⑦本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか 【1 研究目的、研究方法など(つづき)】 1. グレリンの生合成経路の解明 …・・・遺伝子から活性型のペプチドへ(児島、〇〇、〇〇が担当) グレリン遺伝子の発現調節から、活性型グレリンになるまでの生合成経路について明らかにする。 a, グレリン遺伝子の転写制に関わる因子の解明 グレリン遺伝子の転写を制御する因子として、申請者らは抑制性のNF-KBと促進性のNKx2.2が関与しているこ とを見出した。本年度はさらにこれらの因子がグレリン・プロモーターのどの部位に結合して、グレリン遺伝子の 発現を調節するのかを解明する。方法としてはゲルシフト・アッセイやChip (クロマチン免疫沈降)アッセイ法な どを用いて結合領域を明らかにする。 b,グレリン遺伝子の発現を制御する染色体領域の解明 プラダー・ウイリー症候群(PWS)は第15染色体の異常があり、これが原因で生後早期からの高グレリン血症や 過食などになる。さらに申請者らの最近の研究で、第1染色体の先天異常疾患においてクレリン産生が激減してい る例を見出しており、この原因はまだ不明である。これらの領域のタンパク質をコードすると考えられる部分の選 伝子を、内因性にグレリンを産生する細胞株(例えば甲状腺癌由来のTT細胞など)でRNAi法を用いて発現抑制し、 培養細胞でのグレリン産生をグレリン測定系(RIA およびELISA)で定量する。これによってグレリン 現の候補遺伝子を明らかにする。 グレリン前駆体からグレリン・ペプチド部分を切り出すプロセシング・プロテアーゼの同定 われわれのこれまでの研究で、グレリン前駆体からのプロテアーゼによる切断にはfurin および PC1 していることがわかった。そこで本年度は furin と PC1/3のどちらが胃のグレリン産生細胞に存在して、グレリ ンと共存しているのか明らかにする。自作のグレリン抗体と、市販のfurin,PC1/3抗体を用いて、胃の免疫組織 染色を行い、染色像が重なるかどうか調べる。内因性に活性型グレリンを産生する甲状腺由来 TT 細胞で、 法を使って furin またはPC1/3の発現を阻害することによって、グレリン前駆体のプロセシングが進むかどうか 調べ、グレリンのプロセシング・プロテアーゼを同定する。 d, グレリンの脂肪酸修飾酵素の同定 グレリン活性化に必要な脂肪酸転移酵素は現在でも全く不明である。申請者らはCOS細胞を使った発現系で、ク レリンと furin の発現ベクターと、胃または視床下部cDNA発現ライブラリーを共発現させ、培地中 を加えることで、オクタン酸で修飾された活性型グレリンを産生させ、これを免疫組織染色で同定するというアッ セイ方法を確立した。このアッセイ系を用いてグレリンの脂肪酸修飾酵素を明らかにする。この酵素はおそらく新 規の脂肪酸転移酵素であろうし、その阻害剤や活性化因子は、グレリンの活性発現の調節に重要な働きをすると考 えられる。 2, クレリン・ノックアウトマウスの自律神経機能の解析(児島、〇〇、〇〇が担当) これまでに海外の2研究グループからグレリン・ノックアウトマウスの解析が報告されているが、目立った表現 型は見つかっていない。申請者らはグレリンKOマウスを作製し、野生型マウスと比較して詳細に検討した。その 結果、われわれはグレリンKOマウスにおいて自律神経機能に異常があることを見つけ出した。グレリンKOマウ では血圧・心拍調節、体温調節がうまくいかず、安定していない。睡眠・覚醒によって血圧・心拍や体温は変化す グレリンKOマウスではその変動の幅が狭く、また基礎的な値の変動が著しい。本研究ではこのグレリン欠損に る自律神経調節機構を解明する。 a, グレリンKOマウスの体温調節機能および血圧・心拍の調節異常の解析 グレリン欠損でなぜ自律神経機能に異常が生じるか調べる。原因は末梢性なのか中枢性なのかを、グレリンKO マウスにグレリンを末梢性あるいは中枢性に投与して、どちらの投与で自律神経機能が回復するかで判断する。B ブロッカー、ブロッカーなどの各種薬物投与によるKOマウスの自律神経機能の変化を調べる。 b, グレリンKOマウスにおけるその他の自律神経機能の解析 血圧・心拍、体温以外の自律神経機能の異常を調べる。グレリンKOマウスで腸管運動、呼吸運動、泌尿器の機能、 などに異常がないか調べる。アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなどの生体内濃度が変化 しているかどうか定量する。 図3-56●研究計画・方法の書き方の見本2 平成19年度基盤研究(B)の申請者の実例. Cで囲んだ部分に研究の背景や目的。予備的な結果を書いてある。また。その後の で示した部分に何をやるのか(実験内容)を書いてある。 (161