申請者らは1999年に摂食亢進・成長ホルモン分泌促進作用を有するペプチド・ホルモンのグレ リンを胃から発見し(Kojima et al. Nature 1999)、その生体内での役割について きた (Nakazato. Kojima (4/7人) et al. Nature 200 (2015年9月)で7,800件以上の研究論文が発表され、申請者らのグレリン発見のオリジナル論文 は被引用回数が5,000回を超えている。 グレリンは典型的なGタンパク質共役型受容体(GPCR)であるグレリン受容体に結合して、そ の生理作用を現す。グレリンはペプチド・ホルモンであるが、N未端から3番目のセリン残基が中 鎖脂肪酸のオクタン酸によって修飾されており、しかもこのオクタン酸が受容体の活性化に必須 であるという極めて珍しい構造をしている(Kojima et al. Nature 1999 図3-31●「本研究の学術的背景」の書き方の例 申請者がこれまでに行ってきた研究業績について記載し、発表論文や学会発表などを示すことで、研究計画の実行可 能性をアピールできる。 Jumonji C family histone 3 lysine-27 (H3K27) demethylase (Jmjd3 タンパク質の1種であり、ヒストンH3の27番目のリシンに結合した3分子のメチル基(K27me3) を脱メチル化し、DNAのクロマチン構造を解除することでターゲットDNAの転写活性を促進する 酵素である(Berger, 2007: Klose et al. 2007)。マウス細胞を用いたこれ Jmjd3がマクロファージの分化に重要な役割を果たすことが、申請者らによって報告されている (Sato et al. 2010)。 マウス・マクロファージ由来破骨前駆細胞(RAW264.7)や をLPS等の分化誘導因子で処理すると Jmjd3 mRNAの発現が亢進する(Santa et al, 2009: et al, 2010)。その過程でNF-KBが活性化することも明らかになってきた (Santa et 一方、Jmid3の発現がどのように調節されているのか、またその調節に関与する因子の本体につ てもよく判っていない。さらにJmjd3の直接のターゲットであるInterferon Regulatory Fac 4 (IRF4)と破骨細胞分化に関する研究も、申請者らにより現在までに行われてきているが、 実態は不明な点が多い。 図3-32●「本研究の学術的背景」の書き方のあまりよくない例 申請者の研究成果と、他の研究者の研究成果とが混在しており。申請者らの印象が薄い。両者をはっき 申請者の実績をアピールしないといけない。 赤ペン添削HB3 ●case 40, 41 ろう.難しいかもしれないが、背景はできるだけ簡潔にまとめて、すみやかに 次につなげるのがよい。 「本研究の着想に至った経緯」 ここには申請者がなぜこの研究を計画したのか、どのような経緯で研究計画 を思いついたのか、その理由を書く、ただし、だれもが書くような、ありきた りな理由ではだめだ。例えば「新しい抗がん剤の開発が望まれている」「介護現 場での環境改善が必要である」など、一般にいわれているような理由。教科書 に書かれているような理由ではいけない。申請者のこれまでの研究経験から得 られたオリジナルな理由を書かなくてはならない。研究テーマには必ず、申請 者にとってのなんらかの個人的な理由があるはずだ。例えば、 「これまでグレリンというホルモンの研究を行ってきたなかで、なぜオクタン 酸の修飾基が受容体の活性化に必要なのかは不明であった。このことを明らか にするためにはグレリン受容体の結晶構造解析が必要であると考え、本研究を 着想した」 「申請者は企業不正に関する研究を進めるなかで、ある企業の企業不正の現 (142 科研費獲得の方法とコツ第9版