--- title: "(J) 研究環境" book: 科研費申請書の教科書 chapter: 第2章 何を・どこに書くか pages: 125-127 images: page_0125.png ~ page_0127.png --- # (J) 研究環境 > **#科研費のコツ 59** 研究環境で書けることは決まっている ### 「研究環境」に迷ったらこう書こう 申請書中で提案する研究を十分に遂行できる環境にあることを審査員に説明し、懸念を取り除くためのパートです。形式的に十分でさえあれば大きく差がつくところではないので、書きすぎないようにしましょう。 準備状況と内容的には重複しがちですので、両方を書く場合は、それぞれの役割を事前に明確にしたうえで書き分けるようにしましょう。予備データなどの存在などは研究環境としては書きにくいので着想の経緯、準備状況、研究計画などで書きます。 #### 具体例 > **研究環境** > 申請者は、これまで一貫して江戸時代における日本の数学史の研究に取り組んでおり、必要となる参考文献や資料等の多くは揃っている。本研究で新たに解析する資料についても所在を把握しており、すでに閲覧許可を得ている。また、コーパスの分析に使用するデータは十分な量を確保しており、すぐに活用できる状態にあるだけでなく、現在も規模を拡張中である。さらに、アンケートおよび被験者についても協力してもらえることの確約を得ており、必要となる数を確保できる見込みが立っている。 > > **(10-1)** 研究の適切性|研究環境(有形) > **(10-2)** 研究の適切性|研究環境(無形) > **研究環境** > 本研究は申請者が所属する研究室および医学研究支援部門で行う。レーザーマイクロダイセクションシステム、リアルタイムPCRサイクラー、解析など必要となるものはすべて研究室に備わっているか、共通機器として利用可能である。また、ALSモデルマウスは学内で管理・維持しているため、試料供給のめどは立っている。また、本研究で用いる実験手法は、申請者がこれまでに開発してきた方法を含め十分な経験があるため、遅滞なく研究に取り組むことが可能である。レーザーマイクロダイセクションは支援部門技官の鈴木、遺伝子発現解析は共同研究者の田中の協力を得て進める。 > > **(10-1)** 研究の適切性|研究環境(有形) > **(10-2)** 研究の適切性|研究環境(無形) #### 一般化例 > 本研究の遂行に必要な〇〇〇や〇〇〇、〇〇〇、〇〇〇は十分に揃っており、〇〇〇のための施設や設備についても整備されている。また、〇〇〇は{共通機器室で/共通利用設備として}使用が可能である。すでに〇〇〇大学の〇〇〇博士との話し合いを進めており、密接に連携して〇〇〇解析を進める体制ができている。 ### 種目別の研究環境フォーマット **科研費|基盤、若手、スタートアップ** - 該当する項目:研究環境(6ページ目) - 分量:5〜10行程度 - 「十分に研究できる」という内容を書いておけば十分なので、いたずらに長く書く必要はない。 - 要素:(10)研究の適切性 - 「準備状況」と同じ内容を繰り返して書くことのないよう意識して内容を書き分けるとよい。 ## 「研究環境」の要素 ### (10-1) 研究の適切性|研究環境(機材・資料・施設・材料など有形のもの) - 研究の遂行に必要な施設や機器を有している、利用できる環境にある(共通機器など)。 - 最低限必要なもの(機材・材料、協力施設、サンプル・資料など)が揃っている。 - →準備状況と被るようであるなら、どちらか一方だけで書くことも考える。 - 材料や方法などで有利な状況である。 - 担当する大学院生、技術補佐員がいる。 - →大学院生の参画については若手研究者の育成と絡めて書いてもよいでしょう。 > **ポイント**: 必要となる機材の購入 > > 基本的には「必要となる研究装置の大部分は利用可能であり問題なく研究を遂行できる」と書くのですが、研究装置や人員は十分であり何も問題がないと書いてしまうと、新たに何も買えなくなってしまいます。 > それを避ける意味でも、実際の申請内容に即して買うものを明示しておくとよいでしょう。 > **OK** 〇〇〇については購入後20年以上が経過しており、〇〇〇であることから、本申請予算で〇〇〇を新たに購入する。 > **OK** 現有の〇〇〇でも研究は遂行可能であるものの、研究室規模の拡大により、追加で〇〇〇を新たに購入する。 > **OK** 新たに〇〇〇を実施するため、本申請の採択後に〇〇〇を導入する。 > **OK** 〇〇〇という{短い研究期間/困難な課題}において着実に研究を推進するため、〇〇〇を〇〇〇する費用を本申請で計上した。 ### (10-2) 研究の適切性|研究環境(知見・実績・研究環境・技術など無形のもの) - 実験系を確立している - 共同研究者が近くにいる、長い付き合いである - 実績がある - 共同研究、研究協力の約束を取り付けている - 被験者確保の見込みが立っている - すでに打ち合わせを始めている、共同研究を開始している - 独立して研究できる環境である - 組換え実験、倫理委員会など、認可をすでに得ている、審査中であり研究開始までには認可を得られる見込みである ### (10-3) 研究の適切性|アピール - **新しく研究室を立ち上げた**(物入りであるアピール) - →独立して最初の1〜2年は多少強引でもいいので、その旨を必ず書いておきましょう。採択率の上昇が期待できます。「お金が必要である」と直接的に書く必要はなく、単に事実として「独立したてである」ことを伝えるだけで十分です。 - **{公募班員/さきがけ研究者/〇〇〇の代表、etc}として、〇〇〇してきた。** - →何かアピールできるようなもので、成果を挙げてきたり、基盤を形成したりしてきたのであれば書いておいてもよいでしょう。研究の準備状況でも書くことができます。