--- title: "1.4節 オズボーンのチェックリスト" book: 科研費申請書の教科書 chapter: 第1章 申請書を書く前に pages: 16-18上半(1.5節はp.18中段から開始) images: page_0016.png ~ page_0018.png --- # 1.4節 オズボーンのチェックリスト > **#科研費のコツ 03** アイデアのはさみうち > > **#科研費のコツ 04** 研究アイデアを生みだすためのフレームワーク 実際におもしろい研究テーマを見つけるためにはアイデアが重要です。ここでは新しいアイデアを生み出すツールとして「オズボーンのチェックリスト」を紹介します。 オズボーンのチェックリストは、以下の9つの質問に答えることで既存のアイデアや成功例に変化を与え、新しいものを生み出すための思考ツールです。新しい研究アプローチを考える時に役立つことでしょう。 ### 1. 転用 - 新しい使い方は? - 改善・改良して使いみちはないか - 他の分野で使えないか - 他の分野で必要とされていないか? > **研究における実例:** ドラッグリポジショニング、GPCRを用いたオプトジェネティクス、GFPを利用したpHセンシング ### 2. 応用 - 他(過去)に似たような例はないか - 何かを真似できないか - コンセプト等を使えないか - 手本はないか > **研究における実例:** モルフォ蝶を模倣した構造発色、数学の証明に物理学の考え方を利用、DNAバーコーディング ### 3. 変更 - 意味・色・動き・様式・型・対象・頻度などを変えたらどうなるか > **研究における実例:** ライトシート顕微鏡、文学作品の再解釈、電話の意味の拡大→スマホ(結合や拡大ともみなせる) ### 4. 拡大 - 大きく・長く・強く・高く・厚くできないか - 地域・対象・頻度・時間を増やせないか > **研究における実例:** 各種の網羅解析、長鎖DNAの合成、スパコンの性能向上、世界の複数地域での統一調査 ### 5. 縮小 - 小さく・短く・弱く・低く・薄く・シンプルに・簡易にできないか - 省略・分割できないか > **研究における実例:** 1細胞解析、超解像顕微鏡、マイクロフリュイディクス、テーラーメイド医療 ### 6. 代替 - 物・材料・製法・方法・利用場所・対象・人を変えたらどうか > **研究における実例:** レアアースを含まない触媒、コンテキストの違いによる行動変化、官能基を変えることで特性変化 ### 7. 置換 - 要素・配置・順序・因果・成分を変更できないか > **研究における実例:** 処理手順を入れ替えることで効率アップ、当たり前と思って入れていた物が実は不要だった ### 8. 逆転 - 上下・左右・前後・反転・役割を逆にできないか - 弱みを強みに変えられないか > **研究における実例:** 接着力の弱いのり→付箋、研究データを公表する→公表されたデータを用いて研究する ### 9. 結合 - 2つのアイデア・最先端の技術・異分野の方法論・手順などを組み合わせたらどうなるか - 結合・合体・融合・混合できないか > **研究における実例:** 経済学+心理学=行動経済学 ### 注意点 オズボーンのチェックリストは**1→10の発想には向いていますが、0→1の発想には不向き**です。ほうきを素早く動かす方法を考えても掃除機は生まれませんし、うちわを素早く動かす方法を考えても扇風機は生まれません。そのため、オズボーンのチェックリストを利用する場合は、なるべく良いアイデア・成功例を持ってくる必要がありますし、0→1を生み出したい場合は別の思考ツールを用いたほうがよいでしょう(#科研費のコツ 04)。