次年度の申請書を改良するのに、あまり役に立つとは思えない。 このように審査結果の開示内容は少しずつ改善されているのだが、まだまだ 不十分だ。現在、すべての申請書に対してすべての審査委員がコメントを書く ことになっているので、将来的には、申請内容のどこが悪いのか審査委員の直 接な意見と、また応募件数のなかで何番目だったのか、などの詳細な情報が開 示されるようになるのかもしれない。 Column 初めての科研費(Gくんの場合) 何年も前に初めて若手研究が採択されたとき、 単純な嬉しさと同時に、心底ほっとした。なぜ かというと、この研究所のスタッフは全員が料 研費を獲得していた。危うく自分ひとりが科研 費をもらえず、周りに頼って研究をするという 非常に肩身の狭い思いをするところであった。 そのため単純に研究費がもらえる以上に、自分 にとって精神的にとても大きな意味をもった採 択であった。 これまで地方国立大学を出た私にとって、科 研費はあまり身近なものに感じられなかった。 理学部の学生時代からそれほど多くの研究費を 獲得した人は周りにいなかった。どちらかとい うと科研費や特別研究員(学振)はある程度も らえる人は決まっており、書類作成に時間と労 力を傾けても仕方ないという声さえ聞こえてき ていた。また、ポスドクとして採用された研究 所には潤沢な研究費があり、ポスドクはとにか く研究費よりもデータを出すことを第一に求め られた(それでもたいした結果は出せなかった が…・・).こういった経緯で、それまで、まとも に研究費の申請書を書いたことがなかった。 そのため、この分子生命研に来て初めて真剣 に科研費申請に取り組んだ。しかし、まず初め に申請書の書き方がよくわからない。これまで も,格好だけをまねて書いていたものの、誰に 教わるでもなく本当に自己流であった。できあ がった申請書を提出前に教授に見せたところ、 「まったく読めたものではない!」と書き直し を命じられ、それから周りの研究者の採択され た申請書をみて、申請書の書き方を初めて知っ た。わかりやすく端的な言葉で書かれており、 それに比べて自分の申請書は自己満足で、読み 手の読みやすさを考えていないものであると感 じた。書き直して申請したが採択されず、その 後もチャレンジを続けたが、評価Aをもらうこ とはあっても、毎年連続きであった。この原 因の1つとして、目立った実績がないことを理 由に挑戦的萌芽研究に出していたのがよくな かったと思われる。 そしてついに採択、内容もさることながら、 学内の講習会などで学んだ書き方のコツをもと に、図を使い、わかりやすく書いたことと、実 績はないが駄目でもともとという気持ちで、採 択数の多い若手研究に出したのがよかったのだ ろう.これでようやく研究者としてのステップ を一歩上れたような気にはなったが、今回の採 択は研究室の先生方の威光や、研究室より出た 素晴らしい論文の恩恵を少なからず受けている と思われる。それを考えると、これからの研究 の成果と次の研究費獲得が、自分の真価を問う 意味で重要だと考えている。 (260) 科研費獲得の方法とコツ 第9版