<研究目的。研究方法など(つづき)> 基盤研究(C)(一般)3 [1 研究目的、研究方法など(つづき)】 受容体の活性化機構が明らかになり、GPCRの活性化機構に新しい知見をもたらすと期待される。 (3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ GPCRの立体構造解明の研究は、これまでは不活性型の3D構造解明が主だったが、現在では 活性型の構造を解明して、受容体の活性化機構を明らかにする研究が中心になっている。また不 活性型の構造解明には主に線結晶構造解明が使われてきたが、活性型 GPCRの3D構造解明では Gタンパク質との複合体をクライオ電頭で解析することが主流になりつつある。Gタンパク質に ついては、GiとGsについては培養細胞で効率よく発現されるが、グレリン受容体がカップリン グするGqについては発現効率が悪く、Gaとの複合体で解明されたGPCRの3D構造はまだない。 今回の研究計画によってグレリンの脂肪酸修飾がどのようにグレリン受容体を活性型に変換す るのかが明らかになるとともに、Gqとカップリングする他のGPCRの3D構造解明にも大いに貢 献できると考える。 (4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか グレリンが結合したグレリン受容体の3D構造の解明を、X線結晶構造解析とクライオ電子頭微 鏡による解析の二つで並行して進めていく。 1,X線結晶構造解析によるグレリンが結合したグレリン受容体の3D構造解明(児島) X線結晶構造解析によって活性型の3D構造が解かれたGPCRには、エンドセリン、ニューロテ ンシン、アンジオテンシンなどがある。これらはリガンド結合能が極めて高いもの(エンドセリ ン受容体、ETBR)や、アミノ酸置換などで受容体の熱安定性を高めたもの(ニューロテンシン 受容体、アンジオテンシン!!受容体)で3D構造が解かれている。 そこでアミノ酸のランダム変異ライブラリーによって、リガンド結合能が高い高活性型のグレ リン受容体や、熱安定性の高い受容体を探索し、グレリンと結合したグレリン受容体の結晶を形 成する。クロンテック社の Diversify PCR Random Mutagenesis K 残基のグレリン受容体に1~2個の変異アミノ酸が入るようにする。これをプラスミドベクター に組み込み、培養細胞に発現させる。この発現細胞において IP3基礎活性の測定や、グレリン添 加による細胞内カルシウム濃度の変化を指標にして、高活性型のグレリン受容体を見出す。変異 型グレリン受容体の熱安定性は蛍光ゲル濾過(FSEC)によってチェックする。 予備的なスクリーニングの検討では、250種類の変異型グレリン受容体クローンにおいて、高 活性な3つの変異体を見出している。これらはASpとGIuのアミノ酸ペア、ArgとLySのアミノ 酸ペアなど、同族のアミノ酸の置換によって受容体の活性が変化していた。 さらにスクリーニング数を増やすことと、DNAシークエンスによって見出した変異体クロー ンのアミノ酸置換部位を同定し、これらのアミノ酸変異を複数組み合わせることで、より高活性 で熱安定性のよいグレリン受容体を見出していく。見出した高活性で熱安定性のよいグレリン受 容体とグレリンとの結晶化を試み、結晶形成ができれば線による結晶構造解析を行っていく。 2. クライオ電子顕微鏡によるグレリンが結合したグレリン受容体の3D構造解明(児島、◎ 最近の膜タンパク質の3D構造解明には、クライオ電子顕微鏡を用いることが主流となっ てきている。しかしクライオ電子顕微鏡では、解析対象のタンパク質にはある程度の分子量が必 要(60~70kDa以上)であり、とくに膜タンパク質は界面活性剤ミセルに包まれていることも あって 110kDa以上の分子量が必要である。そのためGPCR(平均の分子量は40kDa程度)の解 析においてはGタンパク質(分子量は80kDa程度)との複合体を形成して解析されていることが 多い。したがってグレリン受容体の活性型の構造解析においても、Gタンパク質(グレリン受容体 の場合は主にGqとカップリングしている)との複合体形成が必要である。 しかしGタンパク質の中でもグレリン受容体とカップリングするGqタンパク質だけは、他のG タンパク質に比べて発現が非常に困難であり、これまでにGqとカップリングしたGPCR受容体 で3D構造が解かれた報告はまだない。 そこでクライオ電子顕微鏡による3D構造解析を目指して、グレリン・グレリン受容体・Gタン パク質の複合体を形成するために、申請者らは次のような方法を考えている。 ① Gilqの変異体を使って発現効率を高める GqのN未端部分をGiに置き換えた変異体(以下、Gi/q)では発現効率が上がることが知られ (290) 科研費獲得の方法とコツ 第9版