若手研究は研究者が料研費に最初に応募する種目であり、その採択率は40.1% 〔参照1章の表1-2、図1-8、和6年度の若手研究のデータ)と高い。当然、論文 どの業績はまだ十分ではないことは審査委員も承知しているから、研究計画の 内容が重要である。計画している研究内容がその「若手」に実現できるのか、 Column 社会科学系分野のTさんの科研費獲得への道 私は社会科学系の学部に所属しており、4回 どこの大学でも、9月になると科研費獲得の 目のチャレンジで科研費を獲得することができ ためのセミナー(faculty developmentの一環 ました。今のところ1勝3敗です。道のりは「B が開催されます。私の勤務校では、申請書アド 判定」→「A判定」→「C判定」→「採択」でバイザー制度というものがあり、申請書を提出 した. する前に必ずアドバイザー(過去に科研費を獲 理科系と違い人文・社会科学系の研究室は個 得した経験がある人)による添削指導を受けな 人で独立しています。理科系のように教授職の ければなりません.しかし、大学のセミナーや 先生を中心に数名の研究者がチームとなり、院 アドバイザーから指導を受けても,核心に触れ 生やゼミ生を活用しながら共通の研究を進めて るような具体的な指導がないのです。講師の方 いるということはありません。科研費の申請書 のお話は理解できるのですが、具体的に自分の 作成をはじめ、日々の教育・研究活動を自分た 申請書のどこをどのように訂正すればいいのか けで行わなければならないため、科研費獲得にわかりませんでした。実は、3回目の申請のと 至る道は平坦ではありませんでした。 きは直属の上司に添削指導を受け、その通りに 1回目の研究活動スタート支援への応募のと 記載したら「C判定」だったのでした。 きは、書き方が全くわからなかったので、K先 4回目の挑戦では、K先生から、前回なぜ「C 生の「科研費獲得の方法とコツ」を熟読しなが 判定」だったのか、内容と文章表現を具体的に ら申請書を作成しました。残念ながら結果は「B どのように記載したらよいのかなど、核心部分 判定」.このとき、同じ研究活動スタート支援 のご指導があり、まさに万全を尽くしての申請 に応募した同僚は全員が採択され、数万円の でした。翌年の4月1日、日本学術振興会の 研究費を獲得していました。部署内の会議のた ホームページに採択番号と採択課題が記載され びに『今度、科研費で〇〇を買います』などと ていたときの嬉しかった気持ちはいまだに忘れ いう会話が続けられるのがとても辛かったです。 られません。 捲土重来を期して、K先生が講師の「科研費獲もちろん、科研費を獲得することが目的では 得セミナー」と「科研費獲得道場」を受講して ありません。現在、獲得した科研費をもとに申 臨んだ2回目の応募(基盤C)は「A判定」で 請した課題の研究を着実に進めています。慢心 した(研究者になった年齢が40歳を過ぎてい することなく、これからも日々精進していくこ たので基盤Cに応募せざるを得なかった).ことが重要だと思っています。 れに気をよくした私は3回目も基盤Cに応募し このコラムは、科研費の採択結果がきている ました.2回目の「A判定」時の申請書を少しころに書いています。私の研究室近くの教授職 応用した内容としました。自分としてはかなりの先生2人が「基盤C」で不採択でした。多く 手応えのある申請書を作成したと思っていただ の業績がある教授職だからといって採択される けに、「C判定」での不採択はとてもショック とは限らない,科研費を獲得することは甘くは でした。同時に、なぜ自分の申請書が不採択な ないということを改めて実感しました。だから のか理解できませんでした。 こそ挑戦する甲斐があるのだと思います。 78 科研費獲得の方法とコツ第9版