5「本研究の目的および学術的独自性と創造性」の書き方 A) 研究目的のあまりよくない例 本研究の目的は、肺がん組織における微小環境、特に腫瘍血管がどのように正常の肺組 織の血管と形態や機能が異なっているか、それはどのような機序でおこるのか、腫瘍血管 の形態および機能的変化に肺がん細胞がどのような影響を与えているのかを明らかにし、 肺がん細胞と血管を形成する血管内皮細胞、平滑筋細胞間の細胞間情報伝達の存在を証明 し、情報伝達の方法として肺がん細胞が分泌する生理活性物質がどのように利用されてい るかを明らかにすることである。 B) 改良した例 肺がん組織における微小環境、特に腫瘍血管は正常の組織の血管と形態や機能が異 なっていることが知られているが、それはどのような機序でおこるのかはわかっていな 本研究では、肺がん組織から分泌される生理活性物質が、どのようにして正常血管を形 態および機能的に異なる腫瘍血管に変化させるのか、そのメカニズムを解明する。 そのために、次のことを明らかにしていく。 ①腫瘍血管の形態および機能的変化に肺がん細胞がどのような影響を与えているのか ②肺がん細胞と、正常の血管内皮細胞や平滑筋細胞の間の細胞間情報伝達はどのように なっているのか ③肺がん細胞が分泌する生理活性物質が情報伝達の方法としてどのように利用されてい 図3-37●「研究目的」のあまりよくない例とその改良したもの(医菌薬系の例) A) 改良前のものは、1つの文章が非常に長く、複数の研究内容を続けて書いているため、読んでいても研究目的が はっきりわからない. B)改良したものでは、研究テーマに関する問題点をまず書いて、次に研究目的を2行で簡談 にまとめてある。そして取り組むべき研究内容を3つに整理して簡条書きで書いてある。この2行でまとめた研究 的は、申請書の他の箇所で繰り返し書いておくことで審査委員に印象づけるとよい。 A) 研究目的のあまりよくない例 近代の「プロレタリア文学」の生成状況を考察することを通じ、日本の近代文学作品と 資本主義の発展との関わりについての研究を進展させる。 B) 改良した例 近代の「プロレタリア文学」の生成状況を考察することを通じ、日本の近代文学作品 と資本主義の発展との関わりについての研究を進展させる。 日本のプロレタリア文学の資料の多くは十分に調査や整理がされておらず、この研究 を進めることで、「文芸戦線」をはじめとする近代のプロレタリア文学誌について、文化 資料としての保存やデータベース化につながると考える。 図3-38●「研究目的」のあまりよくない例とその改良したもの(人文学系の例) A) 改良前のものは、必要なことが告かれておらず研究目的の意義がよくわからない。B)改良したものでは、 究によって、どのようなことがわかるのか、展開・応用が期待できるのかを付け加えて、研究目的の意義を深めて 研究の目的 この研究に よって明ら かになる こと 図3-39●「本研究の目的」の書き方の例 平成23年度に採択された挑戦的萌芽研究の申請害の実例をもとに改変。 (本研究の目的) この研究ではグレリン受容体のグレリン結合部位を認識し、受容体を活性化することができる ナノボディの作製を試みる。そして作製したナノボディをグレリン受容体を活性型に固定して結 ・晶化することに応用する。これによって不活性型と活性型の両方のグレリン受容体の結晶構造が 解明でき、クレリンが結合したときのグレリン受容体の動きや、クレリンのオクタン酸の修飾部 ・分がどのように受容体を活性型に変換するのかが明らかになると考える。 (149