申請書は、あなたが伝えたいことを審査員に一方的に伝えるために書くためのも のではなく、審査員に申請書の内容を理解してもらい、正しく評価してもらうため に書くものです。審査員は、仕事としてしぶしぶ申請書を読んでいるため、そもそ も研究の詳細な内容を知りたいとは考えていませんし、たとえ説明があったとして も専門分野外の内容を十分には理解できません。 審査員としては、申請内容をおおよそ理解し、審査できればそれで十分ですので、 評価に必要となる最低限の情報だけを知りたいと考えています。それ以上の情報は 審査員にとっては不要であるばかりか、審査員をかえって混乱させ、何が重要なの かを見失わせ、読む気を削ぎます。また、理解できないものについては評価できま せんので、どうしても厳しい評価になってしまいます。一方で、内容がシンプルで あれば理解しやすくなり、理解できたものに対して初めて適切な評価がなされます。 同じ理由で、審査員を教育しようとして詳しすぎる説明をするのも逆効果です。 審査員には知りたいというモチベーションはありません。また、難しいことを書く ことで研究内容を高尚なものに見せようとするものも見かけますが、こうした戦略 もほとんどの場合は逆効果です。 文章構成が明快である 物語には起承転結などの「型」があり、論文にも序論(Introductio (Methods)-結果(Results)-考察(Discussion)のような「型」があります うした「型」に沿った文章は、何がどこに書いてあるのか(何をどこに書くべき か)がわかりやすいという点で、書き手・読み手の両者にとってメリットがありま す。 申請書にも「型」は存在しており、学振や科研費などでは何をどこに書くべきか が注意書きとして指示されています。研究費の種目によって順序は前後しますが、 書くべき内容はどの申請書でもほとんど同じです。 この申請書の「型」さえ理解してしまえば、素早くそれなりのレベルで申請書を 書けるようになるのですが、「独自性」や「着想の経緯」、「学術的『問い』」などは 何を書いてよいのかがわかりにくく、慣れない人は苦労しているようです。何を書 くかを明確にしないまま書き始め、気づけば同じような内容が繰り返しになってし まい、せっかくの「型」が崩れてわかりにくくなっている申請書をたくさん見てき ました。各項目で聞かれていることだけに明快に答えることを強く意識してくださ い。 36