変わらない。なお、「調整金」による研究費の次年度使用には上限が定められて いないが、下限は未使用額で5万円以上(1万円単位)との規定がある。 ●前倒し使用 またこの調整金を使って、次年度以降の研究費を前倒しで使用することも可 能である。前倒しで使用した配分額は次年度以降の研究費から減額されるため に、配分額全体は変わらない(図1-14)・ この調整金は全種目の完全基金化までの一時的な制度であろうが、非常にい い制度だと思う. 科研費等の合算使用による共用設備の購入 研究者にとって科研費で高額の機器を購入するのは大変だ、近年、非常に高 額な実験装置が販売され、その機器の購入が研究の成否を分けることもある。 クライオ竜子顕微鏡などはその例だろう。しかし現実問題として、科研費では 特別推進研究などの一部の種目を除いて、基盤研究(B,C)や若手研究では高 額な実験装置を購入することなど不可能だった.その後、若手研究や基盤研究 (B,C) などが基金化されて研究費を年度を超えて使用できるようになった め、これまでよりも高価な機器を購入しやすくなった。それでも研究費の総額 によっては、購入できる機器には限度があった。 それが現在では複数の研究費を合算して共用設備を購入することが可能にな り,高額の機器をも購入することが可能となった。「共用設備」とは「複数の科 研費(研究課題)において共同して利用する」(文部科学省のホームページよ り)実験装置や研究機材などのことである。これは画期的なしくみである 2つ以上の科研費や、科研費と運営費交付金、あるいは科研費と寄付金など を合算して、共用設備を購入することができるのだ。2つ以上の科研費の合算 とは、同一研究者の科研費だけでなく、同じ研究機関に属する別の研究者の科 研費とも合算できる。しかし購入できるものはあくまでも、科研費の研究目的 に沿った必要な設備に限られるのはいうまでもない。 合算使用に関しては日本学術振興会の科学研究費助成事業ホームページ「科 研費FAQ」(https://www.jsps.go.jp/j-grantsinai て検索すると詳しい情報が得られる。 このように科研費の繰り越し手続きの簡素化や、科研費の基金化、そしてこ の合算使用による共用設備の購入など、ここ数年で急激に科研費は使いやすい ように変化している。 64 科研費獲得の方法とコツ第9版