<研究目的及び研究方法、応募者の研究遂行能力> 挑戦的研究(萌芽)1 1研究目的及び研究方法、応募者の研究遂行能力 本研究種目は審査区分表の「中区分」で審査される。記述に当たっては広い分野構成で多角的視点から審査が行われること に注意すること。 ① 本研究の目的 ② その研究目的を達成するための研究方法(研究体制(「研究組織」にある研究者及び研究協力者のそれぞれの役割)を 含む) ③ 応募者の研究遂行能力(これまでの研究活動(主要な研究業績を含む)の具体的な内容等必要に応じて今回の研究構想 に直接関係しないものを含めてもよい。また、国際共同研究の実施歴や海外機関での研究歴等がある場合には必要に応 じてその内容を含めること。) について、2頁以内で焦点を絞って具体的かつ明確に記述すること。 本研究の目的 LGR5 (Leucine-rich repeat-containing G-protein-coup 細胞マーカーとして知られており、内因性リガンドが不明なオーファンGPCRである。本研究の目的 は、LGR5の内因性リガンドのペプチドホルモンを発見し、腸管上皮幹細胞の維持や増殖分化におけ る作用を明らかにして、消化管粘膜の再生医療への応用を展開することである。 (腸管上皮幹細胞マーカーLGR5は内因性リガンドが見 つかっていないGタンパク質共役型受容体である) 幹細胞マーカー LGR5 の内因性リガンドを発見する ショウジョウバエのバーシコンに類似したペプチド LGR5は消化管において陰底部のPaneth 細胞の間に 散在する crypt base columnar (CBC) 細胞に特異的に 発現しており、このCBC細胞は腸管上皮の様々な細胞に 分化増殖していくことから、腸管上皮幹細胞であること が明らかになっている。この結果から、LGR5は腸管上 皮の幹細胞マーカーとして研究に使われているが、 LGR5の分子としての実態は内因性リカンドが不明な (つまりオーファン=孤児)GPCRである。LGR5のノ ックアウトマウスは発生段階で致死性となることから、 LGR5は(および、その内因性リガンドは)幹細胞の維腸管上皮幹細胞マーカーの 持や増殖分化に関与すると考えられている。 このLGR5はロイシンリッチな繰り返し配列を細胞外 ドメインに有するGPCRで(Barker et al. Nature 2007)、構造の似通ったLGR4およびLGR6と3つの受容 体でファミリーを形成している。その構造はLH(黄体 化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)やTSH(甲状 腺刺激ホルモン)の受容体であるLGR1~3や、リラキ シンの受容体であるLGR7~8に類似していることか ら、LGR5の未同定の内因性リガンドもペプチドホルモ 腸管上皮幹細への作用、開管粘再生への応用 ンと考えられている。 2011年に R-spondinがLGR5の内因性リガンドとし て報告された。しかし、R-spondinはセカンドメッセンジャーのCAMP 上昇を刺激しないこと、ま たR-spondinの結合部位から、R-spondin は受容体を活性型に変換することはできないため、現 在ではR-spondinがLGR5の内因性リカンドであることに対しては否定的な意見が多い。 申請者は食欲を刺激するホルモンのグレリンを発見した後から、このLGR5の内因性リガンド を発見したいと考えてきた。そして腸管の組織抽出物からの探索を継続して行ってきたが、残念 ながら内因性リガンドの発見には至っていない。 そこで今回、LGR5に類似したショウジョウバエの受容体とその内因性リガンドの情報や、タ ンパク質データベースの検索方法の進歩、また申請者がこれまでに使ってきたオーファンGPCR のアッセイ方法などを組み合わせて、LGR5の内因性リガンドの新しい探索方法を着想した。 ② その研究目的を達成するための研究方法 (LGR5はショウジョウバエのdLGR2に類似している) ヒトとショウジョウバエでは生存に必須なタンパク質は共通であることが多く、ショウジョウ バエの研究から、ヒトの研究に結びつく例も多い。申請者はこれまで哺乳類だけでなく、ショウ ジョウバエからも新しいペプチドホルモンを発見してきた。その経験から、ヒトとショウジョウ バエで、リガンドの構造的特徴や機能が保持されている例が多いことに気づいた。 (304 科研費獲得の方法とコツ 第9版