===== Page 47 ===== A 概要・要旨 #料研費のコツ18 科研費の概要は10行程度 「概要・要旨」に迷ったらこう書こう 「概要・要旨」を言い換えると・・・・・・あらすじ、ネタバレ(予告編ではない)、本文 を真面目に読むかどうかの試金石 何を 具体例 (概要) 音楽や自然音、人の声などは脳に伝わり、音に関する記憶や感情 と結びつけられる。これまでに、申請者らの研究を含め、音によっ て引き起こされる感情体験は音の周波数、音量、音色などの要素に よって異なる影響を受けることが示されている。しかし、脳内でど のように処理されているかについては、適切な解析技術が無いこと が障整となり理解が遅れていた。これに対して申請者は、深層学習 の進展と機能的磁気共鳴画像法(EMRI)の解像度の向上を含むい くつかの技術革新を組み合わせることで、この障整を乗り越えられ ると着想した。 そこで本研究では、音による感情形成と認知のメカニズムを神経 科学の立場から明らかにすることを目的とする。具体的には、 EMRIを用いて、音楽フレーズや声の表現がどのように感情的な意 味を持つようになるのかを健常な成人および新生児を対象に解析し、 音が感情形成に与える影響を神経科学的な観点から明らかにする。 これらの知見は、音響技術や音楽療法、コミュニケーションの向上 など、さまざまな分野での応用につながると期待される。 (概要) 糖尿病によって引き起こされる合併症の一つである糖尿病性神経 障害は、手足の感覚異常や痛み、潰瘍を伴い、重度の場合には切断 などの深刻な後遺症を引き起こすことで、患者のQOLを大きく低 下させる。糖尿病性神経障害の診断には、症状が進行してから行わ れる神経学的検査が一般的に用いられているが、糖尿病性神経障害 を早期に検出することは難しく手遅れになることも多く、糖尿病性 神経障害の超早期診断マーカーが必要とされている。そこで本研究 では、糖尿病モデルラットの発症前段階において、血漿中のタンパ ク質の量的・質的変動をプロテオミクス解析および翻訳後修飾の網 羅的解析法を用いて明らかにし、新しい分子マーカーを同定するこ 2.2 節 (2)背景・重要性 (3)少し前の状況 (4)きっかけ (5)独自性・妥当性 (7)研究目的 (8)研究計画 (9)未来の状況 A B C D E F G H (2)背景・重要性 (4)きっかけ (7)研究目的 K L M N 47 ===== Page 48 ===== とを目的とする。この研究は、糖尿病性神経障害の早期検出に貢献 するだけでなく、病気の発症・進行機序の解明につながり、糖尿病 の予防や治療に役立つと期待される。 (9)未来の状況 一般化例(フルセット) 90Oは〇〇〇である(2、背景・重要性)。これまでの研究では、〇〇〇は〇〇〇 であることが示されている(3、少し前の状況)。しかし、900は〇〇〇されておらず、 0〇〇という点で問題であった(4、きっかけ)。これに対して申請者は、00Oでは 00〇であることから、〇〇〇することで〇〇〇を〇〇〇できると着想した(5、独 自性・妥当性)(すでに申請者は、〇〇〇は〇〇〇であることを確認している(6、現在 の状況))。 そこで本研究では、9〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇を明らかにすることを目 的とする(7、研究目的)。具体的には、〇〇〇を用いて、〇〇〇を〇〇〇し、〇〇〇 を明らかにする(8、研究計画)(さらに、〇〇〇により、〇〇〇することを目指す(7、 サブ目的))。本研究により、〇〇〇は〇〇〇になると期待される(9、未来の状況)。 科研費|基盤(C) 1 該当する項目:研究目的、研究方法など(1ページ 目) 分量:10行程度 科研費の概要は「10行程度」という指示があり、 12~13行程度までは許容範囲だが、それを超える と書きすぎ。 要素:(2)背景・重要性、(3)少し前の状況、(4) きっかけ、(5)独自性・妥当性、(6)現在の状況、 (7) 研究目的、(8)研究計画、(9)未来の状況 書くべき内容が多く、個々の要素は1~2行くら いずつしか書けないので、大胆なデフォルメが必要。 48 ===== Page 49 ===== 科研費|挑戦的研究(萌芽) S-42-1,1 2 該当する項目:研究計画調の概要 (5-41-1,1、2) 分量:2ページ以内 目的及び方法(1ページ。ページの切れ目で終わ ると美しい)、遂行能力(0.4ページ)、挑戦的研究と しての意義(0.6ページ) 要素:(2)背景・重要性、(3) 少し前の状況、(4) きっかけ、(5)独自性・妥当性、(6)現在の状況、 (7) 研究目的、(8)研究計画、(10)研究の適切性、 (11) 申請者の優位性 具体的に指定された内容のまとめを書く。第一段 階の書面審査では、この2ページしか審査対象にな らないので、ここだけを読んで理解できるようにする。 2.2 節 「概要・要旨」の要素 科研費における研究概要には、本文における背景、目的、研究計画までの広い範 囲を含みます。書くべき内容が多いため、以下の要素のすべてについて書くのでは なく、取捨選択する必要があります。細かい研究内容などについては書きすぎない ようにしてください。 研究費の種類によっては概要といいつつも書くべき内容が具体的に指定されてお り、申請書全体というよりは特定の要素について概要を書くケースもあります。料 研費の概要には(2)~(9)についての概要を書くようにしましょう。 (2) 背景・重要性|本研究計画を審査するうえで、最低限必要な知識は何か ■ 研究分野の一般的な背景や事実、用語の定義(研究分野の背景) ■ 研究分野の重要性(研究の重要性) A B F G H (3) 少し前の状況|これまでにどういった研究が行われてきたか ■ 本研究課題に関連した、より詳細な背景(研究課題の背景) ■ これまでにどのような研究が行われ、どのようなことがいわれてきたのか (他人の貢献) ■ これまで申請者(ら)はどのような研究をし、何を示してきたか(自分の貢献) (4) きっかけ|何が未解決のままなのか?何が起こった(起こっている)のか ■ ■ どのような問題があり、どのように困っているのか(問題提起と弊害) どのような状況の変化があったのか(状況変化) K L M N 49 ===== Page 50 ===== ■ どのような技術や視点が欠けていたのか(未解決・未実施であった理由) (5) 独自性・妥当性|どうすればこの問題を解決できると考えたのか ■ どうすれば、問題を解決できると考えているのか、新しい価値を創造できる と考えているのか(研究のアイデア) ■ どういった報告や結果から本研究のアイデアを思いついたか(着想の経緯) このアイデアが他のものより良さそう(うまくいきそう)と考える根拠はあ るか(妥性) (6) 現在の状況|アイデアに基づき、これまでにどういった研究が行われたか ■ このアイデアに基づいたこれまでの研究成果(他人の成果) ■ このアイデアに基づいたこれまでの研究成果(自分の成果) (7) 研究目的|本研究では何を示すのか ■ どのような方針で研究を進めるつもりか(研究方針) ■ もっとも重要な研究目的は何か(メイン目的) ■ ついでに明らかにできることは何か(サブ目的) (8)研究計画|具体的に何をどうするのか ■ 何を目的に研究するのか(個別研究計画の目的) ■ 具体的に何をどうするつもりか(計画) ■ うまくいかない場合にはどうするのか(ブラン B) ■ 予備データはあるか(予備データ) ■ どうなればこの研究は成功したといえるのか(研究のゴール) (9) 未来の状況|この研究によってどうなると期待されるのか、展望 ■ この研究によって、当該研究分野にどのようなメリットがあるのか(学術的 なインパクト) この研究によって、周辺関連分野にどのようなメリットがあるのか(技術・ 材料・考え方に対するインパクト) ■ この研究によって、社会にどのようなメリットがあるのか(社会に対するイ ンパクト) 50 ===== Page 51 ===== 「研究概要」の構成 科研費の場合は、 概要については、10行程度で記述すること。 参考 別冊(応募書類の様式・記入要領) 何を とあるように、使えるスペースはたかだか 10行程度(超過しても 12~13行程度 まで)です。上記の8項目のすべてについて書くのは分量的に難しいので、申請書 のパターンごとに書く項目を取捨選択し、それぞれについて1~2行ずつ、コン パクトに書く必要があります。内容によって書き方はさまざまですので、無理にテ ンプレートに当てはめようとせず、全体の論の流れを見て適宜調節してください。 表2.3 研究概要の構成 (2) 背景・ 重要性 (3) 少し前の 状況 (4) きっかけ (5) (6) (7)(8) (9) 独自性・現在の 研究 研究 未来の 妥当性|状況|目的|計画|状況 2.2 節 申 最小セット 研究の重要性 研究アイデア 研究の堅実性 フルセット A A 最小セット(2)背景・重要性、(4)きっかけ、(7)研究目的、(9)未来の 状況 どのタイプであっても、背景、きっかけ、目的、未来の状況、は必須の要素です。 一つひとつの文章を短くしづらい場合でも、最低限ここだけは押さえておきましょ う。 問題解決型 0〇〇は〇〇〇であり、〇〇〇である(2、背景・重要性)。しかし、〇〇〇の〇〇〇 についてはいまだに明らかにされておらず、〇〇〇のままである(4、きっかけ)。そこ で本研究では、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇を明らかにすることを目的とす る(7、研究目的)。これにより、〇〇〇が〇〇〇になると期待される(9、未来の状況)。 価値創造型 9〇〇は〇〇〇であり、〇〇〇である(2、背景・重要性)。近年の〇〇〇により、 G K L M N 51 ===== Page 52 ===== 00〇を〇〇〇することが可能となり、〇〇〇になりつつある(4、きっかけ)。そこで 本研究では、〇〇〇を〇〇〇することで新たに〇〇〇を示し、これにより〇〇〇を 9〇〇することを目指す(7、研究目的)。これにより、〇〇〇が〇〇〇になると期待 される(9、未来の状況)。 研究の重要性や経緯を詳しく(2)背景・重要性、(3)少し前の状況、(4) きっかけ、(7) 研究目的、(9)未来の状況 最小セットに詳しい背景を追加したうえで、これまでに他の研究者と申請者がこ の研究分野に対してどのような貢献をしてきたかを書きます。「こんなに重要な研 究分野で、こんなに進展があったのに、まだわかっていないことがある」ことを主 張し、自身の研究の価値をアビールします。 問題解決型 000は〇〇〇である。なかでも〇〇〇は〇〇〇であり、000である(2、背景・ 重要性)。これまでの研究から、〇〇〇の〇〇〇については、〇〇〇であることが示 されており、申請者も〇〇〇が〇〇〇であることを明らかにしてきた(3、少し前の状況)。 しかし、900が〇〇〇であったことから、〇〇〇の〇〇〇は未解明のままである 14、きっかけ)。そこで本研究では、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇を明らかにす ることを目的とする(7、研究目的)。これにより、〇〇〇が〇〇〇になると期待され る(9、未来の状況)。 価値創造型 000は〇〇〇であるに、背景・重要性)。これまでの研究から、0〇〇については、 000であることが示されており(3、少し前の状況)、申請者も0〇〇が〇〇〇である ことを報告してきた(3、少し前の状況)。このように、00Oによる〇〇〇は〇〇〇に なりつつある(4、きっかけ)。そこで本研究では、〇〇〇を〇〇〇することで新たに 000を示し、これにより00を〇〇〇することを目指す(7、研究目的)。これに より、〇〇〇が〇〇〇になると期待される(9、未来の状況)。 研究アイデアや予備データを詳しく(2)背景・重要性、(4)きっかけ、(5) 独自性・妥当性、(6)現在の状況、(7)研究目的、(9)未来の状況 これまでの研究の問題点を指摘し、申請者ならその問題を解決するためのアイデ アを持っていること、すでに予備的ながらそのアイデアの妥当性も確かめているこ とをアピールします。これまでとは異なる視点を導入するような研究の場合には書 きやすいと思います。 52 ===== Page 53 ===== 問題解決型 000は〇〇〇である(2、背景・重要性)。しかし、〇〇〇が〇〇〇であるかは 未解明のままであり、〇〇〇の点で問題となっていた(4、きっかけ)。これに対して、 0〇〇では〇〇〇であることから、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇できると着 想した(5、独自性・妥当性)。すでに申請者は、00〇が〇〇〇であることを確認して いる16、現在の状況)。そこで本研究では、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇を明ら かにすることを目的とする(7、研究目的)。さらに、00〇によって、〇〇〇するこ とを目指す(7、サブ目的)。本研究により、〇〇〇が〇〇〇になると期待される(9、未 来の状況)。 価値創造型 000は〇〇〇であり、〇〇〇である(2、背景・重要性)。近年の0〇〇によ り、〇〇〇の〇〇〇が可能となり〇〇〇になりつつある(4、きっかけ)。これに対し て、000では〇〇〇であることから(5独自性・妥当性)、000を〇〇〇することで、 0〇〇できると着想した(5、独自性・妥当性)。すでに申請者は、〇〇〇は〇〇〇であ ることを確認している(6、現在の状況)。そこで本研究では、〇〇〇を〇〇〇すること で新たに〇〇〇を示し、これにより〇〇〇を〇〇〇することを目指す(7、研究目的)。 これにより、〇〇〇が〇〇〇になると期待される(9、未来の状況)。 研究計画の堅実性を詳しく(2)背景・重要性、(4)きっかけ、((5)独自性・ 妥当性)、(7)研究目的、(8)研究計画、(9)未来の状況 研究内容に大きくスペースを割き、よく練られた研究計画であること、実現可能 性が高いことをアピールします。すごく新しいアイデアではないが、他の人よりも 早く・高いレベルで問題を解決できる場合には書きやすいでしょう。非常に多くの 人がこのタイプを採用しています。ただし、研究計画の細かいところを説明しても、 その意義や価値が専門家ではない審査員には伝わらない可能性もありますので、難 しい書き方でもあります。 問題解決型 900は〇〇〇であり、なかでも〇〇〇は〇〇〇である(2、背景・重要性)。しか し、〇〇〇の〇〇〇は未解明のままである(4、きっかけ)(これに対して、9〇〇で は〇〇〇であることから、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇できると着想した (5、独自性・妥性))。そこで本研究では、〇〇〇を明らかにすることを目的とする (7、研究目的)。具体的には、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇を測定する。さら に、〇〇〇により、〇〇〇の〇〇〇についても〇〇〇する(8、研究計画)。これにより、 9〇〇における〇〇〇の基盤を確立する(9、未来の状況)。 第 2.2 節 申 A B E F G K L M N 53 ===== Page 54 ===== 価値創造型 000は〇〇〇であり、〇〇〇である(2、背景・重要性)。近年の0〇〇により、 900の〇〇〇が可能となり〇〇〇になりつつある(4、きっかけ)(これに対して、 900では〇〇〇であることから、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇できると着 想した(5、独自性・妥当性))。そこで本研究では、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇 の〇〇〇を示すことを目指す(7、研究目的)。900を〇〇〇するために〇〇〇に関 する〇〇〇を確立するとともに、〇〇〇による〇〇〇の検証と〇〇〇の解明に取り 組む(8、研究計画)。これにより、〇〇〇が〇〇〇になると期待される(9、未来の状況)。 フルセット(2)背景・重要性、(3) 少し前の状況、(4)きっかけ、(5)独自性・ 妥性、((6)現在の状況)、(7)研究目的、(8)研究計画、(9)未来の状況 概要・要旨には、とくに指示がなく全体の要約をそれなりの長さで書く場合があ ります。こうした1~2ページの概要・要旨は真っ先に読まれる部分であり、本 文を真面目に読むかどうか、二次選考に残すかどうかを決めるために用いられます。 そのため、概要・要旨だけから、 ■ 研究計画の概要 ■ 研究の意義・位置づけ ■ 研究者の優位性 がある程度わかるように書くことが重要です。短い概要・要旨の中ですべてを伝え きる必要はなく、なんとなく良さそうだ・すごそうだ、が伝われば十分です。 問題解決型 000は〇〇〇である。なかでも000は〇〇〇であり、〇〇〇である(2、背景・ 重要性)。これまでの研究から、〇〇〇の〇〇〇については、〇〇〇であることが 示されており(3、少し前の状況)、申請者も〇〇〇が〇〇〇であることを報告してきた (3、少し前の状況)。しかし、90Oが〇〇〇であるといった理由などから、〇〇〇は 未解明のままであった(4、きっかけ)。これに対して、000では〇〇〇であることが 報告されていることを利用すれば、〇〇〇を〇〇〇し、〇〇〇できると着想した (5、独自性・妥当性)。実際、90Oでは、〇〇〇が〇〇〇であることが報告されてい る(6、現在の状況)。そこで本研究では、900を〇〇〇し、〇〇〇を明らかにするこ とを目的とする(7、研究目的)。具体的には、90Oにおける〇〇〇を測定することで、 9〇〇を制する〇〇〇を同定する(8、研究計画)。さらに、90Oにより、0〇〇 することを目指す(7、研究目的)。本研究により、〇〇〇が〇〇〇になると期待され る(9、未来の状況)。 54 ===== Page 55 ===== 価値創造型 000は〇〇〇であり、〇〇〇である(2、背景・重要性)。近年の00〇により、 900の〇〇〇が可能となり〇〇〇になりつつある(4、きっかけ)。これに対して、 0〇〇では〇〇〇であることから、〇〇〇を〇〇〇することで、〇〇〇を〇〇〇 できると着想した(5、独自性・妥当性)。申請者はこれまでに、〇〇〇は〇〇〇である ことを確認してきており(6、現在の状況)、本研究では、〇〇〇を〇〇〇することで、 9〇〇することを目指す(7、研究目的)。そこで本研究では、〇〇〇を〇〇〇するた めの〇〇〇に関する〇〇〇の確立と〇〇〇による〇〇〇の検証と〇〇〇を行う(8、 研究計画)。これにより、〇〇〇が〇〇〇になると期待される(9、未来の状況)。何を 2.2 節 申 話害 A H K L M N 55