挑戦的研究(萌芽)3 2挑戦的研究としての意義(本研究種目に応募する理由) 本研究種目は、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させる潜在性を有する挑戦的研究を募集するものです。 ① これまでの研究活動を踏まえ、この研究構想に至った背景と経絡 ② 学術の現状を踏まえ、本研究構想が抗戦的研究としてどのような意義を有するか、探索的性質の強い、あるいは芽生え 期の研究計画である場合には挑戦的研究としての可能性を有するか 申請者のこれま での研究内容 着想した点 挑戦的研究と しての意義(コ アの部分) 未解明・未解決 な点 この研究がうま くいったときに 明らかになるこ と、応用など これまでの研究活動を踏まえ、この研究構想に至った背景と経緯 申請者はこれまでに、当時オーファンGPCRであったGHSRの内因性リガンドとして、食欲を 刺激するペプチドホルモンのグレリンを発見した。申請者はその後、久留米大学で研究室を主催 し、次のリガンド探素のターゲットとするオーファンGPCRを探していたときに、消化管幹細胞 マーカーのLGR5の論文を読んだ (Barker el al. Nature 2007)。その中で カーであるのに、その分子の実態はリガンド不明なオーファンGPCRであることを知って、 LGR5にとても興味を持ち、その内因性リガンドを発見したいと考えた。そして消化管組織の 出物から内因性リガンドの探索を行ってきたが(2011~2012年度の挑戦的萌芽研究:消化管幹 細胞に作用する新しいペプチド・ホルモンの探索と腸管粘膜事生への応用)、その同定までには 至らなかった。その理由として、従来の方法ではリガンドが変性して効率よく抽出されて こと、内内性リガンドが幹細胞のある一定の時期にしか発現されないこと、幹細胞自体の数が少 ないためリガンドの存在量が揃めて少ないこと、などが推測されている。 ヒトとショウジョウバエではリガンドの構造的特徴や機能が保持されている例が多い。このこ とから申請者は、哺乳類のLGR5がショウジョウバエのdlI.GR2にホモロジーが高いのな その内因性リガンドはショウジョウバエのバーシコンに構造的特徴が類似している可能性が高い と考え、本研究計画を構想した。 ②本研究構想が挑戦的研究としてどのような意義を有するか、探索的性質の強い、あるいは芽 生え期の研究計画である場合には挑戦的研究としての可能性を有するか (未知のリガンドを発見する意義) 生体内には内因性リガンドが不明なオーファンGPCRが数多く存在し、そのリガンドの同定は 未知の生理作用の解明や、治療薬の開発などにつながる。これまでにオーファンGPCRをターゲ ットとして発見された内因性リガンドのうち、治療薬として臨床応用されている代表的なものに ペプチドホルモンのグレリン(申請者が発見)やオレキシンなどがある。グレリンについては、 グレリン様作用を持つ低分子アゴニスト(アナモレリン)が「がん悪液質」の治療薬として 2021年より臨床応用されており、オレキシンのアンタゴニストは不眠症の治療薬となっている。 このようにオーファンGPCRの研究から発見された内因性リガンドは、その生理作用の解明から 治療薬へと応用されることが多く、未知の内因性リガンドを発見する意義は非常に大きい。 (LGR5の内因性リカンド同定によって、LGR4とLGR6のリカンドも明らかになる) LGR5は、LGR4およびLGR6とアミノ酸売列の ホモロジーが高く、受容体ファミリーを形成して いる。この3つの受容体はいずれも幹細胞のマー カーとして知られているが、全て内因性リガンド が不明なオーファンGPCRである。 右の表に1.GR4~6を発現している幹細胞や、久 損させたときの表現型をまとめてある。これらの 久損マウスの解析から、LGR4~6は発生や分化に 関連していることが示唆されているが、その機能 の詳細はまだまだ不十分である。それはリガンド が未同定であるために、リガンドがどのような刺 数で、どこの組織・細胞から分泌されるのか、リ ガンドが受容体に結合してシグナル伝達を行ったときに幹細胞にどのような変化があるのか、な どが不明なことによる。 LGR5の内因性リガンドが発見されれば、LGR4とLGR6の内因性リガンドについても大 報が得られ、結合するペプチドホルモンの正体が明らかになると思われる。そして、LGR4~6 の内内性リガンドが発見されれば、発生・生の研究分野へ大きな貢献ができると期待される。 本研究は探索的性質の強い挑戦的な研究である。そのため研究期間内に目的のリガンドを発見 できない可能性も大いにある。これまでのペプチドホルモン探索の経験を活かして、ぜひとも新 しいペプチドホルモンを発見したいと考えている。 図3-83●「挑戦的研究としての意義」の見本 令和5年度挑戦的研究(萌芽)の申請書の実例. (198 科研費獲得の方法とコツ 第9版