--- title: "(H) 申請者の役割" book: 科研費申請書の教科書 chapter: 第2章 何を・どこに書くか pages: 115-119 images: page_0115.png ~ page_0119.png --- # (H) 申請者の役割 > **#科研費のコツ 56** 申請者の担当する部分 ### 「申請者の役割」に迷ったらこう書こう 学振のように、共同研究をそれほど前提にしていない場合には、 > **OK** {〇〇〇の部分は〇〇〇が担当するが/その他の大部分は/すべてを}申請者が担当する。 と、研究の大部分を自分自身で行う、と書くのが基本です。科研費でも若手や基盤Cなどは、共同研究者を置かない場合はこのパターンです。 研究分担者を置いて、役割分担する計画の一部を他の人に任せる場合であっても > **OK** 〇〇〇氏と協力し、〇〇〇を実施する。 のように、「申請者と一緒に」研究する旨を書いておきましょう。研究計画のどの部分を誰が担当するのかがわかれば十分ですので、長く書く必要はありません。 #### 具体例 > **研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか** > (1) *F. virguliforme*のダイズ根組織への侵入様式の特定(田中) > Fvの感染成立後のシグナル伝達経路については理解が進んでいる一方で、感染成立に至る過程はほとんど理解されていない。…… > (2) 葉面SDS症状を誘発する*FvTox1*および*FvNIS1*と相互作用するタンパク質の同定(澤) > Fvの感染成立後のシグナル伝達経路については理解が進んでいる一方で、感染成立に至る過程はほとんど理解されていない。そこで、…… > > **(8-9)** 研究計画|代表者・分担者の役割 > **研究体制** > 研究代表者|鈴木一郎(〇〇〇大学教授・准教授)研究統括 > 研究分担者|田中雄太郎(〇〇〇研究所・チームリーダー)質量分析および相互作用解析 > 研究分担者|Giulia Rossi(〇〇〇大学・教授)分光分析 > > **(8-9)** 研究計画|代表者・分担者の役割 > 研究代表者はすべての研究の統括を行い、必要に応じて研究分担者と一緒に実験を行い、必要なデータを取得する予定である。すでに定期的な打ち合わせを行っている。 ### 種目別の申請者の役割フォーマット **科研費|基盤、若手、スタートアップ** - 該当する項目:本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか(3、4ページ目)の見出し部分 or 研究代表者、研究分担者の具体的な役割(4ページ目) - 分量:見出し横 1行以内 / 4ページ目末 5〜10行程度+体制図 - 見出しの横に担当者氏名を入れておくだけでも十分。体制図を入れるのであれば、なるべくコンパクトに。体制図を頑張って書いても費用対効果は悪い。 - 要素:(8-9)研究計画|代表者・分担者の役割、(8-10)研究計画|体制図 - 代表者と分担者がどこを担当するのかがわかるように書く。 **科研費|挑戦的研究(萌芽)** - 該当する項目:研究目的を達成するための研究方法(S-42-2、1〜2ページ目) - 分量:見出し横1行以内 - 挑戦的萌芽の場合は書ける分量がとくに少ないので、見出し横に名前を書く。 - 要素:(8-9)研究計画|代表者・分担者の役割 - 役割分担について書く場合は、研究計画の中で簡潔に言及する。 **学振** - 該当する項目:申請者が担当する部分(3ページ目) - 分量:3ページ目の最後1〜3行程度(該当すれば) - 簡潔に書く。わざわざ見出しを設けるのはもったいないと思うのであれば、研究計画中に組み込むのも可。 - 要素:(8-9)研究計画|代表者・分担者の役割 - 「研究のほとんどの部分を申請者自身が行う」といった内容で書く。 ## 「申請者の役割」の要素 ### (8-9) 研究計画|代表者・分担者の役割 **見出しに書く場合** > **OK** (1) 〇〇〇の分子機構(佐藤、鈴木) このように、各研究内容や研究計画の見出し部分に続ける形で氏名を書いておけば、聞かれていることについてはおおむね答えたことになります。エフォートを書く欄を見れば所属もわかります。 **独立した段落に書く場合** p.115「「申請者の役割」に迷ったらこう書こう」を参照してください。 --- > **ポイント**: 役割分担における申請者の自称および役割 | 自称 | 役割 | |------|------| | ■ 研究代表者 | ■ {すべて、研究全般} | | ■ 代表者 | ■ {研究統括、研究の統括} | | ■ 代表 | ■ {研究の実施、研究の遂行} | | | ■ 研究立案 | | | ■ 〇〇〇解析など具体的な担当項目 | | | ■ 論文執筆(医学系で多い印象) | ### (8-10) 研究計画|体制図 複数の研究分担者や研究協力者がいる場合、それぞれの研究者どうしの役割分担や研究計画全体における位置づけなどがわかりにくくなります。紙面に余裕がある場合には体制図を入れておいてもよいかもしれません(あまりおすすめはしません)。 ただし、次のような体制図は美しくありません。 > **NG** 多すぎる色数(カラーが許される場合はとくに) > **NG** 何でもかんでも枠囲み > **NG** 多すぎる矢印 > **NG** 影付き、反射、グラデーションなどの過剰装飾 > **NG** 大きさ、位置、角度、色の不一致、非対称 研究機関や研究者の間にすべて矢印を引いてしまうと、無駄に複雑になりますし、本当に重要なものが何かがわかりにくくなります。しっかり書き込んだからといって申請書が評価されるわけでもありませんし、そもそも体制図を細かく読み込む人はいません。こうした図を載せる目的は、 - 申請者が中心となって行う研究であること - 不得手な部分は専門家と協力して進める予定であること - すでに研究協力を取り付けており、遂行できる状況にあること ですので、それらが伝わる範囲で極力シンプルにし、わかりやすくすべきです。 ### 必ずしも書く必要はない > 共同研究の場合には、申請者が担当する部分を明らかにしてください。 > *学振 注意書き* > 本研究を研究分担者とともに行う場合は、研究代表者、研究分担者の具体的な役割を記述すること。 > *科研費 注意書き* とあるように、「共同研究の場合には、」「本研究を研究分担者とともに行う場合は、」とわざわざ但し書きがありますので、該当しない場合には断りなく省略が可能です。 共同研究ではなく、研究分担者がいるわけではないが、どうしても自分がすべてを担当する旨を書きたい場合でも、研究計画の末尾にでも「これらの計画はすべて申請者自身が実施する」とでも書いておけば十分です。