4本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」の書き方 未解明の問 題点 この研究の 意義 生体内には内因性リガンドの不明なオーファン受容体がまだ数多く存在しているが、リガン ドと受容体の組み合わせが明らかでないため、その生理作用の研究はほとんど進んでいない。 この研究計画においてリガンド探索のターゲットにするLGR5受容体が、最近、消化管や毛包 の幹細胞マーカーであることが明らかになったことから、LGR5の未知の内因性リガンドは幹 細胞に作用するユニークなペプチド・ホルモンであると考えられる。 本研究によって消化管幹細胞に作用する新しいホルモンが発見されれば、消化管細胞の増殖・ 分化・再生研究だけでなく、消化管の再生医療への応用などに新しい展開をもたらすものと期 待される。 未解決な点 申請者はグレリン受容体の結晶構造解析を目指して3年前から研究をスタートし、〇〇大学 〇〇教授の研究室と共同研究を行っている。これまでに結晶構造解析のためのグレリン受容体 を改変したいくつかのコンストラクトを作製し、大量発現による精製から、結晶化のスクリー ニングにまで進んでいる。不活性型のグレリン受容体については、アンタゴニストが結合した 状態の受容体タンパク質を精製し、結晶化の条件検討にまで至っている。しかし活性型のグレ 「リン受容体については、グレリンや合成アゴニストが結合したグレリン受容体は極めて不 で、活性型のままでは精製ができず、結晶化にまで至っていない。 そのためモノクローナル抗体を使ってグレリン受容体を活性型に固定させることを計画した (挑戦的萌芽研究H26~27年度)。しかしマウスのモノクローナル抗体は受容体のグレリン結 合部位に対して大きいことや、融合細胞のスクリーニングには限度があるため、現在でもグレ リン受容体を活性型に固定する抗体は得られていない。そこでモノクローナル抗体に代わる ツールとして、分子量が小さく、受容体のリガンド結合部位の認識も可能なナノボディの作製 図3-33●「研究課題の核心をなす学術的「問い」」の書き方の例1 上の例も下の例も学術的「問い」として、現在の研究における「未解明の問題点」や「未解決な点」を明確に記載している。平成2 に採択された挑戦的萌芽研究の申請書の実例をもとに改変。 赤ペン添削HB3 ● case 29, 30 に実際に遭遇することとなった。その経験から企業不正を防止するための制度 を構築するには、それぞれの学問分野の研究者の強みを活かした学際的研究が 必要不可であると確信し、本研究計画を着想した」 などだ、申請者がなぜこの研究をやりたいのか、その熱い思いをぜひとも書い てほしい.この申請者の個人的な「思い」が「本研究の学術的背景」と異なる 点だ。そしてその「思い」を審査委員に共感してもらえれば評価もあがるだろう。 研究課題の核心をなす学術的「問い」 平成30年度の申請書から新しく付け加えられたのが、この「研究課題の核心 をなす学術的「問い」」の部分である。おそらく、これまでの申請書では研究計 画の問題点や解明すべき点などの記載が不十分との審査委員からの意見が多かっ たのではないだろうか。現在の申請書ではわざわざ「研究課題の核心をなす学 術的「問い」」を書け、つまり問題点をはっきりと書くようにとある。この研究 テーマに関して、いま何が問題なのか、解明すべき課題は何か、未解明の問題 は何か、なぜこの研究テーマを明らかにする意義があるのかなど、研究の学術 的「問い」をしっかりと書くことである(図3-33). これまでいろんな方々の申請書を読んだ経験から、案外この学術的「問い」が しっかりと書かれておらず、何が問題点なのか、一度読んだだけではわからない ことが多かった。学術的「問い」をはっきりと示すよい方法は、ずばり「この研 (143