--- title: "3.5節 引用文献のテクニック" book: 科研費申請書の教科書 chapter: 第3章 申請書のデザイン pages: 179-180 images: page_0179.png ~ page_0180.png --- #### 弱い表現 - 〇〇〇を明らかに〔していきたい/したい〕。 - → 明らかにするのは申請者なので、できればそうしたい、という表現よりは絶対にそうするんだという強気表現がおすすめです。申請者が「できないかもしれない」と半信半疑であることを第三者である審査員が信じて評価することはできません。申請者の立場としては、「〇〇〇を明らかにする」と言い切ったうえで、その是非については審査員に委ねます。 - 〇〇〇と考えられることが示唆された。 - ~は〇〇〇の1つであると考えられる。 - → 「1つである」と言い切って強めの表現にするか、「1つだと考えられる」のように弱めのニュアンスであったとしても、もっとシンプルに表現します。「1つである」と断定している一方で「と考えられる」とそれを否定するような表現は自信があるのかないのかよくわからず、中途半端な印象です。また、一般的にそうだと考えられている、ということをいいたいのであれば「1つだと考えられている」となります。文末が長い割に主張が弱くまわりくどい印象を与えます。 #### 説得力のある表現・期待を持たせる表現 - 申請者らはすでに、……を〔見出している/明らかにしている〕。 - すぐに〔研究/解析〕を始めることが可能である。 - 申請者(ら)が〔発見/開発〕した…… - 申請者は〔前期公募班/〇〇〇領域〕に参画し、…… 新学術領域や学術変革の公募班では2年ごとに公募を行います。とくに前期から引き続いて後期に応募している、過去の領域から継続して申請している、といった事情を審査員は知りませんので(調べればわかりますが、積極的に調べるモチベーションはありません)、自分でアピールすることが重要です。他の研究費でも同じで、審査員に知っておいてもらいたいことは自分から言わないと伝わりません。 # 3.5節 引用文献のテクニック > **#科研費のコツ 95** 申請における引用文献 ### 申請における引用文献 申請書中において文献を適切に引用することで、研究分野の背景を正しく理解しそれに基づいて計画が立案されていることを示したり、自分の過去の業績をアピールできたりと、多くのメリットがあります。一方で、審査員にはすべての引用文献をチェックしている時間はないので、何かしら書いてあれば十分です。そのため、**引用文献は最小限のスペースで記載するようにし、本文や図表を充実させた方が、伝わる申請書になります**。 ### 本文中に文献を書く 筆頭著者名(family name)と出版年が最小セットです。これに、雑誌名を含めたり、巻号とページ数を含めたりすると、分量が増えていきます。文献部分が長すぎると、本文を黙読する際に視線の流れが中断されてしまい、内容が理解しにくくなります。**なるべく読む邪魔をせず、紙面を節約するという意味から、著者名と出版年のみのスタイルを推奨**しています。 ただし、挑戦的研究のように研究遂行能力を書くスペースが限られている場合は、本文中での研究遂行能力のアピールが重要になります。申請者らが発表した雑誌が有名であったりする場合は雑誌名を強調するように太字や、イタリック、太字+イタリックなどを考えてみてもいいでしょう。 > 〇〇〇であることを明らかにした(Suzuki et al., Nature 2018)。 > > 〇〇〇であることを明らかにした(Suzuki et al., Nature 45(5): 217-220, 2018)。 > > 〇〇〇であることを明らかにした(Suzuki et al., ***Nature*** 2018)。 一般的には、複数の文献を引用するときには出版年が古い順に並べ、同じ出版年ならアルファベット順に並べます。1つの文のあちこちで文献を引用すると読みにくくなるので、文末にまとめて、カンマかセミコロンで文献を区切るのが一般的です。ちなみに、引用文献は句点の前に配置するのが一般的です。時々逆になっている人を見かけます。 > **NG**  〇〇〇と(Tanaka et al., 2017)〇〇〇がされている。(Suzuki et al., 2018)そのため…… > > **OK**  〇〇〇が示されている(Tanaka et al., 2017; Suzuki et al., 2018)。そのため…… ### 引用文献は角括弧でもよいかもしれない また、好みは分かれると思いますが、一般的な丸括弧( )で引用文献を括るのに代えて角括弧[ ]で括るのはどうでしょうか? > green fluorescent protein(GFP)[Suzuki et al., 2020] は、…… 丸括弧を略語の説明と引用文献の両方に使うと紛らわしくなりがちですが、角括弧を引用文献に使うことで視覚的に区別しやすくなります。