6科研費の現状について一令和6年度のデータより しかし一番懸念すべきことは、1課題あたりの配分額が低いことだ。過去10 年以上にわたって300万円を下回って低い状態が続いている。研究に必要なさ まざまなものの値段が上昇していることや円安の影響から、この配分額では十 分ではないと感じる研究者が多いことだろう.実際、危機感をもった研究者は 多く、和6年7月に国内の学会連合の有志が科研費の倍増を求める署名活動 を始め、9月には文部科学大臣に提出された。 望ましいのは採択率は現在の状態を維持して研究費の配分額が増えることで あるが、国の予算が厳しい現状では一度に全種目の増額は難しいだろう.そこ で、いくつかの種目〔基盤研究(B,C)が望ましいが]からでも配分額が増額 されて、基礎的な研究費が充実されることを願っている。 一方、若手研究者以外には大変厳しい現状であることには以前と変わりはな い、令和元年度のデータしかないが、基盤研究(A,B,C)において、若手と それ以外(つまり中堅~ベテラン)の研究者の採択率に、年齢によって10% (あるいはそれ以上)もの違いができている(図1-12).また和6年度の主な 種日の年齢別の採択状況をまとめたデータからは、やはり年齢によって採択率 にかなり差があることがわかる(表1-5).これらのことは、果たして好ましい ことだろうか。もちろん若手研究者の支援を充実させることは、将来の日本の 科学にとって必要なことである、しかし中堅~ベテランにももっと手厚い支援 を進めていかないと、日本の研究を支える土台の研究者層が薄くなるのではな 年齢 29歳以下 30歳~34歳 35歳~39歳 40歳~44歳 45歳~49歳 50歳~54歳 55歳~59歳 60歳~64歳 65歳~69歳 70歳以上 合計 応募件数 2,715 8,655 12,388 14,868 16,146 14,847 12,395 9,179 2,253 834 94,280 採択件数 1,086 3,099 4,062 4,335 4.358 3,576 2,638 1,826 532 187 25.699 採択率 40.0 35.8 32.8 29.2 27.0 24.1 21.3 19.9 23.6 22.4 27.3 表1-5●和6年度年齢別の主な研究種目の採択状況 日本学術振興会のホームページに公開されているデータをもとに作成、対象は、特別 推進研究,新学術領域研究(研究領域提案型)(成果とりまとめ経費を除く)、学術変 革領地研究(A,B)、基盤研究(S,A,B,C)(応募区分「特設分野研究」を除く)、若 手研究、挑戦的研究(開拓・萌芽)(審査区分「特設審査領域」を除く)。研究活動ス タート支援、国際共同研究加速基金(国際先導研究・海外連携研究)である。 1 章 (59