また、科研費の場合は申請書の内容からふさわしい審査委員を選ぶのではな い。審査委員がまず決定されて、そこに申請書が送られてくる。審査委員は審 査分野の専門家といっても、必ずしもその分野のすべての範囲に詳しいとは限 らない。例えば、私がこれまで審査の経験がある内分泌学に限ってみても、自 分の専門であるペプチド・ホルモンについてはなんとかついていけるが、ステロ イド・ホルモンや甲状腺ホルモンなどになると自分の判断がおぼつかなくなる。 さらに平成30年度の公募から審査区分が大きく変更され、これまでよりも広 い領域での審査になった〔参照1章3:審査区分の種類、 1章4:審査のしくみ)。例 えば基盤研究(B,C)や若手研究では、私がこれまで応募していた「内分泌学」 は、従来の「代謝学」と合併されて小区分54040の「代謝および内分泌学関連」 で審査される(図3-6).そして基盤研究(A),挑戦的研究(開拓・萌芽)で は、「内分泌学」は中区分54「生体情報内科学およびその関連分野」において、 「血液および腫瘍内科学関連」「膠原病およびアレルギー内科学関連」「感染症内 科学関連」「代謝および内分泌学関連」の分野において審査される(図3-7). また基盤研究(S)では臨床医学全部が含まれる大区分「I」において審査され る、つまりどの種目に応募するときでも、自分の研究領域以外の審査委員が加 わるということだ。そのため、これまで以上に申請書のわかりやすさが求めら れ、関連分野の研究者であるが必ずしも専門家とはいいにくい審査委員にも研 究内容をしっかりと理解してもらえるように書く必要がある。 こういったことから、科研費の申請書は学術論文よりも、もっとわかりやす く書くことが必要になる。審査委員は応募する審査区分の関連分野の専門家で あるが、他分野の審査委員よりもその分野に少し詳しいくらいに考えて、内容 Column 審査委員はあなたの申請書を何分見るか? 審査委員はあなたの申請書を何分間チェック するだろうか?「何分でなく、何時間じゃない の?」いいえ、そんなに時間をかけるワケがあ りません。 第1段審査において1人の審査委員には申請 書が平均 100件送られてくる。審査期限はほぼ 1カ月.申請書を読んで、採点とコメント(審 査意見)をネット経由で記入しなければならな い。最近ではすべての申請書に何らかのコメン トを書くことが求められていて、これに結構時 間がかかる. かなり(というか、すごく!)良心的な審査 委員がいて、1つの申請書を読むのに30分、採 点とコメントに15分かけるとすると、合計で 1課題に45分.45分 100で4,500分=75 時間、一日に5時間を審査に費やすとして、15 日間必要. さて、あなたの指導教官にはこんな時間があ るだろうか?難しいのでは、だから読んですぐ に理解してもらえるような申請書を作成するこ とが必要なのだ。 (116) 科研費獲得の方法とコツ 第9版