必要に応じて次年度以降に予定している研究費を先に使ったり(前倒し)、ある いは年度末に使い切れなかった研究費を次年度以降に回す(繰り越し) 例えていうと、銀行に研究費をまとめて預けておいて、自由に引き出せたり、 あるいは余った分を預金できるようなイメージだろうか。研究期間内ならば、 研究費配分額を研究者の判断で自由に変更できるようになったのだ. このように科研費の基金化は、研究費を非常に柔軟に使うことができる制度 であるが、研究者としては、研究費の管理と執行において不正使用がないよう にこれまで以上に注意しなければならない。 調整金によって基金化されていない種目も使いやすくなった 完全に基金化されている基盤研究(B,C),若手研究,挑戦的研究(開拓・ 萌芽),研究活動スタート支援、特別研究促進費については、研究期間内であれ ば年度の区切りに関係なく研究費を使うことが可能である。従来、基金化され Column 研究費はいくら必要か? 以前,三菱財団の研究費をもらったときに、 その財団の選考委員をしていた堀田凱蔵先生が 書いたエッセイを読む機会があった。そのなか に「研究者におとずれる3つの危機」について 書いてあった。その1つが「大型の研究費をも らったとき」とあって、「へえ」と思った(あ との2つは忘れた。すみません).時、独立 してラボをもったばかりの私には「大型の研究 費」などは夢の世界で、なぜなんだろうと思っ たことを覚えている。その後、運よくある研究 チームに加えてもらって、一般の研究費のレベ ルからみると、かなり高額の研究費をいただく ことができた。それをいただいた感想は、研究 費が多いのはよい。しかし、多すぎるのも大変 だということ、かなり贅沢な使い方をしても結 構な研究費が残るのだ。そのため年度末が近く なると、消耗品や試薬などの注文に追われた。 また大型研究費が終了したときに、膨らんだ研 究費予算を減らして、研究活動を維持するのが すごく大変だった。確かに「大型の研究費」を もらうのはよいが、いろんな難しいことが起こ るものだと実感した。研究に振り回されるので はなく、お金に振り回されたのだ。 さて、いったい,生命科学系のラボに研究費 はどのくらい必要なのだろうか?かつては (15年以上前は)ラボのメンバー1名あたり年 間150万円で計算すると、研究費を気にせずに 実験できる妥当な金額だった。PI, スタッフ、 ポスドク、大学院生、テクニシャン、秘書さん など、すべてのラボメンバーの人数分に150万 円をかければ、必要な金額の目安が計算できた。 全員で10名のラボとして、年間1,500万円が 必要な計算になる。消耗品から、ちょっとした 機器購入、人件費、旅費、論文別刷り代など全 部含めても、このくらいあれば十分だった。研 究費のうち半分は科研費で、あとは教室研究費 や民間財団の助成金などで賄うと、なんとか やっていけた。 しかし現在ではどうだろうか?私の実感とし ては、現在では1名あたり年間300万円で計算 しないと、十分な研究活動ができないような気 がするのだが、いかがだろうか? 62 科研費獲得の方法とコツ第9版