--- title: "3.10節 削る・詰め込むテクニック" book: 科研費申請書の教科書 chapter: 第3章 申請書のデザイン pages: 206-209 images: page_0206.png ~ page_0209.png --- # 3.10節 削る・詰め込むテクニック > **#科研費のコツ 101** あと少しの申請書を詰め込むテクニック まれに、申請書に空白が目立ちスカスカな方を見かけます。「人権の保護」などは無理に埋める必要はありませんが、研究計画や遂行能力の欄で空白があると、印象はよくありません。研究計画やこれまでの研究がせいぜい数ページで収まるわけはないので、書けないという人は何かを見落としています。少しでも採択率を上げたいならば、**ぴったり書いてください**。 問題は多すぎる場合です。いきなりフォントサイズを小さくしたり、行間を詰めたりして収めようとする方が多いですが、それではわかりにくくなってしまいます。安易に詰め込むのではなく、**まずは内容を精査し、わかりやすさへの影響が小さいところから試すべき**です。 ### 削る・詰め込む手順 **内容の見直し** 詰め込む方法は数多くありますが、まずは**本当に必要な情報なのかを再検討する**ことが最優先です。申請書の内容を段落単位でチェックし、「ここに書かれている情報は、審査員がこの申請書を評価するうえで必須か?」という点に気をつけながらチェックしてください。候補が見つかったら、その部分を削ってみて、審査員が理解できるかを改めて考えてみます。**審査員に100%理解してもらうことを求めなければ、渡す情報は大幅に減らせます**。 1. 必要最低限の情報セットになったら、次は文章単位で表現を見直します。同じ表現が異なる場所に繰り返し書かれていないか、2つの文章で言い方が違うだけで、ほぼ同じ内容の文章が続いていないか、文章の統廃合は可能かを検討します。 また、文末は断定を避けたいという意識が強いとくどくなりがちなので、もっとすっきりと表現できないかを意識して見直します。 2. 図が大きすぎる場合は、もっとすっきりとした図にして小さくできないかを考えます。ほとんどの場合、審査員はそこまで詳細な図は求めていません。図の細かいところまで読み込んでいる時間はありませんので、詳細すぎる図はスペースの無駄使いになりがちです。 ### 詰め込むテクニック(1から順に試す) 1. 図の内容を変えずに、図の高さを小さくできないか、図の位置を微調整するだけで1行を詰められないか検討する(**行末と図の右端を揃えるのは死守**)。 2. 数文字だけで1行を使っている行があれば、文章表現・単語の変更、語順の変更、読点の削除などで1行分を削れないか考えてみる。 3. 2でも無理なら、削りたい文章をハイライトして**文字間隔を 0.1pt ずつ詰めていき**、1行を削れないか考える。0.2pt〜0.3pt 程度までなら見た目にはほとんど影響しない。 4. 2、3でも無理なら、削りたい文章を含む**段落全体をハイライト**して文字間隔を 0.1pt ずつ詰めていき1行を削りにかかる → この場合、わずかとはいえ余計な部分も文字間が詰まってしまうので、1行を削るのに最低限必要な部分を割り出し、関係しない部分は[標準]に戻しておく。 5. 本書での行間のデフォルトである**固定値 18pt → 17.5pt → 17pt** と試す。あるページで行間を変えたら、他のページの行間も揃えるように変更しておく。 6. 大見出し前に設けている**空行の間隔を 1行 → 0.7行 → 0.5行** と小さくする。ここも1箇所変えたら他のページの空行についても同じサイズにしておく。 > …ここ以降は最終手段なので、なるべくなら使わずに済ませたい… 7. 行間をさらに小さくし、固定値 17pt → 16.5pt → 16pt と試す。 8. 図がわかりにくくなることを覚悟で小さくしたり、情報を削ったりしてサイズを小さくする。 9. 段落全体をもう 0.1pt 詰めることで、1行削れる場所がないか探す。 10. 見出しと同じ行から本文を書く。 11. 行間を 15pt まで 0.1pt 刻みで小さくしていく。 12. フォントサイズを 10.5pt にする。 ### 業績リストを詰め込む 業績リストで示す論文などの業績は、数が多いと有利に働くことは間違いありません。ただし、業績リストだけからは、そうした業績が研究遂行能力とどう結びつくのかはわかりません。業績が十分に多いことがわかればそれでよいので、**業績を説明する文章を書くためのスペースを確保する**ようにしましょう。 具体的には、以下の方法で業績リストを圧縮できます。 **見せる業績を削る** 業績が多い場合は直近のもの、主要なものを中心に書き、残りは**「他◯件」**と書いておきます。完全に省略するともったいないので、他にも業績があることはアピールするようにしておきましょう。 また、業績数を減らさなくとも、 - 〇〇〇,△△△,申請者,… 他◯名 - 〇〇〇,"…" 申請者,(◯名中◯番目) のように、かさ高い著者名を省略することでも省スペース化は可能です。他には、タイトルを省略するなども有効ですが、タイトルを削ると何についての業績なのかわからなくなってしまいかねないので、優先順位は低めです。 **行間・文字間を詰める、フォントサイズを小さくする** 詰め込むテクニックでも説明したように、行間や文字間、フォントサイズは軽々しく変更せず、申請書全体を通して一定に統一すべきです。しかし、**業績リストだけは例外**としても扱ってもよく、かさ高いだけでなく、しっかりと読み込むものでもないので、多少詰め込んでも申請書全体の理解度にはそれほど影響しません。 フォントサイズ:**10pt**、行間:固定値 **14pt** くらいでもよいかもしれません。行間を詰めすぎると文献ごとの切れ目がわかりづらくなりますので、文献の間を **0.2行** くらい空けるなどの工夫はあってもよいでしょう。もちろんその分スペースは増えますが、それでも差し引きでは数行程度は詰められるでしょう。文字間を多少詰めることで1行を削れるのであれば、それも有効な手段です。 **見出しと同じ行から書き始める** 大見出しは「本研究の目的」や「研究計画」のように短いものも多いので、大見出しの横にはスペースがあります。本当に何をやってもスペースが足りないなら、この部分のスペースを活用することも考えましょう。 大見出しに続けて本文を書くので、見出し部分と本文部分がそれぞれ区別できるように書かないといけません。 - **本研究の目的** 本研究では〇〇〇により〇〇〇を…… - **【本研究の目的】** 本研究では〇〇〇により〇〇〇を…… - **本研究の目的** 本研究では〇〇〇により〇〇〇を…… - ■ **本研究の目的:** 本研究では〇〇〇により〇〇〇を…… - **本研究の目的|** 本研究では〇〇〇により〇〇〇を…… このように、見出しを太字ゴシック、本文を明朝体にして両者を区別するだけでなく、最低でも**全角スペース1つ分**を空けます。見出しと本文の違いをより明確にしたいのであれば、隅括弧や網掛け、コロン(:)、| などで区切っておくのもよいアイデアでしょう。