--- title: "3.4節 ニュアンスを示す日本語作文テクニック" book: 科研費申請書の教科書 chapter: 第3章 申請書のデザイン pages: 176-178 images: page_0176.png ~ page_0178.png --- # 3.4節 ニュアンスを示す日本語作文テクニック > **#科研費のコツ 90** シンプルに言い切る > > **#科研費のコツ 91** ある・あったの法則 > > **#科研費のコツ 92** 語尾の微妙なニュアンスの違いを意識せよ > > **#科研費のコツ 93** 個人の経験・感情を前面に出さない > > **#科研費のコツ 94** 口語を使わない、無駄に難しい言葉を使わない ### 回りくどい表現 何かを断定するためには、それなりの根拠や覚悟が必要です。しかし、それを避けた表現にすると曖昧で何とも歯切れの悪い表現になってしまいます。 > **NG**  本研究により、〇〇〇に向けた基盤構築のための重要な基礎データの一部を得ることができる可能性が示された。 > > **OK**  本研究により〇〇〇を明らかにした。これにより、〇〇〇に向けた基盤の構築につながる。 「本当に『明らかにした』と言い切っていいんだろうか」とか「本研究だけでは必ずしもそうはいえないじゃないだろうか」と考え出すと何も書けなくなってしまいますし、これについてもっともよく知っているはずの申請者自身がそういった態度を示していては、審査員も高く評価することできません。 審査員としては、多少のことには目をつぶってでも言い切ってくれた方が、評価のしようがあります。ただし何でもかんでも言い切ればよいわけでもなく、明らかに根拠不足であったり、それを通り越して嘘であったりと思われれば、今度は一転して評価が辛くなるので、押し引きのバランスは見極めてください。**「嘘ではない範囲で強気」が基本的なスタンス**です。 また、言い切らないこと以外でも回りくどい表現は見られます。たとえば、以下のような表現はよく見かけます。 > **NG**  以上が、本研究の〔目的/独自性/着想の経緯〕である。 > > **NG**  〇〇〇の理由は、〇〇〇だからである。 > > **NG**  驚くべきことに(驚いているのは申請者だけであることが大半) ### 無駄にへりくだらないこと、大げさでないこと > **NG**  〇〇〇研究室で〇〇〇の研究をさせていただいている。 > > **NG**  共同研究者である〇〇〇教授の御協力のもと、〇〇〇における〇〇〇を検証する。 研究環境の説明などで、時々このように書く人がいます。申請書には普通に「〇〇〇の研究を行っている」と書けば十分です。また、2番目の文についても、実際に誰かに話す時などであれば「御協力」でもよいかもしれませんが、ここは、「〇〇〇教授と共同で〇〇〇における〇〇〇を研究する」や「〇〇〇における〇〇〇について〇〇〇教授と共同研究を行う」と書いて十分です。 申請書において敬語を使う心理はわからなくもないですが、読んでいてくどい表現になりがちです。敬語表現を用いたから、用いなかったからといって評価が変わるわけでもありません。**普通で良いです、普通が良いです。** > **NG**  この方法は、申請者の極めて独創的かつ柔軟で大胆な発想に基づいたものであり…… > > → 自分の研究を過度に重要であるかのように書く人もいます。こうした誇張表現も自分の内容を客観視できていないと思われるので得策ではありません。 > **NG**  しかし、大きな問題が残っている。〇〇〇における〇〇〇が存在していないのである。 どんなに、「すごい」「新しい」「独創的だ」という言葉を並べても審査員には届きません。そう書くだけならば誰でも可能だからです。どこが、どういった点で、どのようにすごいのかについての説明がなかったり、実際の内容と表現が乖離していたりすれば、客観的な文章とはいえません。 自己礼賛以外にも劇画調の書き方も問題です。文章を書き慣れていない人ほど、「~のである」といった大仰な表現を使う傾向にあります。こんなところでドラマティックにする必要はありません。**もっと淡々と事実を書いて凄みを出してください。** ### 表現の強弱 #### 強い表現 何でもかんでも強気がよいというわけではありませんが、強く自信にあふれる表現は魅力的に映るのも事実です。大仰な表現とは紙一重であることを十分に理解したうえで、読み疲れない程度に強気表現を織り交ぜるのは効果的です。申請者が自分自身を信じなければ何も始まりません。 - 世界にさきがけて - ~と確信している - 〇〇〇の研究を新たなフェーズへと導くことができる - ~(と/が)強く期待される - ~に挑戦する - 本研究は〇〇〇を明らかにする〇〇〇の研究であると同時に、〇〇〇を〇〇〇する挑戦でもある - 世界をリードする〇〇〇 - 新たな研究(領域)を創造する