称です。 ここで書く内容は「少し前の状況」や「現在の状況」との対比であり、「不便 だった→便利になるだろう」など、本研究により現状と理想のギャップを埋める ことが可能であることを示し、だから本研究は重要であり、必要であると主張します。 (10) 研究の適切性 どんなに素晴らしい研究計画であっても、適切な方法・環境で研究が行われてい なければ研究費を支給することはできません。「研究の適切性」では、そうし 念に対して、本研究は適切な体制・環境で遂行されることを言します。形式的な 記述になりがちなので他の申請者と大きく差がつく場所ではありませんが、つまら ない失点を防ぐためにもしっかりと書いておきましょう。 (11) 申請者の優位性 採否は他の候補者との比較のなかで決まりますので、研究内容が良いだけでは不 十分で、申請者が高い研究遂行能力を有していることも重要な条件です。「申請者 の優位性」では、なぜ他の候補者ではなく申請者を採択すべきなのかについて書き、 審査員を説得します。 申請書の構成 申請書は小説と似ています。あなたの目的は自分の本を売ってお金(研究費)を 稼ぐことであり、最低限のルールの遵守や意味のあるものであることは出版の最低 条件です(研究の適切性)。そのうえで、おもしろい物語(研究内容)を書く必要 があります。さらに、著者がしっかりした経歴の持ち主であることを示す著者プロ フィール(申請者の優位性)や、適切なあらすじ(概要)があれば、手に取ってく れる読者は増えることでしょう。さらに、美しい装丁や挿絵(申請書のデザイン) は小説の魅力を何倍にもしてくれるので、おろそかにしてはいけません(表2.1)。 40