16 日本学術振興会特別研究員の申請書について Column 審査委員経験者からの申請書に対するアドバイス 科研費の審査委員がどのように申請書を評価 しているのか、ほとんどの人にはわからないだ ろう。私自身も、知り合いから立ち話程度に聞 くくらいしか他の審査委員の評価方法がわから ない。以下は匿名の審査委員経験者から寄せら れた申請書に対してのアドバイスである。 審査委員Aさんのアドバイス 審査委員といえども、申請者と全く同じ専門 領域である可能性は少ないため(ある意味申請 者よりもその分野の素人の可能性あり!),丁寧 に研究の重要性をアピールしよう。税金を投入 する意味のある研究であることをアピールしよ う.それには国語力が必要になる。具体的には、 1) 目的を明確に書こう 2) 研究目的や研究計画の学術的背景を引用論 文をあげてきちんと書こう 書かれている背景が学術的根拠の薄いもので あったり、申請者の思い込みである場合がかな りある.また、「〇〇〇のニューロンでの作用 はよく知られているが、グリア細胞での作用は 調べられていない」という研究背景では、研究 計画の重要性が審査委員には伝わってこないの で、当然評価は低くなる。 3) 応募者の研究遂行能力欄 以前の研究テーマと異なるテーマで申請する際 には、応募課題に関連するものに限らず、以前の 研究テーマでの研究業績を書くこと。そうでない と、申請者に研究計画遂行能力があるのかどう か、審査委員が判断できない。何も書いていない と、研究計画遂行能力がないと判断されてしまう。 4) 申請書の形式に沿って書こう 審査委員が申請者と研究分野がかなり異なる 場合には、審査委員が申請書(きちんと書かれ ていても)を理解できないことがある。その場 合、審査委員によっては、形式的な審査をする 可能性がある。例えば、申請書には、箇条書き で記載する項目を説明しているところがあるが、 箇条書きの1つを無視しただけで、非採択判定 する審査委員もいる。それゆえ、申請書の形式 に沿って書いた方が無難である。 5) 申請書は平易な文章で書こう 本書で散々述べられている通りである。 審査委員Bさんのアドバイス もちろん、私とは違った観点から審査する方 もいるはずです。なぜなら私が総合評点で2を 付けた申請者が採択されている場合も少なから ずあるからです(4を付けた申請者が不採択の こともあり). もう面倒になって業績だけで決めてしまう番 査委員、いそうですよねー、ということを考え れば、研究遂行能力欄の充実は必須です。審査 した申請書で気づいた点は、 1) 自立性の欠如 ①テーマが明らかに元ボスの焼き直しで発展 性に欠ける。 ②計画通り行かない場合は「元ボスに助言を 仰ぐ」と堂々と書く、恥ずかしいぞ! ③共同研究者が多すぎ (何でも他人に頼む申請 者。で、あなたならではの得意領域は何?). 2) 実験方法と計画に具体性がない ①実験方法が平凡で独自の工夫に欠ける。 ②計画内容と人員が明らかに対応しない.1 人でそれをすべてできるのだろうか?実験 補助を雇用するとか学生人数を具体的に記 述するべき. ③うまくいかない場合の対処法がない。 3)何でも外注 院生がこんなにもいるのに、こんな程度のこ とさえ外注? 4) 国民の税金を使っていることを意識してい ない 国民に還元する方法の箇所が空白、もしくは 特許のことだけとか、学会や論文発表のことし か書いていない。 5) そのテーマに関する世界の情勢を自分の都 合のよいように書いてしまっている 真面目な審査委員は、PubMedで調べながら 審査しているので、わかってしまうのだ。 6) 1の自立性とも関連するが、申請者の核と なる成果が非常に少ない つまり、共同研究ばかりで申請者はいわば部 品のような役割しかしていない。 (213