4最後のチェック 4 章 Column 科研費はノーベル賞に必要か? 日本人ノーベル賞受賞者の科研費採択実績は どのようなものなのだろうか?何か特別な事実 があるのだろうか?科研費はノーベル賞獲得に 貢献しているのだろうか? ノーベル賞受賞者の何人かの科研費採択件数 を調べると、野依良治先生が36件、大隅良典先 生が29件、山中伸弥先生が27件、鈴木章先生 が16件、梶田隆章先生が10件、小柴昌俊先生 が9件、白川英賛先生と大村智先生が5件など だ、そして中村修二先生と田中耕一先生は企業 の研究所だったので0件、下村脩先生と根岸英 一先生は米国での研究がほとんどなので0件だ。 もちろん日本人ノーベル賞受賞者は研究者全 体からするときわめて少ない人数だし、個々の 受賞者の研究環境が異なっているので、一般的 な法則を見出すことはできない。それでも結論 として、科研費はノーベル賞受賞に必ずしも必 要ではないと思われる。 しかし、その一方で特定領域研究(現在の学 術変革領域研究)はノーベル賞受賞者の研究費 として、とても重要だ、例えば山中先生では19 件/27件、大隅先生では12件/29件、鈴木先 生では7件/16件とかなりの割合を占めている。 採択の時期からみると、特定領域研究は受賞に つながる研究過程に非常に貢献していることが わかる。そして、特定領域研究につながる研究 過程では科研費の基礎的な種目に採択されてい る.また特別推進研究や基盤研究(S)などの 高額の種目は、受賞者の評価が確立されたあと に採択されていることがほとんどだ。 このようなことから科研費、特に基礎的な種 目は、将来に大きな展開の可能性がある研究へ の支援として重要であると思われる。そのため 将来の大きなブレークスルーの研究を生み出す ためには、基盤研究(A.B,C)や若手研究、挑 戦的研究のよりいっそうの充実が必要だと思う のだ。 大隅先生が基盤研究(C)から、大村先生と 山中先生が奨励研究(A)から出発しているの を知ると、ノーベル賞受賞者でも自分と同じく 一般的な種目からスタートしているので嬉しく なってしまう。勇気づけられませんか?