重要な点を説明 するのに、最初 に要点を書い て、そのあとで 詳しく解説して いる点が素晴ら しい 応用の可能性に 触れる (学術的独自性と創造性) 本研究で使用する分裂酵母は染色体が3本と少なく、セントロメア構造の解析がもっとも進ん だ生物の1つです。これまで、同様のセントロメア形成の研究は、セントロメア配列を持った非 常に短縮化された人エミニ染色体において行われてきました。計画している本実験の特徴とし て、次の点があります。 1) 野生細胞の持つほぼ全長に近いサイズの染色体において、新規のセントロメア形成が観 でき、より実際の生理条件に近い解析が行えると考えています。このことによって、セント ロメア形成領域が限られているミニ染色体と異なり、セントロメア形成が配列依存的傾向を示 5のか、セントロメア配列の確認できないネオセントロメアが作られる領域に形成されるのか を調べることが出来ます。仮に、本来のセントロメア領域のみに新規セントロメアが形成され ても、セントロメア配列変異株を使用することで、セントロメアの形成がどの程度塩基配列や エピジェネティック因子に影響を受けるのかを明らかにすることが可能であると考えています。 2)セントロメアの活性化および不活性化の両方を実験的に作り出せます 領域的なセントロ メアを持つ染体において、完全なセントロメアの活性化、不活性化を行える実験系はほとん ど例がなく、セントロメアの解析を行う上で非常に有用です。ヒトのシュードダイセントリッ ク染色体において、2つのセントロメアの間で活性と不活性のスイッチングの報告があり、同 一染色体上にセントロメアが1つだけ形成されるような調節機構の存在が示唆されます。本実 験系はこの調節機構の解明を行うよい実験系であり、今後このような解析への展開を計画して います。 変異株を用いて、セントロメア形成とその調節に必要な因子を解析できます。 遺伝子破壊などの解析手法も十分に確立しています。分裂酵母のセントロメアの基本構造はヒ トなどの高等具生物と大部分が共通していることも分かっています。このことから本究の 結果は細胞分裂の基礎的解析に留まらず、ヒトの染色体分配異常の解明などにも繋がると考え ています。近年、発ガン過程において、染色体不安定性はガン細胞の増殖能獲得や悪性化に重 要な役割を果たしていると考えられており、本研究はこのような発ガン過程の要因の解明にも 寄与することが期待されます。 図3-43●「学術的独自性と創造性」の見本2 平成21年度若手研究(B)の申請書の実例をもとに改変。箇条書きで読みやすい。 応用の可能性 を具体的に書 いている 予備的な株討 を示す 「創造的な」な どと言わず、こ れくらいがいい ③当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義 新しい生理活性ペプチドの生理作用を明らかにすることは、非常に意義がある。われわれの研 究からニューロメジンSは摂食行動、体内時計調節に関与していることがわかった。 摂食調節機構の解明はヒトや動物において、様々な病態を誘発する肥満、神経性食欲不振症な どのやせの研究で、また畜産分野では、効率的な食肉生産を行う上で重要である。 体内時計調節機構を解明することは、時差ぼけ、リズム障害による鬱、不登校の解消などにお いて重要である。一方、畜産分野でわれわれが注目しているのは、制限給餌における昼間分娩誘 発である。昼間分娩させるように人為的にコントロールできれば、分娩時の事故の減少、管理者 の精神的肉体的負担の軽減、生産性の向上、飼育管理の省略化等を図ることが出来る。しかし、 制限給餌による確実な分娩誘発、またはその作用機序についてはほとんどわかっていない。 われは予備実験において、制限給餌の生体反応の一部にニューロメジンSが関与していることを見 出した。さらにニューロメジンSまたはその受容体は、生殖器官で発現していること、下垂体から のホルモン分泌を調節していることなどもわかってきた。以上より、制限給餌における昼間分娩 誘発においてニューロメジンSが摂食、体内時計、出産をつなぐ伝達物質としての役割を明らかに できれば、非常に特色のある研究になると思われる。 このように本研究を通してニューロメジンSの新たな生理作用が判明すれば、創業のみならず、 医学・獣医学や畜産領域への応用が十分考えられる。今回、われわれが発見したニューロメジンS は昨年公表されたばかりで、まだ研究はほとんどなされていない。われわれはニューロメジンS発 見当初から研究に携わっているため、世界に先駆けて、ニューロメジンSの様々な生理機能を報告 できると考える。 図3-44●「学術的独自性と創造性」の見本3 平成21年度若手研究(B)の申請書の実例をもとに改変。私のラボのメンバーの申請書だが、全体に力強く、研究に対する意欲が感じられて 好ましい。 (152) 科研費獲得の方法とコツ 第9版